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リオ五輪旗手“地味人選”の裏

東スポWeb 7月3日(日)10時8分配信

 日本オリンピック委員会(JOC)は1日、リオデジャネイロ五輪の日本選手団主将にレスリング女子の吉田沙保里(33)、旗手に陸上男子十種競技の右代啓祐(うしろ・けいすけ=29、スズキ浜松AC)が決定したと発表した。五輪3連覇を達成し「霊長類最強の女」として知られる吉田はともかく、歴代の顔ぶれに比べると右代の認知度はいまひとつ。スポーツの祭典という華やかな舞台で、なぜ地味~な人選となったのか? 舞台裏を探ると、名誉よりメダルを狙う選手側の意向があるようで…。

 走る、投げる、跳ぶのすべての能力が求められるハードな種目ながら、2014年アジア大会(韓国・仁川)で24年ぶりの金メダルという快挙を成し遂げたのが右代。元十種競技日本王者のタレント・武井壮(43)を師匠と仰ぎ、スポーツ好きの間では知る人ぞ知る存在だ。

 しかし、一般的には「誰?」という人が多いのが実情だろう。過去3大会の旗手を振り返れば、04年アテネ五輪はレスリングの浜口京子(38=ジャパンビバレッジ)、08年北京で卓球の福原愛(27=ANA)、12年ロンドンでは吉田が務めた。そうした国民的アスリートたちと比較すると、知名度は低いといわざるを得ない。

 では、なぜ右代だったのか。「メダルが狙える選手は主将、旗手をやりたがらない。出なければいけない公式行事もあるし、特に旗手は開会式に必ず出なければならない。コンディション調整が難しく、今回も回避する選手、競技団体が多かった」(JOC関係者)

 実際、今大会の主将・旗手にはフェンシングの太田雄貴(30=森永製菓)や陸上男子100メートルの桐生祥秀(20=東洋大)、体操の内村航平(27=コナミスポーツ)、白井健三(19=日体大)に加え、柔道、競泳勢などの有名どころが多数候補に挙がったという。

 だが、大会前半に日程が組まれている種目の選手には競技に影響を及ぼす可能性がある。また、陸上などの後半の種目でも、旗手は必ず開会式(8月5日=日本時間6日)に出席しなければならず、渡航日程を早めて現地入りする必要がある。そのため、思うような最終調整ができなくなる。

 前大会で旗手の吉田も大会後半に本番を控えながら早々に現地入り。慣れない環境で練習せざるを得なかった。それでも3連覇を遂げたのはさすがだが、普通なら避けたい状況だ。

 こうしたことから結局、選手や競技団体に拒否され続けて、調整は難航。なんと日本選手団結団式(3日)の2日前まで正式決定が遅れてしまった。

 最終的に主将は吉田が了承したことで、旗手は男性からの選出になり、何人目かの候補だった右代が引き受けてくれた格好だ。日本選手団の顔となる旗手は、もはや花形ではなくなったとも言える。

 今回も大会後半に試合のある吉田は開会式に出席しない可能性が高い。一方で、同じく大会後半組の右代は開会式に参加する。「旗手に選出していただき、非常にうれしく光栄に思う。開会式では日本選手団の先頭に立って、一歩一歩地面を踏みしめ、堂々と歩きたい」とコメントした。有名選手たちが敬遠する中でもリスクを恐れず、日本の顔を引き受けた“男気”は称賛されてしかるべきもの。

 196センチ、95キロとの長身と自慢の肉体美を生かして大役を見事に果たせば、知名度大幅アップのご褒美がやってきそうだ。

最終更新:7月3日(日)10時8分

東スポWeb