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社説[相次ぐ米兵飲酒事故]悪しきサイクルを断て

沖縄タイムス 7/5(火) 5:00配信

 米軍関係者による事件事故、飲酒運転が後を絶たない。
 米軍嘉手納基地所属の2等軍曹が4日午前4時ごろ、道交法違反(酒気帯び運転)容疑で沖縄署に現行犯逮捕された。
 元米海兵隊員の軍属が逮捕された女性暴行殺害事件を受け、米軍は5月27日から6月28日までを服喪期間と位置づけ、基地や自宅の外での飲酒を禁止し、午前0時までの帰宅を義務づけていた。
 凶悪事件が起きると米軍は、再発防止策として外出や飲酒の制限措置を打ち出すが、期間が過ぎて規制が解除されると、事件事故や飲酒運転が再び増え出す。
 日米両政府や米軍の「再発防止策」「綱紀粛正策」は、今もってこの悪しきサイクルを根本から断ち切ることができない。
 飲酒事故は服喪期間中にも起きている。
 6月4日午後11時40分ごろ、同僚の米兵と酒を飲み、自宅に帰る途中、交差点を右折する際、対向車線に入り、軽乗用車2台と衝突し、男女2人にけがを負わせたとして嘉手納基地所属の米海軍2等兵曹が逮捕され、自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)の罪で起訴された。
 綱紀粛正という言葉がむなしく響くような服喪期間中の事故だった。だが、それだけではなかった。
 先月26日午前4時半ごろ、米軍属の男が基地外の市道で、日本人男性の軽自動車と出合い頭の衝突事故を起こし、酒気帯び運転の疑いで沖縄署に逮捕された。
■    ■
 翌日の記者会見で、翁長雄志知事はこう語っている。
 「憤りや悲しみを表現しても、むなしい」
 「綱紀粛正や再発防止を全力でやると言いながら、いとも簡単にこういうことが起きる。これ以上、どう言っていいか全く分からない」
 両政府に対する不信感、何度抗議しても根本的な改善に結びつかない失望感と徒労感。翁長知事だけでなく、多くの県民が似たような感情を共有している。
 女性暴行殺害事件に抗議し、被害者を追悼する19日の県民大会で、集まった約6万5千人(主催者発表)の人々は、声を張り上げる代わりに「怒りは限界を超えた」というメッセージ・ボードを掲げて意思表示した。
 だが、翌20日の記者会見で菅義偉官房長官は、県民大会という名称について触れ、「よく県全体という話がされるが、それはまったくあたらない」と語った。
 大会に参加した人々の気持ちに寄り添うのではなく、大会を過小評価する政治的発言は嘆かわしい限りである。
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 日米両政府は、地位協定で米側に優先的に裁判権が認められている米軍属の範囲を実質的に縮小する方向で大筋合意した。5日に共同発表する。
 だが、県や県議会の地位協定見直し要求は、軍属の範囲縮小で済むようなものではない。慰霊の日の沖縄全戦没者追悼式で県知事、県議会議長、県遺族連合会会長はそろって、基地負担の不条理を訴えた。その声に向き合うことが出発点である。

最終更新:7/5(火) 5:00

沖縄タイムス