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単結晶プラチナ薄膜のスピン伝導現象を解明

EE Times Japan 7月4日(月)13時54分配信

■省電力電界駆動スピントロニクスの実現に前進

 東北大学大学院工学研究科の柳淀春博士後期課程学生や好田誠准教授、新田淳作教授らの研究グループは2016年6月、単結晶プラチナ薄膜のスピン伝導機構を解明することに成功した。スピン流の自在な電界制御や電界駆動を可能にすることで、低消費電力スピントロニクスの実現に大きく近づいたとみている。

 プラチナ(Pt)は、スピン軌道相互作用が強く、スピン軌道トルクやスピンゼーベック効果の起電力を生み出すことができる材料として注目されている。特に、スピン軌道相互作用は、スピン流を生み出しスピンホール効果の起源となるなど、スピントロニクスにおいて重要な役割を果たしているという。最近は新たな磁化反転技術として、このスピン流を活用して磁性体の磁化方向を反転させるスピン軌道トルクへの関心が高まっている。

 ところが、スピンホール効果の強さを示す指標となるPtのスピンホール角は、その測定手法や試料を作製する方法によっては、ばらつきが1桁異なることもある。このため、Pt中のスピン伝導現象を解明する必要性が高まっていた。

 そこで東北大学の研究チームは、酸化マグネシウム(MgO(111))基板上に作製したPtの単結晶極薄膜と、量子干渉効果(磁気コンダクタンス特性)の膜厚依存性をガリウムヒ素(GaAs(001))基板上に作製した多結晶Pt薄膜の特性を測定し、それを比較した。

 この結果から、Pt多結晶薄膜ではエリオット・ヤフェット(Elliott-Yafet)機構が支配し、スピン緩和時間と電子散乱時間が比例関係にあることを確認した。一方、Pt単結晶薄膜では、スピン緩和時間と電子散乱時間が逆比例しており、デャコノフ・ペレル(Dyakonov-Pelel)機構が重要な役割を果たしていることを突き止めた。

 今回の研究成果は、化合物半導体ヘテロ構造で知られるラッシュバ(Rashba)スピン軌道相互作用が、スピン緩和に寄与していることを示唆しており、電界によるスピン歳差運動の制御が可能であることを示したものだという。

最終更新:7月4日(月)13時54分

EE Times Japan

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