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社説[2016参院選 18歳選挙権]一歩踏み出してみよう

沖縄タイムス 7/2(土) 14:56配信

 公職選挙法の改正で選挙権年齢が引き下げられ、18歳から投票できるようになった。10日の参院選が国政選挙では最初の機会となる。
 全国の18、19歳の有権者約240万人、県内約3万3千人。若い世代の政治への関心が高まり、投票率が上がれば、政治の変革を促す力になる。
 「シルバー民主主義」という言葉がある。少子高齢化で有権者に占める高齢者の割合が増加し、高齢者層の政治的影響力が高まる現象のことである。
 県選挙管理委員会によると、2014年12月の衆院選では70代の投票率が70・82%で最も高かったのに対し、20代は32・43%で最低だった。この傾向は基本的に全国も変わらない。
 投票率が高く人口も多い高齢者層の声が、選挙結果を左右するため、政治家はその世代を意識した施策を重視しがちだ。65歳以上の低所得者約1100万人に一律3万円の臨時給付金を支給するのは、その表れだといえる。
 若い世代が抱える悩みは、以前にも増して深刻だ。「アルバイト料があまりにも安い。せめて本土並みの賃金を」「奨学金の利息をなくしてほしい」
 県内では「基地問題の解決」や「貧富の差の解消」を求める声も多い。
 若い世代の投票率が上がれば政治家は若い世代向けの政策に無関心ではいられなくなる。1票の声を上げることが政治を変える最初の一歩だ。
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 日本の政治の現状を表現するキーワードとして最近、「消費者民主主義」という言葉もよく使われる。
 政治家は政治サービスの提供者で、消費者が企業から商品を購入するのと同じように、有権者は税金と投票を対価として政治サービスを消費する、という現象だ。
 社会的な面倒くさい問題は政治家におまかせし、政治からできるだけ距離を置く「おまかせ民主主義」や「消費者民主主義」の下では、主権者意識は育ちにくい。
 有権者は選挙の時は主権者として「お客様は神様です」と扱われるが、選挙が終わると「統治される存在」に成り下がる。
 主権者意識が希薄で「おまかせ」の空気が支配的だと、選挙後に、勝てば官軍の「選挙専制」が生じやすく、選挙に勝つためなら何でもあり、の政治に流れがちだ。
 政治家に対する信頼度が低く、政治を忌み嫌う傾向は、日本の若い世代に限らない。投票率の低下も政治家不信の高まりも、先進国共通の現象だ。
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 「投票しても何も変わらない」と思い込んでいる18、19歳の新有権者はぜひ、英国のEU離脱について調べ直してほしい。
 国民投票で「離脱」に1票を投じたのは高齢者層に多く、若い世代は「残留」を希望する人が多かった。しかし、若い世代の投票率は高齢者層に比べ低かった。
 後の祭りだが、思わぬ結果に多くの若者が失望しているという。

最終更新:7/2(土) 14:56

沖縄タイムス