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まだまだ続く2016年の大イベントには両建て投資で臨むべし

MONEYzine 7月5日(火)8時0分配信

■どちらに動くかわからない、大イベントに対応するには

 今年は数年に一度の大イベント続きの年です。「どちらに動くかわからない! 」という大イベントに際しては、相場が上がるか下がるかだけを予想してポジションをとる投資手法では手も足も出ないか、根拠の薄い“ギャンブル投資”になってしまいます。それでも思った方向に相場が動けば結果オーライですが、直近の英EU離脱前後の値動きに見るように、相場が両方向に大きく振れてロスカットの憂き目を見ることも少なくありません。

 そこで、オプショナリティを活かした両建て投資で、これからの大イベントをチャンスに変えてガッチリ収益機会に変えることを目指しましょう。

■オプショナリティがある投資とは? 

 オプショナリティがある投資とは、相場が上がった場合と下がった場合の損益が同額ではない投資のことを言います。

 たとえば、A社株を500円で購入した場合、50円上がって550円になれば50円のプラス、50円下がって450円になれば50円のマイナスなので、資産価格が逆方向に動いた場合の損得の絶対値は同じ(方向は逆)になります。この場合、オプショナリティはまったくありません。

 オプショナリティがある投資で、最もシンプルなのはオプションの買い持ち戦略です。A社株を500円で買う権利(コール)を10円で購入したら、オプションの満期まで保有した場合の最大損失は10円です。このときA社株が300円でも200円でも、場合によってはA社が破綻して株価が無価値になっても損失は10円だけです。逆に満期日にA社株が600円になっていれば500円との差額100円から購入コスト10円を引いた90円が利益になります。利益と損失が非対称的なので、相場が大きく動けば普通に株式を保有していた場合に比べて、利益が大きくなるか損失を小さく抑えることができる点が有利になり、それをオプショナリティがあるというわけです。

 また、相場が上がると利益が期待できるコールと、相場が下がると利益が期待できるプットを組み合わせて、どちらでもいいから相場が大きく動けば儲かる両建てポジションにしても、オプショナリティがある投資になります。

 図1はオプショナリティの有無のイメージです。普通の投資でリターンを得るには、相場がどちらかに動くか正しく予想することが必須です。現物株や信用取引での買いポジションは株価が上昇することを前提としていますし、株価指数先物をショートすれば相場が下がらなければ儲かりません。

 一方、オプショナリティがある投資では相場がどちらかに大きく動けばメリットを享受できます。eワラントの買いや上場オプションの買いでは、予想した方向と同じなら利益が期待できますし、逆なら同程度のリスクを現物株でとっていた場合に比較して損失を抑えることができます。このメリットは相場が大きく動けば動くほど大きくなります。「損が小さいなんてメリットじゃない! 」と思うなら、コールとプットを両建てにすれば、相場が動かなければ損失が出るものの、大きく動けば利益が期待できる両建てポジションが簡単に構築できます。

 なお、同じオプション戦略でも、上場オプションなどを用いたオプションの売り(ショート)ポジションはオプショナリティが逆方向に作用します。このため、大イベント前のポジションとしては極めてマズいポジションになってしまうので注意が必要です。

■銘柄選びのポイントは旅行保険と同じ? 

 大イベントに備えてオプショナリティがある投資ポジションを構築する場合、銘柄選びのポイントは旅行保険の選び方に似ています。旅行保険は「入るつもりだったけど契約が成立していなかった」では困りますし、保険でカバーされる対象を細かく吟味するよりもざっくりでも対策をとることの方が重要です。また、旅行保険が有効となる期間は旅行に出かける日数にぴったり合わせるはずで、旅行から戻っても保険契約を継続する必要はありません。具体的には以下の4項目をしっかり押さえれば投資対象の銘柄選びは意外に簡単です。

●流動性:両建ての場合は時差なく同時にポジションを構築することが必須

 eワラントを順張りのレバレッジ投資手段として用いるなら、現在のeワラント価格よりもかなり低い価格に指値注文を入れ、マーケットが一瞬動いたタイミングで購入する場合も少なくありません。しかし、プットとコールを同時に購入してポジションを構築する場合には、片方だけ約定してもう片方は執行中のままでは両建てになりません。また、プットとコールを同時に現在の価格よりも安く購入するというのは、同日中だとまず不可能です(どちらかが上がればどちらかが下がるため)。このため欲張った指値は禁物で、同時に約定させることを最優先する必要があります。

 なお、上場株価指数オプションの買い持ちで両建てポジションを構築する場合には、イベント後にコールとプットを同時に売却する際に流動性が落ちてしまうことがしばしばあるので、手仕舞いを優先し、欲張った売り指値注文を入れないようにすることにも注意が必要です。

●対象原資産:大イベントなら為替か株価指数、OPECがらみなら原油

 大イベントで相場全体が動くと考えるなら、その構成要素である個別株も大きく動くことが予想されます。しかし、個別企業ではその時だけ個別のニュースがあったり、大口投資家の売買で需給が歪んだりすることがあるので、大イベントに備えた投資ポジションとしてはやや難があります。このため、大イベントに備えるのであれば、海外の大イベントなら米ドル/円相場かNYダウなどが使いやすいといえます。

 なお、海外の大イベントでもOPEC総会であれば例外的に原油相場(WTI原油かBrent原油)に投資した方がよいといえます。国内の大イベントであれば日経平均かTOPIXを対象としたeワラントや上場株価指数オプションだけを利用した方が良い場合が多くなります。

●満期までの残存期間:できるだけ短く、低コストに

 大イベントに備えてコールとプットの両建て投資を行ったり、保険代わりにプットを短期間だけ購入したりする場合には、大イベント直前に満期日までの残存期間が短いeワラントや上場株価指数オプションを購入して保険料に相当するポジション保有コストを抑えた方が、全体としての投資パフォーマンスが向上すると考えられます。この場合、イベント終了後に損益にかかわらず即座に手仕舞うことが前提となります。

●権利行使価格:現水準に近いものが基本。両建てなら同じ程度の価格を目安に。

 旅行保険の免責金額に相当すると考えられるのが権利行使価格です。コールとプットの両建て投資の場合は、現在のスポット価格の水準に近いものを組み合わせるのが基本です。出来上がりのポジションを満期日まで保有した場合のペイオフは図2のようになり、オプション戦略ではロング・ストラドルと呼ばれます(名前は仰々しいのですが、単なるコールとプットの両建てです)。

 なお、残存期間が同じで現在のスポット価格に近い同じ権利行使価格のコールとプットが存在しない場合には、次善の策としてちょっと離れた権利行使価格の両建てポジションを構築します。まず、満期日が同じ(または極めて近い)コールとプットで、権利行使価格がスポットに近い銘柄を探して両建てします。

 このとき、1ワラントあたりの原資産数が同じであれば、コールとプットの価格が同程度になっているはずです。価格に大きな違いがあれば残存期間の差が大きすぎるとか、片方が原資産のスポット価格から離れすぎていることになるので、“正しい”両建てポジションになっていない可能性があります。できあがりのポジションを満期まで保有した場合のペイオフのイメージは図3のようになります。

■これからの大イベント攻略のポイント

 英国のEU離脱は世界の金融市場を揺るがす市場ショックとなりました。波乱に備えて株価指数や為替のプットを購入していたり、オプションやeワラントの両建てポジションをとっていたりした方は大成功でしたが、それ以外の多くの投資家には極めて厳しい結果となりました。

 今後数か月にはまだまだ下記のような大イベントが目白押しで、このうち最も注目されるのは11月の米大統領選挙です。こういった結果の予想がつきにくい大イベントでも、オプショナリティを活かした両建て投資を用いれば、数年に一度のまたとない「ガッチリチャンス! 」にできる可能性があります。また、積極的に両建てポジションをとらないとしても、一部だけでもプットで保険をかける投資法を用いれば、擬似的な両建てポジションが簡単に構築できます。

・今後のイベントと両建て対象として注目すべき原資産(例)

7月8日 米雇用統計(6月分):米ドル/円、NYダウ
7月26日、27日 FOMC:米ドル/円、NYダウ
7月10日 参議院選挙:日経平均、TOPIX
8月5日~8月21日 リオ・オリンピック開催:米ドル/円、NYダウ
(終了後のブラジルのデフォルトを懸念) 
9月2日 米雇用統計(8月分):米ドル/円、NYダウ
9月4日、5日 G20首脳会議(中国、杭州):ハンセン指数、ハンセンH株指数
9月20日、21日 FOMC:米ドル/円、NYダウ
11月8日 米大統領選挙:米ドル/円、NYダウ、日経平均、TOPIX

■オプショナリティを活かした投資を実践するなら

 大イベント前では、楽観的に買いポジションをとったり、信用取引やFXで損失が出たら保有資金では足りなくなってしまう程の過大なリスクをとってしまったり、逆にすべて手仕舞って完全にリスクオフとしてチャンスとして活用できなかったりしがちです(図4)。

 一方、オプショナリティを活かせば、(1)株式保有を継続しながらプットを購入してポジションの一部に保険をかけたり、(2)基本はリスクオフポジションとしながら両建てポジションで大イベント後の急騰・急落に投資することも可能となります。どの程度リスクを残して、どうオプショナリティを活かすか考えれば、大イベントが待ち遠しくなるかもしれません。

念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。(eワラント証券 チーフ・オペレーティング・オフィサー 土居雅紹)

最終更新:7月5日(火)8時0分

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