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低速の海流を電力に、新潟県沖で2回目の潮流発電実証に着手

スマートジャパン 7月5日(火)11時10分配信

 島国である日本では周辺の海に豊富な再生可能エネルギーが眠ってる。一方、有効活用するためにはクリアしなければいけない技術課題も多い。こうした技術実証を行うため、政府は全国で5県7海域を実証フィールドに指定している。その1つが新潟県沖にある粟島(あわしま)沖の海域だ。ここで2016年7月6日から潮流発電の実証試験が行われる。

 実証は粟島北部の海域で行う。ここに島の東側に位置する内浦港から小型の浮体式発電装置を曳(えい)航して設置し、発電性能や防水性、強度などを検証することが実証の目的だ。実証期間は2016年7月6~9日の4日間で、新潟県海洋エネルギー研究会と日本大学理工学部海洋建築工学科が共同で実施する。実施については地元の粟島浦村と粟島浦漁業協同組合が協力する。

 設置する発電装置は、大きさ1メートルのアルミ製ブレードを3枚備えた水車と浮体で構成されている。スチールとポリエチレンでできた大きさ5.2×4メートルの浮体で海上に浮かべられた水車が、潮流を受けて回転して発電する仕組みだ。水車は双方向に回転するため、潮の満ち引きによって流れが反転した場合でも発電できる。発電機の定格出力は250W(ワット)で、最大出力は300Wである。

 粟島で潮流発電の実証が行われるのは今回で2回目となる。1回目は2014年10月に実施した。その時に用いた発電装置は、長さ0.5メートルのアルミ製のブレード4枚で構成する水車を使った小型のプロトタイプ。発電能力は最大100Wだった。2回目の実証で利用する発電装置は、前回の実証の成果を反映した改良型だ。なお、プロトタイプを用いた1回目の実証では毎秒約1メートルの潮流で20Wを発電できることを確認した。

●低速の潮流でどこまで発電できるか

 新潟県は2014年10月に1回目の潮流発電の実証を行ったあと、国の支援を受けて2015年7月8日~12月10日に、粟島の沖合の実証海域で潮流速度の流況調査を実施した。調査は実証海域を東西の2つに分け、西側では7~9月に、東側では7~12月に流速を計測した。最大の潮流を計測したのは8月に西側で記録した秒速0.83メートルである。また、東西の2つの海域を合わせた調査期間中の平均流速は毎秒0.23メートルだった。

 日本の周辺海域の多くは粟島と同じく、潮流速度が毎秒1メートル未満である。そのため、日本で潮流発電を実用化するためには、こうした低速の潮流でも安定的に発電量を見込める技術の確立が必要になってくる。粟島の2回目の実証で用いられる垂直軸型の発電機は流況調査の結果を受けて開発したもので、低速の潮流での発電に対応することを目指したものだ。

 粟島の周辺海域を活用する潮流発電のプロジェクトは2013年に発足。以降、小型のプロトタイプの開発とその実証、海域の流況調査と着実に成果を重ねてきた。今回、より大型の発電機を利用する2回目の実証で成果が得られれば、プロジェクトはまた一歩前進する。発電装置の開発を手掛ける日本大学と新潟県海洋エネルギー研究会は、将来の実用化時の構想として、現在の約10倍に相当する高さ10メートルの水車を用いた潮流発電機と同時に、太陽光発電や風力発電など活用できるシステムの開発を目指す方針だ。

最終更新:7月5日(火)11時10分

スマートジャパン