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道路公団民営化にある明暗 NEXCOに比べ難しい都市高速、その未来は

乗りものニュース 7月3日(日)10時11分配信

大成功だった道路公団の民営化 地域格差、是正すべき

 高速道路会社6社(NEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本、JB本四高速、首都高速道路、阪神高速道路)の平成28年3月期決算が2016年6月上旬、相次いで発表されました。

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 2005(平成17)年10月の道路4公団(日本道路公団、本州四国連絡橋公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団)民営化以来、高速道路各社は建設や管理コストの縮減などで経営の合理化を進め、いわゆる借金の返済(正確には高速道路保有機構への貸付料の納付)も順調に進んでいます。高速道路の借金を取りまとめている高速道路保有機構は、発足時には38兆円の債務を抱えていましたが、2015年度期首にはそれが29兆円にまで縮減しました。

 かつて国鉄は、莫大な借金を抱えて分割民営化されました。うち返済不能と判断された25兆円を国鉄清算事業団が継承。現在も細々と税金(たばこ特別税および国債)で返済を続けており、2014年度末でもまだ約18兆円残っています。

 対する高速道路保有機構は民営化後、順調に債務を返済しています。SAやPAなどにおける顧客サービスも確実に向上していますから、いまや、道路公団民営化が大成功だったことに異論をはさむ人は少ないでしょう。

 特にNEXCO3社の経営状況は余裕たっぷりですから、今後は過疎路線の料金値下げという、地域間格差の是正策に積極的に取り組むべきだと個人的(清水草一:首都高研究家)には考えています。

NEXCOに比べ運営が難しい首都高と阪神高速、そのワケ

 一方、首都高と阪神高速は、民営化後もかなりギリギリの経営が続くと私は予想していました。両会社とも、新規建設路線はトンネル構造が中心のため費用は莫大。交通密度が高いぶん老朽化も激しく、修繕費用もかさみます。NEXCO各社はSAやPAの売上を増加させる余地もありましたが、都市高速はそもそもSAやPAを設置するスペースが限られており、それも望めないからです。

 最大のネックは道路の老朽化でしたが、料金徴収期間を15年間延長したことで、当面の手当は問題なくなりました。経営自体は順調で、新規路線の開通効果もあり、特に首都高では渋滞緩和が顕著です。今年(2016年)4月から導入された首都圏における新料金は、「長距離が大幅に高くなる」という反対意見もありましたが、早くも渋滞緩和効果が現れ、利用者側の理解も進んでいるように思われます。近い将来、阪神地区にも同じような料金制度が導入されることになるでしょう。

 しかしこの新料金制度の導入で、首都高側は2億円の料金収入減少を予想しています。

 今年度、新規に開通する予定の路線はないので、交通量の純増は望めません。新料金制度で上限料金は930円から1300円に値上げされましたが(普通車)、それ伴って長距離利用は減っています。

 さらに、首都圏の高速料金が一体化されたことで圏央道への迂回が増加。これらのことを勘案して、料金収入は微減という予想となったものと考えられます。

 2012年に首都高で距離別料金が導入されたとき、首都高の料金収入はほぼ横ばいでした。今回の新料金の導入も、首都高の収入増が目的ではなく、より公平で合理的な料金にし渋滞を緩和することが狙いだ、ということが理解できるかと思います。

 さらに2017年度中には外環道が東関東道、首都高湾岸線まで延伸開業する予定です(三郷南IC~高谷JCT)。こちらへ迂回するクルマが増加すれば、よりダイレクトに首都高の交通量は影響を受け、料金収入は微減となるでしょう。将来的にも、よほど景気が上向かない限り、首都高の料金収入は横ばいから減少傾向へと向かうと考えられます。

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最終更新:7月3日(日)10時57分

乗りものニュース