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35ドルのハードウェアで動くAI、ベテランパイロットを撃墜

ITmedia ニュース 7月4日(月)11時58分配信

 人工知能(AI)の運用には、最先端のハードウェアと莫大な費用が必要だと考えられてきた。囲碁で最強プロ棋士に勝利したGoogleのAlphaGoは、サーバのレンタル費用だけで2500万ドル(約25億円)以上と推測されている。では、35ドル(約3600円、日本での現在の実売価格は5000円前後)のハードウェアであるラズベリーパイ(Raspberry Pi)で動くAIの能力は、どんなものか。

 米国シンシナティ大学のウェブマガジンUC Magazineの記事によると、同大学の博士課程卒業生によって作られた、ラズベリーパイの上で動作するAIは、ジーン・リー退役空軍大佐を空中戦シミュレーターで何度も撃墜した。リー氏は歴戦の勇士で、特に空中戦戦略の専門家として知られている。ALPHAと名付けられたこのAIについて、彼は「私が見てきた中で、もっとも勇敢で、反応が良く、ダイナミックで、信頼できるAIだ」と述べている。

 ALPHAを開発したPsibernetixは、シンシナティ大学で2015年に博士号を取得したニック・アーネスト社長兼CEOによって創立された。その他、同大学の卒業生や航空宇宙学教授らが参加して進められたALPHAプロジェクトが、シミュレーターとはいえベテランパイロットをしのぐ結果を出した。

 ALPHAはシミュレーターのために開発されたAIだが、その性能は空軍で使われている訓練用プログラムの性能を上回っており、それらの敵を一貫して打ち破ってきたという。そして昨年10月以来、ALPHAの成長したバージョンは、常にリー氏に勝利した。速度や旋回能力、ミサイルの性能で制限を与えてさえ、ALPHAが勝利することがあったという。

 「私の機体の動作から、ALPHAは私の意図をすぐに察知して、対応できるようだ。必要に応じて防御も攻撃もできる」と、彼はALPHAとの戦いについて述べている。

 このAIは遺伝的ファジーシステムという、発表されたばかりのアルゴリズムを採用しているが、プログラムそのものはラズベリーパイで動くほど軽量であり、無人戦闘機に採用される日も近そうだ。

最終更新:7月4日(月)11時58分

ITmedia ニュース