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2度の降雨中断にも「無になれた」と錦織、土居はグランドスラム初の4回戦進出 [ウィンブルドン]

THE TENNIS DAILY 7/3(日) 14:34配信

 イギリス・ロンドンで開催されている「ウィンブルドン」(6月27日~7月10日)の第6日。

錦織が4回戦進出、次はチリッチと対戦 [ウィンブルドン]

 日本勢の男女エースが好調だ。第5シードの錦織圭(日清食品)は3回戦で世界ランク42位のアンドレイ・クズネツォフ(ロシア)に7-5 6-3 7-5で勝利。ウィンブルドンでは自己最高タイの4回戦進出を決めた。また、5年ぶりの3回戦進出を果たした土居美咲(ミキハウス)が世界ランク57位のアンナ レナ・フリードサム(ドイツ)を7-6(1) 6-3で破り、グランドスラム初の4回戦進出を果たした。日本女子のグランドスラムでのベスト16進出は、2006年ウィンブルドンの杉山愛以来、10年ぶりだ。錦織、土居ともに雨のため2度の中断が入り、集中力を保つのが難しかったが、セットを与えない快勝だった。

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 度重なる試合中断は辛いが、錦織にチャンスをもたらしたのも同じ雨だった。1回戦のあと2日休んで2回戦を戦い、その翌日に行われるはずだった3回戦もまた雨のために1日順延。ただ、欲を言えば、順延の決断をもう少し早く下してほしかった。

「もう少し早く決断してくれれば、体のケアもできたし、睡眠時間ももっととれたのに。ちょっとキレそうでした。チキショーと思って」。

 7時間しか寝られなかったことをボヤきながらも、「今日は自然と出だしから感覚がよく、体がよく動いた。最初の数ゲームは理想のテニスができていた」と振り返った。

 第1セットの立ち上がりから、第1、第3、第5と3つのサービスゲームで錦織が与えたポイントは1つだけ。第7ゲームはすべてファーストサービスを入れながらブレークを許したが、錦織のほうも相手のファーストサービスをうまく攻略し、すぐにブレークバックに成功したのが大きかった。自身のサービスが好調なためにいいリズムができ、第12ゲームをブレークして第1セットを7-5で奪った。

 第2セットは第6ゲームを2度のデュースの末にブレーク。自身は一度もブレークポイントすら握らせずに6-3でこのセットも奪ったが、ここで約2時間の降雨中断。

 再開後、第3セットは第2ゲームを3度のデュースの末にブレークされたが、第3ゲームのあとの2度目の中断がクズネツォフの勢いを削いだ。錦織は第5ゲームでブレークバック。両者キープで進んだ第11ゲーム、3度目のブレークポイントで決定的なブレークに成功し、最後はラブゲームで締めくくった。

「痛みと戦っている時間が長い」「テニスに集中できないので正直楽しくない」と言うが、そうは見えないほど。しかし4回戦の相手は第9シードのマリン・チリッチ(クロアチア)。ここはギアを上げなくてはならない。

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「みんなはチャンスと言っていたけど…」
 土居は、22歳と若く、パワーもあるフリードサムとの3回戦について、そう簡単ではないと覚悟していた。それが、余計なプレッシャーを取り除いたのかもしれない。

 フリードサムはサービスが強力で、フォアハンドのダウン・ザ・ラインなどパワフルなウィニングショットを持っている。しかし土居は左利きからのトップスピンを左右に正確に散らし、ウィナーの数では負けたが、勝負どころで強さを発揮した。

 特に第1セットの第10ゲームは土居のサ-ビスで、10回デュースを繰り返すロングゲームとなった。その中で5回ブレークポイント、つまりセットポイントを握られたが、相手のポイントでも怯まずにウィナーを狙いにいく姿勢が功を奏した。

「実力がついたという自信がある」「いける予感がする」というポジティブな思考はこうした局面で最大の力を発揮するのだろう。

 このセットはタイブレークにもつれたが、1ポイント目のラリー戦に打ち勝った土居は一気に勢いに乗った。

 第2セットは両者キープで第5ゲームを終えたところで1度目の長い中断。第6ゲームをブレークした土居は、5-3でサービング・フォー・ザ・マッチを迎えるが、そこでまた短い中断。「今日は試合よりも中断がキツかった」と言ったのもうなずける。それを乗り越え、ついにグランドスラム初の4回戦進出。土居のリアクションはやはりクールで、その理由はいつも同じだ。

「まだ試合は続くので」

 次の相手は第4シードのアンジェリック・ケルバー(ドイツ)、全豪オープンのチャンピオンだ。あの全豪オープン、ケルバーから1回戦でマッチポイントを握っていたのはこの土居だった。悔しさは言葉にならないはずだが、「トップとの差はわずか。自分もできるという自信になった」とポジティブな面を強調する。リベンジなどという気負った言葉は使わず、159cmの小さな体に静かな闘志を燃やしていた。

(テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)

最終更新:7/3(日) 14:34

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