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Macのシステムエラーにおびえながら野球ゲームをプレイしていた頃の話

ITmedia PC USER 7月5日(火)6時10分配信

 いつのまにか、パソコンにイライラさせられることが減っていないか。

 イライラの要因といえば、画面の唐突なフリーズであり、予想外の挙動を見せるアプリケーションであり、無慈悲なほどにあっさり吹っ飛ぶデータであるが、こういった現象にイライラさせられる機会が格段に減っている。

【画像】Macの恐怖のエラー爆弾

 現在、私は2011年に購入したMacBook Airを五年も使っているが、フリーズなんてしたことがない。アプリケーション単体が動かなくなることはあるが、それは個別に強制終了すればいい。「パソコンがフリーズしたから再起動」という行為を、長いことしていない気がする。

 前回も書いたように、私は1990年に初めてMacをさわったんだが、あのころのMacは頻繁にフリーズしていた。息を吸うように再起動していた記憶がある。油断すると、

 「システムエラーが起きました」

 という文字列とともに、爆弾のマークが表示され、再起動するしかない状況に陥っていたのである。子供の頃の私はあの爆弾におびえていた。とにかく何をしていても、ふとした拍子に爆弾が出る。唐突な爆弾ですべてが終わる。非常に殺伐としていた。米ソ冷戦期のような緊張感のあるMac。

●Macのシンプルな野球ゲームにハマッていた

 当時、Mac用のシンプルな野球ゲームがあり、小学生の自分はそれで遊んでいた。このゲームは、みなさんが想像されているよりもはるかにシンプルだったと断言できる。現在のリアルな野球ゲームとは雲泥の差だ。画面は白黒で、音は出ない。選手は棒人間のようなもの。バッターが打つと、結果は「文字」で表示される。例えば「安打」とか「ゴロ」とか「ホームラン」といった具合である。シンプルというよりは「チャチい」。そう言ったほうがいいかもしれない。

 しかし小学生の自分はゲームに飢えていたから、平気で夢中になれた。日々、CPU相手に黙々とプレイしていた。そこで問題になるのが、唐突に起こるシステムエラーだった。ゲームの最中、ピッチャーがボールを投げた瞬間に、システムエラーが起きて爆弾のマークが表示される。するとMacごと再起動だ。もちろん試合は途中で終了、セーブ機能もないから、何回まで進んでいようが台無しになる。

 よくもまあ、そんなゲームに夢中になれたと思う。よっぽど娯楽が少なかったんだろう。私は、敵の四番に向けるのと同じだけの警戒心をシステムエラーにも向けながら、必死でプレイしていた。

●球種とフリーズ確率の関係を発見した

 そのうち、ピッチャーの投げる球種によってフリーズの確率が違うことに気がついた。速すぎるストレートや、曲がりすぎるスライダーは危険だった。おそらくコンピュータへの負荷が違っていたんだろう。当時は細かいことは分からなかったが、それでも「特定のボールがヤバい」とは気づいていた。その結果、試合と無関係な駆け引きが生まれていた。

 「ストレートを投げるか、カーブを投げるか、スライダーか? この投手のストレートじゃ、ちと厳しい。しかしカーブもどうだろう? スライダーはパソコンがフリーズするし……」

 そんな発想でプレイしていた。

 こんなものは、実際の野球でいうならば、「スライダーはドームが爆発するし……」みたいな思考であり、完全におかしい。凄すぎるボールはドーム爆発の引き金になって、観客も選手も吹っ飛んでしまうから、投げるには覚悟がいる。今なら大谷翔平なんかは危険である。絶対に試合中にドームが爆発する。良いピッチャーほど使いにくい。むちゃくちゃである。

●今のパソコンは素晴らしい

 そんな記憶があるから、現在のパソコンには驚かされる。いつのまにか非常にタフな存在になっている。パソコンにイライラさせられることが格段に減った。システムエラーによる再起動は遠い昔のことになり、データが吹っ飛ぶこともめったにない。

 私としては爆弾マークが出ないだけで最高である。とにかくあの頃は、突然のシステムエラーがすべてを終わらせていたんだから。唐突な爆弾におびえながら野球ゲームをする少年がいたんだから。「ピッチャー振りかぶって第一球投げましたッ! ドカーン! 世界は核の炎に包まれた!」みたいな展開が実際にあったんだから。野球かと思ったら、『北斗の拳』がはじまっていたんだから。

<ライター:上田啓太>
1984年生まれのブロガー。京都在住。15歳のときにネットに出会い、人生の半分以上をネットとともに過ごしてきた男。

最終更新:7月5日(火)6時10分

ITmedia PC USER

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