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追い込まれるイスラム国、バングラデシュ・テロの裏で

ニュースソクラ 7/3(日) 12:40配信

ISは大都市テロで対抗

 イラクとシリアで、過激派組織「イスラム国(IS)」から拠点を奪還するための軍事作戦が激しさを増している。

 6月17日、イラクのアバーディ首相は、中部の都市ファルージャの大半をISから奪還したと発表。次は北部の要衝モスルをISから奪還する作戦に注力する見込みだ。

 一方シリアでは、6月4日にロシアの支援を受けるシリアのアサド政権軍が、ISの「首都」ラッカ市の奪還を目指してシリア西部から侵攻を開始したと発表。このラッカ奪還をめぐっては、シリア北部を勢力圏とするクルド人の部隊も米軍の支援を受けながら北方からの地上作戦を始めている。

 4月26日、米軍主導有志連合のガーステン副司令官は、ISに参加するためイラクとシリアに入国する外国人戦闘員の人数について、「1年前は一ヶ月に1,500~2,000人だったが、現在は約200人にまで減っている」と語っていた。また同副司令官は「外国人戦闘員が脱走する比率は高まっており、士気は下がっている。ISは給料も払えていない」と強調し、ISの資金保管施設を狙った空爆により、3億~8億ドル(約333億~888億円)の現金を使えなくした(4月27日付『時事通信』)という。

 支配市域の減少により税収も戦闘員も減っているISは、「建国」以来最大の危機に見舞われているとみて間違いない。ISはこのまま衰退の道を辿るのだろうか?

 ISは、領域支配を進めるイラクとシリアでは劣勢に立たされているが、彼らがイラクとシリアでそれぞれ首都と位置付けるモスルとラッカの奪還作戦は一筋縄ではいかない。これは単なるテロリスト掃討作戦ではなく、地域大国や有力民族の勢力争いやその背後で影響力拡大を目指す大国の思惑が絡む国際問題になっているからである。

 イラクでは今後モスル奪還作戦に焦点が移っていくが、この作戦には米軍主導の有志連合が支援するイラク正規軍とクルド部隊ペシュメルガ、そしてスンニ派の部族民兵部隊の他、イランが支援するシーア派の民兵組織、クルドの過激な武装勢力PKK、それにトルコ軍と同軍が支援するスンニ派民兵部隊など、様々な勢力が参加に意欲的である。

 特にトルコは敵対するPKKがモスル支配に関与することに断固反対であり、実力でその可能性を排除するであろう。一方スンニ派の部族や住民は、イランが支援するシーア派民兵部隊がモスルに入ることに拒絶反応を示すはずである。要するに、誰がIS掃討後のモスルを支配するか、で激しい政治闘争が展開されており、その政治調整が進まない限り、本格的なモスル奪還作戦の遂行は難しい状況である。

 シリアのラッカをめぐる作戦も同様であり、クルド部隊がISの領地を奪還してさらに領土を拡大させることをトルコは警戒しており、クルドへの牽制を強めている。またロシアが支援するアサド軍がラッカを攻めようとしているが、米国はアサド政権の権力拡大を望んでおらず、アサド軍がIS支配地域を奪還することには反対だ。表面的にはIS掃討作戦での共闘を呼び掛けているものの、米露は互いに敵対する現地勢力と組んでおり、その利害調整は進んでいない。

 このようにイラクでもシリアでも、IS支配地域を誰が統治するかをめぐって各勢力の対立が激しさを増しており、その利害調整が出来ないために軍事作戦も中途半端な状況になっている。

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最終更新:7/3(日) 12:40

ニュースソクラ

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