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辺野古「警戒船」への日当、2年で5億円以上 漁師間で摩擦も

沖縄タイムス 7/2(土) 9:20配信

 沖縄県名護市辺野古の新基地建設着工から1日で2年。海上作業は2014年8月に始まった。以来、臨時制限水域を囲うようにぷかぷかと海面に浮かぶ多くの漁船がある。主に沖縄本島北部東海岸の漁師らが関わる「警戒船」と呼ばれる船で、政府が警戒船業務として支払った日当は2年間で少なくとも5億円以上。巨額の金が、漁師内の摩擦も生んでいる。(北部報道部・伊集竜太郎)

■「俺たちはブイ代わり」月1人で75万円
 辺野古沖には海上保安庁や警備会社の船のほかに、警備会社がチャーターした警戒船が出ている。業務は原則、午前8時~午後5時。船長には日当5万円、同乗する警戒員には2万円が支給されている。
 「俺たちはブイの代わりだから」-。警戒船の船長を担う、ある漁師はこう語る。日当5万円は生活費として小さくはない。各漁協で異なるが、船長は主に正組合員が担う。手を上げる人が少ない漁協の船長は一人で月に15回、出たこともあるという。単純計算で月75万円を得たことになる。
 「水揚げが少ない分を、警戒船業務で補うのが基本姿勢か」との問いに、その漁師は「それは建前さー。水揚げは正組合員資格の維持に必要な分だけすればいいとしか思ってないよ。あっち(警戒船業務)がメインの人が多いさ」と言い放った。
 別の漁師によると、警戒船の船長をするために正組合員資格をほしがる人がいる一方で、正組合員が増えれば一人当たりの業務回数が減るため、漁協内の資格審査時に難癖を付ける人との間でいざこざもある。警戒船に必要な大きさの船を購入したり、組合員資格を守るため別の漁師から魚を買う人もいるという。
 「金が絡むと、こういうことになるんだ」。先の漁師は、皮肉っぽい表情を浮かべた。

■「この仕事いつか終わる」その時、海は…
 一方、警戒船業務はしないと決めた漁師もいる。
 「気持ちの根っこに、新基地は嫌との思いがあった」と語る漁師には、妻子がいる。生活のために警戒船に乗るべきか。漁師に問われた妻は「新基地は嫌。それで生活が豊かになるくらいなら、今のままでいい」と即答した。その言葉を聞いて「正直、ほっとした」
 漁師仲間は警戒船の話題を口にしない。どこか後ろめたい気持ちがあるからかもしれない、とも思う。
 警戒船業務に携わる漁師を否定する気持ちは全くない。ただ「この仕事はいつか終わる。その後、みんな『もう海はいい』となってしまったら、北部の東海岸の漁業はどうなるのか」と不安になる。内部のいざこざも見たくない。「嫌気が差して、漁を辞めるかもしれない」と嘆いた。

最終更新:7/2(土) 14:04

沖縄タイムス