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flumpool 約2年ぶりのアルバムを引っ提げてのツアーで見せた姿/ライブレポート・セトリ

エキサイトミュージック 7/5(火) 17:15配信

 
■flumpool/【flumpool 7th tour 2016「WHAT ABOUT EGGS?」】ライブレポート
2016.06.26(SUN)at 東京国際フォーラム ホールA
(※画像10点)

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「もっと成長して、殻を破ってまた逢いに来る」

6月26日(日)、【flumpool 7th tour 2016「WHAT ABOUT EGGS?」】は、東京国際フォーラムホールAにてファイナルを迎えた。3月にリリースしたアルバム『EGG』は、メンバー各自のインディペンデント精神の高まりや、バンドとしてのグルーヴ感の見直しなど、大きな成長と自己検証の軌跡が刻まれた、後に振り返れば大きな転換点となるであろう作品。そんなアルバムを携えてのツアーは、当然ながら、一本一本が今まで以上の真剣勝負。熱くならないはずがなかった。



開演は18時。卵の殻にひびが入り割れていく様や、雄大な自然の情景が混ざり合う美しいオープニング映像に見惚れていると、突如、ステージの中央に4人が出現。その瞬間、大歓声が沸く。巨大な楕円の球で卵を象ったセットにツアータイトルが映し出されるとアルバム同様「解放区」で幕開け、「逢いたかったぜ、東京!」と山村隆太(Vo&G)がシャウトした。仁王立ちで<ここで 生きて行く>と大きく両手を広げるアクションは、かつてないほどに雄々しい印象を与える。阪井一生(G)のリフでスタートした「Sprechchor」は四つ打ちで軽やかに、続けて「夏よ止めないで~You’re Romantic~」では、山村もアコースティックギターを奏で、爽やかな空気感で会場を包み込まれていく。

「今日は何といってもツアーファイナル! 昨日の晩から緊張して、なかなか寝れへんかったけど……」と最終日ならではの心境を山村が述べると、「一生、スベり倒してたよ?」と、阪井の笑いのクオリティーに難癖を付け始める尼川元気(B)。山村の補足説明によると、ステージに出る前に円陣を組んだ際、「卵の殻が割れた後、お前らどうなるねん? 俺はエッグ・ベネディクトになるけど?」と阪井が宣言した、とのこと。阪井は「お前らが緊張してるのをほぐしてやろう、と思っての一言や!」と主張していた。そんなメンバー間でじゃれ合うようなMCで和ませた後は、「DILEMMA」を披露。阪井の切れ味のよいカッティングと美しいメロディーが、絶妙なアンサンブルを成す。小倉誠司(Dr)が大きな声でカウントしつつスティックを鳴らしてスタートしたのは、「Dear my friend」。こうしたミディアムテンポの落ち着いた楽曲でも、決して飽きさせることなく、しっかりと聴き入らせてしまう。


深いリバーブの効いたSEから不穏な気配を漂わせると、「輪廻」を放ち、それまでとはムードを急変させた。阪井が手掛けるこうしたSEが全編において効力を発揮し、曲間の繋がりをなだらかにしていたことを特筆しておきたい。続く「絶体絶命!!!」では紗幕にモノクロームの映像を投射し、熱くもどこかクールな曲の世界観を表現。終盤の阪井のピッキング・スクラッチ、それに伴い荒ぶっていく小倉のドラミングに、観ているこちらも熱が上昇していく。一瞬の静寂の後ピアノの音色が響くと、「強く儚く」へ。洗練されたメロディー、尼川のグルービーなベース・ライン、華やかな音色を放つ阪井のギターソロ……改めて、名曲だなと感じる。『EGG』からの楽曲群の中に置かれることで、既存の曲がまた違った顔を覗かせるのも不思議だ。

MCではメンバー紹介を盛り込み、サポートメンバーの二人が遊び心を覗かせた場面も。磯貝サイモン(Key&Cho)は、“フランプール”であいうえお作文を綴ったメモを取り出し、「フ:不思議なぐらいすべてが楽しかった」「ラ:楽ではなかったけど、バンドが成長できたリハ期間」などと読み上げて会場を沸かせた。すると、吉田翔平(Violin)は「flumpoolに手紙を書いてきた」と対抗。B4サイズはあろうかという紙を広げ、なぜか自身の生い立ちから詳細に語り出すと、磯貝がムーディーなピアノ伴奏まで奏で始め、阪井の「もうええやん!」のツッコミで幕切れ。山村は「一生との茶番(笑)?」と指摘、会場は笑いに包まれた。小倉は笑いながら立ち上がって挨拶し、「ホンマ、やりづらいわ(笑)。始まる前、切なくて泣きそうになってたのに……」とペースを乱された様子だったが、「ファイナルで寂しいな、という気持ちがあるんですけど、22本、ここに来るまで一本一本すごく充実した、僕らが成長したのを感じられるツアーでした。それも会場に遊びに来てくれた皆さんのお陰」と観客に感謝を述べた。尼川が「ファイナルで言うべきことが何もない。疲れ切ってる、体が」とこぼすと、「お前、(元気という)名前変えろや(笑)!」と山村。「朝からラジオ体操やってきた」(尼川)との発言も飛び出し、磯貝がまた伴奏を付け始める、という一幕も。阪井、山村は互いに紹介し合い、最後に山村は「一人一人が大事なメンバーです!」と観客を称えることを忘れなかった。



「いくつになっても、人に想いを伝えるのは難しいことだけど、大切なこと。自分にとって大切な人であればあるほど難しい」と、山村は“伝えること”にまつわる想いを真摯に語ると、ラブソング「今日の誓い」を披露。結果的に、この曲は後に行われる“発表”への伏線となっていた。

SEに乗せて赤ちゃんの泣き声が響き、阪井のアタックの効いたカッティングからスタートしたのは、尼川が初めて作詞・作曲を手掛けた「産声」。身体にビシビシと響いてくる小倉のバスドラム、山村の歌声はもちろん、阪井、尼川の渾身のコーラス(小倉も、オフマイクだがしっかりと歌っていた)、シンセで置き換えられたホーン・セクションのフレーズ、後奏の阪井のギターソロ、メンバーの清々しい表情……そのすべてが合わさって体現していたのは、迸るような生命力。セットリストに新しい風を吹き込む威力を誇る曲だ、と実感した。

留守番電話に残された伝言メッセージ、発信音などが鳴り響いた後、奏でられたのは「明日キミが泣かないように」。イントロでは尼川が鉄琴を弾くレアな姿も見どころだった。銀河やピンクの花々、緑の葉、紅葉といった映像が背後に映し出される中、男女の目線が交互に現れるこの歌をじっくりと、たしかな説得力を以て彼らは聴かせた。



ライブは終盤に向かい、火花を散らし合うようなエモーショナルなセッションを経て、「夜は眠れるかい?」を投下。山村は黒いフードをすっぽりとかぶり、エフェクトを施した機械的な歌声で攻撃モード全開。その背後で阪井、尼川は小倉のほうを向き、互いに見合って呼吸を揃え、音を刻んでいく。2番ではフードを脱ぎ去って顔を露わにした山村は、髪が乱れるのも厭わず、曲の世界に深く没頭。感情の篭った迫真の歌と演奏に、観客は皆拳を突き上げて応えた。続く「Blue Apple & Red Banana」も、熱くソリッドにプレイ。スモークが噴出して視覚的な刺激も高まる中、シャウト交じりに語気荒く歌う山村。歌も演奏も、アルバム音源以上にロック色を強く前面に押し出した表現になっている。ハードかつ新たな一面で圧倒した後は、「reboot ~あきらめない詩~」を放ち、会場を温かく包み込む。観客は手拍子しながらジャンプを繰り返し、全身でその瞬間を味わっているように見えた。

「まだまだ行けんのか、東京! 準備はいいか?」と山村が呼び掛けると、「Hydrangea」に雪崩れ込む。メンバーが順に歌い繋ぐことでお馴染みの、愛すべき曲である。まずは阪井が、続いて尼川が歌い(いずれも柔らかい美声だ)、やがて山村へとバトンを渡す。朗らかで明るいムードは「夏Dive」へと自然に引き継がれ、会場は開放感で満たされた。本編最後は『EGG』から、EDM要素を盛り込んだ「World beats」を放ち、タオル回しの旋風を巻き起こす。終盤にはカラフルな紙吹雪が舞い、会場全体が祝祭空間へと塗り替えられた。


アンコールではツアーTシャツに着替えて登場すると、「ステージ上も、客席とも呼吸が同じになって、気持ちいい。ホンマにありがとう!」と山村が感謝を述べ、「まだまだ暴れ足りないでしょ?」との煽りから、「星に願いを」を披露。タイトルをコールした瞬間、割れんばかりの大歓声が沸き起こったこの曲、山村はしばしばマイクを客席に向けて歌声を求め、やがて大合唱となっていった。<行かなくちゃ>と力強く歌ったフレーズは、山村の、ひいてはflumpoolの「さらに前進するのだ」という決意表明のようである。「大切なものは君以外に見当たらなくて」で終演、かと思いきや、「ツアーファイナルなので、もう一曲やろうと思います」と山村。「一つ報告があって。プライベートなことで、言おうか迷ってたけど、僕、来月入籍します」と驚きの重大発表。すると、瞬時に大拍手と歓声が沸き起こった。ステージ上のメンバーも温かい表情で山村に拍手を送っている。「相手は高校時代からお付き合いさせてもらってる一般の方で。家族みたいな存在です。ただ、プライベートな変化があっても、これまでも音楽だけに命懸けて来たし、俺は変わらないので、これからも応援よろしくお願いします!」と、真摯に語った。「おめでとう!」の声が飛び交う祝福ムードではあるが、なにぶん突然の報告で驚きが広がる中、阪井はすかさず「俺はハリウッド女優と結婚するしかないな、と」とジョークを飛ばし、場の空気をほぐした。「それぐらい上回るほどの報告せなあかんなって。これで山村一派も阪井軍団に……(笑)」と続け、大きな笑いを誘った。

山村は「このツアー、今日がファイナルで終わってしまうのがすごく寂しいし、音楽と向き合って、殻を破って新しい自分と向き合ったツアーだった」と振り返り、「初めて音楽に出会った時のような気持ち、初期衝動というか。この曲で僕たちと出会ってくれた人も多いかもしれない。そんな始まりの曲で終わりたいと思います」と、デビュー曲「花になれ」を披露。山村は、良い意味で無防備な、殻を破って素顔を曝け出した一人の生身の男性としてそこに立ち、歌っているように見えた。


最後は、今回のツアーをサポートした“7人目のメンバー”だと、神宮司治(Dr/レミオロメン)を紹介。昨年、負傷した小倉に代わりドラマーを務めた恩人をステージに招き入れ、互いにハグを交わし合った場面は、彼らが乗り越えて来た苦境を思い起こさせ、胸を打った。11月にはファンクラブツアーが開催されることを告げた後、「ツアーは終わってしまうけど、僕達flumpoolはもっともっと成長して、殻を破ってまた逢いに来るので。バイバイ!」と明るく山村が締め括り、Tシャツを脱ぎ上半身裸になった小倉がステージを降りて客席をダッシュ、およそ2時間半に及ぶステージは終了した。

渾身のアルバム『EGG』を携えたツアーは、山村の重大発表という忘れがたい一場面も盛り込んで、熱気に包まれて幕を閉じた。デビュー以来築き上げてきたバンドのイメージやある種の型を、彼らはこのライブでもたしかに打ち破り、新たな地平を垣間見せてくれた――そんな夜だった。
(取材・文/大前多恵)

≪セットリスト≫
1. 解放区
2. Sprechchor
3. 夏よ止めないで ~You’re Romantic~
4. DILEMMA
5. Dear my friend
6. 輪廻
7. 絶体絶命!!!
8. 強く儚く
9. 今日の誓い
10. 産声
11. 明日キミが泣かないように
12. 夜は眠れるかい?
13. Blue Apple & Red Banana
14. reboot ~あきらめない詩~
15. Hydrangea
16. 夏Dive
17. World beats
<アンコール>
1. 星に願いを
2. 大切なものは君以外に見当たらなくて
3. 花になれ

最終更新:7/6(水) 17:00

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