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Perfume、海外音楽家が「芸術」と評価するステージの裏側/作品評

MusicVoice 7月4日(月)14時46分配信

 昨年10月に劇場公開された、Perfume(パフューム)初のドキュメンタリー映画『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』が映像作品化され、7月6日に、DVDとBlu-rayでリリースされる。2014年から15年におこなわれたワールドツアーの裏側を完全密着した内容で、昨年は第28回東京国際映画祭パノラマ部門にも選出された。米ミュージシャンから「芸術」と讃えられる彼女たちのステージはどのように作られていくのか。

【写真】映像作品の場面写真

■海外進出を決めた瞬間

 昨年、結成15周年、メジャーデビュー10周年を迎えたPerfume。仏エレクトロデュオのDaft Punkによって世界に広められた“エフェクティブヴォイス”を駆使し、更に、CAPSULEの中田ヤスタカが作り出すポップでダンサブルな楽曲に合わせてハイヒールで踊る姿が特長的だ。足の負担を顧みず美しさを追求したダンスはPerfumeらしさを一層、際立たせている。

 テクノポップとは、海外ではKraftwerk、国内ではYMOやTM NETWORK、電気グルーヴ、TOWA TEI(テイ・トウワ)などのアーティストがシーンを作ってきたジャンルの一つ。シンセサイザーを使用し、様々な音を組み合わせたカラフルなサウンドという印象を持つ。日本にも海外に通用するアーティストが多数存在する稀有なジャンルだ。Perfumeもその海外に通用するアーティストの一組に挙げられるだろう。

 なぜ海外進出を決めたのか。その動機には、2011年に、映画『カーズ2』のワールドプレミアに参加したことがあげられる。『カーズ2』に「ポリリズム」が挿入歌として使われ、その縁があってワールドプレミアに参加。そこでのファンとの交流が彼女たちをワールドツアーへ導くことになった。そこから3年、念願の米ツアーにのっちは「アメリカはラスボス」と米公演に対する特別な思いを語っている。

■最新のテクノロジー

 Perfumeは2012年に、初のワールドツアーを実施。これまでに3度のワールドツアーをおこなってきた。プロジェクションマッピングを使用するなど最新テクノロジーを駆使したステージも注目されている。その彼女たちが日本国内に留まらず、世界各国でも愛されているのはなぜだろうか。その理由は本作品からのぞくことができる。

 Perfumeの魅力の一つに、最新のテクノロジーを駆使したステージも忘れてはいけない。プロジェクションマッピングと呼ばれる、CGを建物や空間に映し出す技術を積極的に取り入れ、ライブを“異世界”に導いていく。

 ただ、最新技術はトラブル発生も起こりうる。オープニングでのLED故障にはハッとさせられるが、ハプニングを乗り越える彼女たちの力も垣間見えた。数々のステージをこなしてきたキャリアが逆境をはね返していく力となる。

■開催地ごとにセットリスト

 人々を魅了するステージはどのようにして、作られていくのか。裏方の仕事にも注目したい。Perfumeの完成度の高いステージが作り上げられる要因の一つに、長年、スタッフが変わっていないことが挙げられるだろう。メジャーの世界では、スタッフが変わることは多々ある。それが単純に新しい要素をもたらすことに繋がることもあるが、また一からのスタートとなり、安定性に欠けることもある。表に立つ3人が最高のパフォーマンスが出来る理由も、その長年のスタッフとの絆が重要なファクターになっている。

 常にファンのことを考えたセットリスト、そこには感謝の気持ちが全面にあふれていた。その国の趣に合わせて組み替えていく。あくなき葛藤から導き出した答えが、海外のオーディエンスにも伝わり、そこには壁がないことを実感させた。「Perfumeのおかげで人生が変わった」と涙ぐみながら語るファンの姿もあった。

 スタッフとセットリストの構成やパフォーマンスの魅せ方を、ファン目線になって試行錯誤を繰り返す。こうした姿は、何気なく観ていたライブへの印象が変わる瞬間でもある。

■米バンドも「芸術」と評価

 海外ファンのことを考え、妥協を一切しない綿密なリハーサル。多くのスタッフと共に最高のステージを作るべく、リハーサル後、Perfume恒例の「ダメ出し会」をおこなう3人の姿をカメラは印象的に捉えられていた。この「ダメ出し会」が、今の彼女たちを作っているファクターのひとつといえる。

 ライブコンサート前の気合入れのシーンも特長的だ。長い時間、手を重ねる彼女たち。ステージに懸ける並々ならぬ想いがそこから伝わってくる。そして、普段は見られない舞台裏。ライブが終了すれば、氷で首を冷やすメンバーから過酷なステージの状況が伝わってくる。

 苦悩と葛藤、3人がそれぞれメンバーの印象などを語るインタビューでは、3人の新たな一面を知ることができる。各国での移動シーンでは和気藹々とした、仲睦まじいシーンも彼女たちの絆が感じられた。ステージを降りた“素”の3人の姿も微笑ましい。オンとオフの切り替えも長く活動していくのには、欠かせない要素だと思わせる。

 そんな彼女たちのステージを、ロサンゼルスのライブハウス「Palladium」でのステージを観に来ていた、「OK Go×Perfume」名義で「I Don't Understand You」でPerfumeとコラボした米ロックバンドのOK Goのメンバーは「はじめは普通のポップスだと思っていても、途端に彼女たちの音楽はアートなんだってわかる。Perfumeは芸術なんだ」と称賛している。

■全力で音楽を楽しむ3人の姿

 このDVDとBlu-Rayには、プロとしての厳しい一面ももちろんだが、全力で音楽を楽しむ3人の姿が余すことなく詰め込まれている。夢を一つずつ実現していくためのサクセスの裏側。ファンはもちろんのこと、それ以外の人たちにも感銘を受けるシーンが多くあるだろう。

 あ~ちゃんの「Perfumeがなくなったら、自分で無くなるんじゃないかなというぐらい、(Perfumeは)本当にかけがえのないものです」という言葉からもわかるように、一つのことに費やした気持ちが、観る者の心を揺さぶり続けるのだろう。米国のファンがこうも言っていた。「偽物のアーティストはいっぱいいるけど、彼女たちは本物だ。だから心を揺れ動かされる」と。(文・村上順一)

最終更新:7月4日(月)14時46分

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