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《Sceneぐんま》女子少年院 過ちを省みる手助け

上毛新聞 7月3日(日)6時0分配信

 「夢で思い出してクスリやりたくなっちゃった」。6月中旬、ノーメークでジャージー姿の少女たちが教室で輪になって、薬物への思いを語り合っていた。榛東村新井にある女子少年院の榛名女子学園。殺人や窃盗、覚せい剤取締法違反などさまざまな罪を犯した16~22歳の若い女性約40人が、過ちを反省しながら共同生活を送っている。

 犯した罪と向き合う特定生活指導や社会復帰に向けた職業指導、動植物と触れ合いながら命の大切さを学ぶプログラムなどを展開している。17人の少女が所属する「やよい寮」を担任する法務教官、斎藤美季(35)は、「一人一人が抱えている問題が異なり、壁に当たることが多い」と話す。

 3年前のことだ。発達障害があり、家族にけがを負わせた少女を担当した際、顔も名前も覚えてもらえずに悩んだ。半年ほど根気強く接していると、休暇を取った翌日に「先生がいなくてさみしかった」と慕ってくるようになり、指導の効果が目に見えるようなったという。

 少女たちは「心にさみしさを抱えている」と感じるという。家族に愛情を求めても得られず、男性に求めて夜の世界に飛び込んだ少女を多数見てきた。少女たちは「こんな自分でも愛されていると思えた」と話す一方、「本当に欲しかった愛情は手に入らなかった」と一様に口にするという。

 心と体が傷ついた状態であることを認めたがらない少女たちに、いかにつらい思いを吐き出させ、社会のルールを破った事実に向き合わせるか。「悪いことをしてしまったが、悪い子ではない。決まりを守る大切さを教え、身に付けさせるのが私たちの役割」と斎藤は言葉に力を込める。

 刑期を終えれば出所できる刑務所とは異なり、少年院は社会復帰に重点を置く。同学園は11カ月で更生する指導計画を策定し、少女らが目標を達成してから社会に送り出すようにしている。

 少年院に入っていた少女への周囲の目は簡単には変わらないし、社会でうまくやっていけるとは限らない。だが、再び犯罪に手を染めることは被害者への裏切りであり、自分自身をも傷つけることになる。同学園に勤務する法務教官ら約50人の職員は「現実に背を向けずに踏ん張り、乗り越えてほしい」と応援しながら、日々、少女たちと向き合っている。(敬称略、藤田賢)日曜掲載

最終更新:7月3日(日)6時0分

上毛新聞