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川越・菓子屋横丁に新店舗完成 全焼の駄菓子店、店舗での営業再開

埼玉新聞 7月2日(土)3時56分配信

 埼玉県川越市の観光名所「菓子屋横丁」で昨年6月に発生した火災で、店舗が全焼した駄菓子店「稲葉屋」の新店舗が完成し、2日から営業を始める。この間、屋外に設置したテントの中にテーブルを並べた仮店舗で営業を続けてきた。太陽の下、暑さも寒さも乗り越え、新たな気持ちで店舗での営業を再開する。

 「この1年は長かったですね」。そう振り返る社長の長井良憲さん(50)。日に焼けた顔からは、屋外で営業を続けてきたこれまでの苦労が、伝わってくる。

 1人が死亡し、店舗など5棟が全焼した昨年6月の火災で、店舗が全焼。2カ月近くたった8月末に屋外にテーブルを置き、その上に商品を陳列して営業を再開した。この地で店を構えて80年近く。「店の電話が通じなくなって心配してくれた人や、今まで利用してくれたお客さんもいる。ここを離れたくはない」。別の場所で営業することは、考えられなかった。

 だが商品の製造工場も焼失したため、主力商品のイモを使ったドーナツやまんじゅうが作れなかった。販売する商品は外から仕入れたものが中心。「自分の店らしくない」。そんな思いに駆られる。

 屋外で電源がないことから、扇風機などを使うことができない。晴れた日は日差しを受けて汗だくに。冬場は服を着込み、寒さをしのいだ。雨や風が強い日は営業ができなかった。「毎日同じリズムで働くことが健全で、健康にもいいと分かりました。以前は休みを求めて働いていた面もありましたが、今は働けることがありがたいですね」

 火災から1年。「お店ができるのもうすぐですね」「店舗ができたらまた来ます」―。そんな言葉がうれしく、励みにもなった。完成した店舗には製造工場もあり、イモを使ったドーナツなどの製造販売も再開する。

 「お客さんや関係者の方のおかげでここまでこられたし、商売できるありがたさが分かった。新しい店舗では以前にも増して、一生懸命頑張っていきたい」。再建が進む菓子屋横丁で、長井さんは思いを新たにした。

最終更新:7月2日(土)3時56分

埼玉新聞