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株式投資で「利益を上げる秘訣」はこれだ! 視線を変えれば別世界が広がる

ZUU online 7/3(日) 17:10配信

英国のEU離脱を問う国民投票で「Brexit」が現実のものとなり、世界の金融市場を取り巻く環境は一段と不透明感を増している。世界景気の先行きや更なる円高進行に対する警戒感なども根強く、日本株に対して強気にみている投資家は以前と比べ減ってきている。そうしたなか、本稿では2016年後半の日本株相場を取り巻く環境を整理した上で、今後はどのような銘柄戦略で臨めばよいのかについてみていきたい。

■日銀の金融政策に対する限界論も

まず結論からいえば、2016年前半同様、日経平均などの指数は冴えない展開が続くとみている。ただ、個別では引き続き魅力的な銘柄が多く、「森よりも木をみる」相場展開が想定できよう。引き続き日本株は個別株の観点からいって投資妙味があると考えている。

まず、日本株を取り巻く投資環境について整理したい。足元で世界の不安要因となっている「Brexit」が直接的に日本株に及ぼす影響は限定的とみている。ただ、「Brexit」により米国の年内利上げの可能性が著しく低下したことで、ドル安円高圧力が強まりやすい状況が続くとみられ、「円高長期化→業績下振れ→日本株低迷」という間接的な形で影響を受ける公算が大きいだろう。

こうしたなか、市場の一部では日銀が追加緩和に踏み切ることで、再び円安基調に回帰するとの見方もある。とはいえ、日銀は昨年12月に決定した量的・質的金融緩和の「補完措置」や今年1月に決定したマイナス金利の導入など様々な政策を打ち出してはいるものの、「円高」の流れを食い止めるには至っていない。足元では日銀の金融政策に対する限界論も意識され始めており、今後、日銀が追加緩和に踏み切ったとしても、市場への影響は限られる可能性が高い。むしろ追加緩和に踏み切れば、今後の政策余地が一段と狭まるとの見方から円買いの動きが加速する可能性すらある。米追加利上げ機運後退によるドル安圧力と日銀の金融政策限界論を背景に円高基調は当面続く公算が大きいだろう。

■世界景気低迷・円高圧力の逆風でも成長する企業は多数存在

国内景気の低迷によりデフレ脱却への道筋が遠のきつつあることから、政府が大規模な財政出動に踏み切るとの観測も根強い。ただ、大規模な財政出動が行われたとしても、消費者のデフレ心理が高まりつつあることを踏まえると景気を押し上げる効果は薄いといえる。政府・日銀が財政・金融両面から政策を打ち出しても、株価の中長期トレンドを見る上で重要な企業業績が押し上げられる可能性は低いだろう。むしろ企業の想定を超える円高基調が長期化する恐れがあることや、世界景気の低迷が継続するとの見方が強まりつつあることを考えると、業績懸念が日本株の上値を抑えることになりそうだ。

これまで述べてきたように、日本株の低迷は今後も続く可能性が高いと考えているが、では筆者が日本株投資に否定的かというと答えは「ノー」である。確かに、アベノミクスを追い風に拡大基調が続いてきた日本の企業業績が、このところの世界景気や円相場の先行きに対する不透明感によって厳しい局面を迎えているのは事実だ。実際、主要上場企業(大和200)の2016年度業績(会社予想)をみても、全体の4割超の企業が減益を見込んでいる。

ただその一方で、全体の2割となる45社が最高益更新を見込むなど、「世界景気低迷・円高圧力」という逆風下にさらされながらも成長する企業が多数存在することは見逃すべきではない。実際、株価の中長期トレンドは業績動向に基づくとの見方を背景に、どのような環境下でも業績を伸ばす「真の実力」を有する企業には、足元でも投資資金が向かっている。こうした企業群の株価動向をみると、年初から低迷を続けるTOPIXとは対照的に上昇基調にある銘柄が非常に多いなど、目線を変えれば、まさに別世界が広がっていることがわかる。

■日米の時価総額上位の成長性に大きな違い

ただ、日本を代表する企業のなかで真の実力を有する企業は多くない。それを象徴するのが、日米時価総額上位30社の売上高推移だ。

リーマン・ショック前の2007年度の売上高を100とし、日米企業の売上高を比較すると、米国企業は2015年度までに52%も売上高を伸ばしている半面、日本企業は17%しか売上高を増やせていない。大きな要因の一つとしては、イノベーションを生み出している米国企業と生み出せていない日本企業という構図が挙げられよう。

米国企業は人工知能や自動運転など様々なイノベーションを生み出し成長に結び付けている半面、日本企業でそうした動きをみせている企業は極めて少ないといえる。日本の主力企業の多くは為替などの外部要因に左右されやすい脆弱な収益環境から未だ抜け出せておらず、こうした企業に投資してもなかなかリターンを得るのは難しいだろう。

近年の株価動向からもこうしたことがみてとれる。実際、日本株が低迷していた2002 年末=100 として直近(2016 年5 月末)までの各指数の動きをみると、日本を代表する企業群で構成するTOPIX Core 30 は7% の上昇に留まっている半面、中型株、小型株で構成する TOPIX Mid 400 やTOPIX Small の株価は2倍以上になっている。この間、リーマン・ショックや東日本大震災、欧州債務危機など様々なイベントが発生したが、規模別の株価推移を見る限り、大型株よりも中小型株の方がこうした環境の変化に対応し、業績を伸ばすことに成功した企業が多いといえる。

■「利益成長性」の高い中小型株に注目

厳しい環境下でも過去最高益を更新するような業績好調企業を探っていくと、世界的な高齢化時代の到来が追い風となる医療関連の企業や、近年の消費者ニーズの変化にうまく対応している小売関連の企業、収益の軸足を国内から海外に移しつつある企業などが目立つ。これら企業群の年初からの株価パフォーマンスは、TOPIX を上回り、年初来でもプラスで推移するなど、非常に良好な動きとなっている。

株価の中長期的な方向性を占う上で重要なのは企業の「利益成長性」だ。円安等に依存せず、環境変化に対応し自力で稼ぐ企業がより評価される流れは今後一段と強まっていくだろう。ネームバリューはあるが業績がさえず株価の下落基調が続いている大型株ではなく、ネームバリューがなくとも利益成長シナリオを有し株価の上昇基調が続いている中小型株に注目していけば、2016年後半の日本株相場でも利益を上げることができるだろう。

石黒英之 大和証券 投資戦略部 シニアストラテジスト
専門商社勤務を経て2004年に岡三証券に入社。入社後は渋谷支店で個人営業に従事。2006年岡三経済研究所経済調査部(現:岡三証券 グローバル金融調査部)を経て、2008年岡三証券投資戦略部日本株情報グループに配属。2016年4月より現職。

最終更新:7/3(日) 17:10

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