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蓄電池内部の挙動、原子レベルで解析に成功

EE Times Japan 7月4日(月)15時38分配信

■全固体電池など次世代蓄電池の性能向上にも期待

 東京工業大学と高エネルギー加速器研究機構、京都大学らの研究グループは2016年7月、蓄電池内部における充放電時の挙動を、原子レベルで解析することに成功したと発表した。中性子線を用い蓄電池内部の挙動を非破壊でリアルタイムに観測し、自動解析するシステムの開発によって実現することができた。

【充放電中の電極材料の構造変化をリアルタイムで観測し、リートベルト法により構造解析した結果例】

 研究グループは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「革新型蓄電池プロジェクト(RISING)」(2009~2015年度)に取り組んできた。このプロジェクトでは、蓄電池の耐久性や安全性などのさらなる向上に加え、ガソリン車並みの走行性能を可能とするEV(電気自動車)用蓄電池(革新型蓄電池)の実現に向けて、基礎技術の研究/開発を行ってきた。電池の基礎的な反応メカニズムの解明もその1つである。

 研究グループはまず、中性子線を用いて電池内部の電気化学反応と電極材料の構造変化などを、実動作環境下で観測(オペランド測定)できるシステム(中性子回折計)を開発した。このシステムを用いると、リチウムイオンなど軽元素の挙動を非破壊かつリアルタイムに観測し、そのデータを自動解析することができるという。

 次に、一般的な18650型円筒リチウムイオン電池を0.05~2Cレートで充放電させ、その時の内部反応を、今回開発したシステムで観察した。この結果、負極側では「不均一な電池反応が進行し、高レートでは反応に寄与しない相が発生する」ことや、「充電と放電で反応機構が異なる」ことが判明した。一方、正極側では「放電時に使用される組成領域が、高レートで変化する」ことなどが分かった。研究グループは、「充放電時に不均一かつ非平衡に進行する電池反応を観察できたのは世界でも初めて」と主張する。

 今回の研究成果は、現地時間2016年6月30日発行の英国科学誌「サイエンティフィックリポーツ(Scientific Reports)」に掲載された。

最終更新:7月4日(月)15時38分

EE Times Japan