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支え合い20年冊子に 宮前区の「すずの会」が住民主体の地域包括ケア

カナロコ by 神奈川新聞 7月4日(月)17時12分配信

 川崎市宮前区で高齢者の支え合い活動を続けているボランティアグループ「すずの会」(鈴木恵子代表)が、約20年間にわたる住民主体の地域包括ケアの実践報告書をまとめた。介護保険や公的サービスのはざまにあるニーズを多彩な活動で拾い上げ、地域の福祉力を高めてきた同会。急速な高齢化で各地域で同様の取り組みが求められる中、格好の参考書になりそうだ。

 同会は、小学校のPTA仲間5人で1995年に設立。代表の鈴木さんが10年間の母親の介護生活で仲間に支えられた経験を生かそうと始めた。現在は約70人のメンバーが無償で活動に参加している。

 活動は11種類に及ぶ。地域との接点が途絶えがちな高齢者や家族が月2回、老人いこいの家に集まる「ミニデイ」▽民家を借り、風呂や食事、送迎付きの居場所として単身高齢者らを週2回受け入れる「すずの家(や)▽高齢者に関わる34団体が月1回集まるネットワーク会議「野川セブン」-などがある。

 特別養護老人ホーム入所後も会とのつながりを保つ特養内の喫茶運営や支え合いマップづくりなど、住民ならではのこまやかさが特徴だ。高齢者が地域と関わりを保ちながら暮らしていけるよう、医療・介護の専門職とも連携した地域包括ケアの実践は全国から注目され、視察も相次ぐ。

 こうした活動をまとめた冊子は「気になる人を真ん中に~都市部における住民主体の地域包括ケアの実践と効果検証」。A4判、152ページで会の活動報告と事例研究が柱だ。

 事例研究は会が関わった11の事例を紹介。病状が落ち着き療養型病院の母親を自宅介護に切り替えた家族や認知症の母親の介護のために離職した息子、妻が他界して独り暮らしになった認知症の男性などを取り上げた。同会や家族、関係機関が連携した支え合いの経過と対応を詳細につづった。

 さらにそれぞれの事例で同会や近所、家族が行った介護支援活動の経済効果も試算した。月間生活記録表をベースに、仮に介護保険などを利用した場合を数値化。介護保険外の活動の貢献の大きさを示す数字となっている。

 団塊の世代が後期高齢者となる2025年は地域包括ケアシステムの構築が喫緊の課題となっている。自身も団塊の世代で、代表の鈴木さんは「どうやって関わっていけば一人の生活を守れるのかが分かる内容にした。これから地域づくりを始める人や専門職に読んでもらえれば」と話す。経済効果の試算については「介護保険外の地域活動がいかに大切で、公的サービスだけでは成り立たないことを知ってほしい」としている。問い合わせは、すずの会電話044(755)7367へ。

最終更新:7月4日(月)17時12分

カナロコ by 神奈川新聞