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体内の立体構造をより正確に描出する画像処理技術

MONOist 7月5日(火)8時55分配信

 富士フイルムは2016年6月16日、患者ごとの体内の立体構造をより正確に描出できる、人工知能を用いた新たな画像処理技術を開発したと発表した。

 乳がんの早期発見や診断に利用されるマンモグラフィ検査では、2次元の撮影画像で病変を確認するが、病変や乳腺構造が重なって写っている場合などは視認が困難だった。近年、異なる角度から複数枚撮影した乳房の画像を再構成して、乳房内の断層像を生成するトモシンセシス検査の普及が進んでおり、腫瘤と乳腺などの重なりを分離して観察できるため、乳がん検査の精度向上に寄与している。

 同社は2013年にトモシンセシス撮影対応のデジタルX線撮影装置「AMULET Innovality(アミュレット イノバリティ)」を発売。今回、開発した技術を同装置のオプションソフトウェア「トモシンセシス撮影用ソフト Excellent(エクセレント)」に搭載し、富士フイルムメディカルを通じて同年7月1日から発売する。

 今回開発された技術は、X線で撮影した乳腺や脂肪といった人体の構造情報が登録された膨大なデータベースを元に、撮影した画像を独自のアルゴリズムで分析するというものだ。撮影したX線画像から、人体の厚みを推測したり、人体の構造(乳房構造など)のパターンに当てはまらないと認識したものをノイズとして画像から取り除いたりする。これにより、これまで見分けにくかったノイズと微小な石灰化が見分けやすくなるなど、粒状性が良く、診断に適した高精細なX線画像を提供する。

 この技術を搭載したソフトウェアExcellentは、撮影した複数枚の2次元画像を再構成し、乳房の断層像を推定する際に、近似解を繰り返し求めて精度を高める逐次近似法によって被写体の構造の位置情報をより正確に抽出する作業を実施。乳腺や石灰化など乳房の立体構造を高精度に認識する。逐次近似法は抽出作業を繰り返すために一般的には処理に時間がかかるが、同社独自のアルゴリズムを用いることで、被写体の正確な構造を迅速に認識することが可能になった。さらに、断層像を再構成する際に活用する画像の情報量を従来比の約4倍に増やし、乳房の微細構造をより精細に復元して、読影しやすい画像を生成する。

 これらの特長により、これまでと同等の高画質でありながら、従来比最大約4割の低線量化が可能となるという。

 トモシンセシス撮影キットおよび「トモシンセシス撮影用ソフト Excellent」の標準ユーザー渡し価格は、2690万円(税別)となっている。

最終更新:7月5日(火)8時55分

MONOist