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暑い大阪に“熱い空間”が出現――「第9回ポタフェス2016 in 大阪」に行ってきた

ITmedia LifeStyle 7月4日(月)20時44分配信

 月が変わってから連日“真夏日”を記録している大阪で7月3日(日)、ポータブルオーディオ関連の大型体験イベント「第9回ポータブルオーディオフェスティバル2016 in 大阪」(ポタフェス)が開催された。第1回以来となる“フルサイズ”のポタフェスが大阪に帰ってくるということもあり、暑さの中でも会場は多くのオーディオファンで賑わった。

オープン前の待機列の様子。開場時にはおよそ100名の行列になっていた

●広い広い! 高級オフィス街の広大な展示スペース

 今回の会場となったのは大阪・梅田の複合商業施設「ハービスOSAKA」の地下ホール「ハービスホール」。大阪駅から地下街を通って数分という好立地で、周辺には高級ブランドショップやオフィスが軒を連ねる「ハービスENT」や、「ヒルトン大阪」「ザ・リッツ・カールトン大阪」などのラグジュアリーホテルが並ぶ。さらに「ソニーストア大阪」や「キヤノンギャラリー大阪」などのデジモノ系ショールームも徒歩圏内に点在する。

 ポタフェスは、街のオシャレな空気とは若干キャラクターの異なるイベントだが、11時のオープン前から総勢100人以上のオーディオファンが行列を作り、休日の高級オフィス街を折からの晴天以上のオーディオ熱で包み込んだ。多くの来場者を迎えた会場の面積は1676m2と、昨年5月に開催された「ポタフェスLimited2015 in大阪」から倍以上の面積になっている。会場は「ホワイエ」「メインホール」「サブホール」の3カ所で、とくに多くのブースが集まったメインホールは天井も高く、東京でポタフェスが開催される「ベルサール秋葉原」の2階や地下ホールを思わせるような空間だ。

 メインホールとサブホールをつなぐホワイエにステージが用意されたのも、今回の大きな特長だ。ここではお馴染みの人気オーディオライター、野村ケンジ氏がプロデュースしたトークイベントが開催され、今回出展した各社の担当者をゲストに迎えて、ハイレゾ対応プレーヤーやカスタムIEMなどのディープなトークが繰り広げられた。トークイベントで用意されていた50席は満席となり立ち見が出るほどの盛況ぶりを見せ、2回の予定だったイベントを急きょ3回に増やすといううれしいハプニングも発生した。

●次のスタンダード? 「AK70」が一般ユーザー向けに初披露

 今回のイベントで最大のトピックは、Astell & Kernの新しいハイレゾ対応プレーヤー「AK70」と、ドイツ・ベイヤーダイナミックとのコラボイヤフォン「T8iE MkII」が一般ユーザーの前に初めて現れたことだ。とくにAK70は人気ブランドの最普及価格プレーヤーということもあり、その注目度は会場で1、2を争うレベルだった。取り扱い元のアユートブースは人が絶えることがなく、ブースを運営するスタッフも休憩を取ることができないほど多忙を極めたという。もっとも事前の情報が多かったためか来場者からの質問は「自前のSDカードを挿して良いか」程度で、実際の音やユーザビリティーを確かめに来たという人が大多数だった。特に「AK100 II」ユーザーからは熱い視線が注がれていた模様だ。その他、ユーザーからはカラーバリエーションの要望が出ており、標準色の「ミスティミント」以外ではやはり黒の追加を希望する声が多かった。

 野村氏のトークイベントに登壇したアユートの斎藤氏は、壇上でAK70を新世代の技術と設計を採用した「下克上プレーヤー」「とてもAK jrの後継とは思えない」と表現した。物量投入によるプレーヤーの大型化という流れの中、高性能/コンパクトという対極の頂点に到達したと斎藤氏は語る。これには野村氏も同意しており、その上でOTGやDLNAといった高機能化と低価格化を両立したことの重要性を指摘していた。

 「DACはもちろん重要ですが、その後段になるアンプ部が強力になっているため、低域がしっかり沈んで揺れません。電源も強化され、マルチドライバーのIEMもピシャリと鳴らします。言うなれば“強いiPod”みたいな印象ですね」(斎藤氏)

 また、バランス駆動もかなり良くなっているという。「特性値も良く、人によっては『AK380よりも良い』と言う人がいるかもしれません。そのくらいできが良いので、シングルDACという偏見を持たずに是非聴いた上で評価してもらいたいですね。聴けば印象がガラリと変わると、自信を持ってオススメできます。加えてMojoなどの外部DACをデジタルでつなぐと、少なくともDSD 5.6まではネイティブ再生ができます。スタンドアロンも周辺機器も楽しめるプレーヤー。サイズ的にもMojoのベストパートナーです」(同氏)

●地元関西のブランドは気合の入った展示が多数

 今回のポタフェス大阪では、関西の地元ブランドが元気だったことも印象的だった。バランスド・アーマチュア(BA)型ドライバーモデルの価格破壊で一躍名を馳せた京都発のオーディオブランド「ZERO AUDIO」では、全展示を本邦初公開となる秋の新製品で占めるという、思い切った構成でイベントに挑んだ。

 イヤフォンの展示5モデルのうち、「ZB-01」「ZB-02」「ZB-03」の3モデルは新ライン「ZERO BASS」として展開する。中でも上位モデルのZB-03は基本設計が同じ他2機種と異なり、専用ダイナミックドライバーの他にアルミ削り出しのハウジングや自動車の塗装に用いられるベーキングフィニッシュなどのコダワリを詰め込んだモデルだ。価格はいずれもオープンで、ZB-01とZB-02が3500円、ZB-03が5000円を見込んでいる。とくにメーカー側ではZB-03のサウンドクオリティーに自信を見せており、実際に試聴していた参加者が予定価格を聴くと「ウソやろ!?」と感嘆を漏らしていた。

 東大阪に拠点を構える「SATOLEX」も開発中の製品を参考展示した。イヤフォンの「Tubomi」シリーズで以前からハウジングの違いによる音の変化というオーディオ的アプローチに取り組んできた同社だが、今回は真ちゅう削り出しのハウジングを試作。しかも蔵出し品とは別にエージング済みのものも用意するなど、ブランド創設から間もない同社ではあるが、オーディオに対する真摯(しんし)な姿勢が伺える。

 真ちゅうハウジングモデルを「Tubomi3姉妹の長女」と位置付ける同社だが、製造にはかなりコストがかかるらしく、今のところリリースに関しては慎重な姿勢を見せている。まず試作し、先端ユーザーが集うポタフェスで意見を聴くというのが今回の目的だという。

●とにかく人の絶えない盛況の1日

 新しい会場である上に展示面積が倍増したこともあり、運営事務局は少し不安もあったとのことだが、フタを開けてみれば大盛況。床面積が広いため会場の作りはゆったりとしており、移動が困難ということはなかった。それでも人気のアユートブースを筆頭に多くのブースで終始活気が絶えることはなく、一部では「普段のイベントの倍はお客さんが来てくれている」という声も聞かれた。

 各地のポタフェスで来場者を迎えているe☆イヤホン広報部の松田信行氏は、ブース運営のメーカースタッフと同様に休憩を取る暇がない程の忙しさ。時間によっては来場者カウントを兼ねたパンフレット配布が追いつかなくなるなど、予想以上の盛況ぶりに驚きを隠せない様子だった。

 「毎回恒例のスタンプラリーも、実は景品を追加しないと追いつかないくらいお客さんがいらっしゃいました。外が随分と暑かったですが『そんな事はお構いなし』と言わんばかりに多数の方にご来場いただけた事に驚きですね。僕が見た感じではカスタムIEMがかなり人気だったみたいで、こっちも常に注文のお客さんが途切れなかったようですよ。中には2つ3つとインプレッションを取った方もいらっしゃるらしく、想定外の注文数で充填剤が売り切れて店じまいとなったようです。

 こうして見ると市場として確実にネクストステップへ進んでいる感じがしますね。先程のカスタム人気もそうですが、今回は結構女性客を見た気がするんですよ。また普段店舗にいても、ここ最近は年齢層の幅が60代くらいまで広がっている様に思います。ポータブルオーディオが幅広い方に支持されてきており、ジャンル自体も多様化してきているんでしょうね。そういったさまざまなニーズに、専門店としてしっかり応えられるように頑張っていきます」(松田氏)

最終更新:7月4日(月)20時44分

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