ここから本文です

BSスカパー!が、大人気漫画「弱虫ペダル」の“実写化”でこだわったこと

ITmedia ビジネスオンライン 7月5日(火)20時2分配信

 人気漫画の実写版となる、連続ドラマ「弱虫ペダル」が、8月26日からBSスカパー!で放映される。原作の人気が高い作品の場合、実写化にはファンからの拒否反応が強いこともあるが、スカパー!によるドラマはファンからの評価も高い。女性ファンも多い「弱虫ペダル」のドラマ化でこだわったこととは?

【ドラマ版「弱虫ペダル」のキャストの画像を見る】

 毎週金曜日、午後9時からの1時間ドラマで、全7話の予定。7月5日には、キャスト陣と監督が作品を語る記者会見が都内で開かれた。

 ドラマの原作は漫画「弱虫ペダル」(作・渡辺航、週刊少年チャンピオン連載)。自転車ロードレースに青春をかける男子高校生を描いた人気漫画だ。現在単行本は45巻まで発売されており、累計発行部数は1500万部を突破。『弱虫ペダル』をきっかけに自転車を本格的に始める子どもや女性が増え、「自転車ブーム」のけん引役となった。

 BSスカパー!は、14年から「地上波にはできない番組づくり」をモットーに番組編成を強化。オリジナルバラエティーやドラマの制作に力を入れた。その一環として、「アカギ~闇に降り立った天才~」(原作・福本伸行)「ひぐらしのなく頃に」(原作・竜騎士07)など、漫画やゲームをもとにした実写ドラマを次々と制作している。

 “2次元”(漫画)を“3次元”にする実写化は、原作が愛されていれば愛されているほど、ファンから失望の声が上がることが多い。しかしスカパー!の実写化は、「アカギ」では主人公「赤木しげる」に本郷奏多を、「ひぐらし」には主要キャストにNGT48のアイドルを起用し、それぞれ原作ファンからも支持を得ている、珍しい“成功例”なのだ。

“2.5次元”キャストがそろって出演

 「弱虫ペダル」実写ドラマ化にあたっても、スカパー!はキャスティングに力を入れた。本作はもともとメディアミックスを積極的に行っている。小説やスピンオフ漫画、テレビアニメに劇場版アニメ……そして特徴的なのは「舞台」での展開だ。

 舞台「弱虫ペダル」(通称「ペダステ」)は12年に始まり、キャストを入れ替えつつ計8本の公演を行っている。チケットは毎公演完売、ソフト化もされた。こうした2次元作品の舞台やミュージカルのことを「2.5次元」と呼び、ぴあ総研の調べによれば15年には市場規模が100億円を超えたといわれている。

 ドラマは、舞台版に出演していたキャストや、2.5次元舞台で活躍しているキャストを多数起用しているのだ。

 「『弱虫ペダル』は大人気漫画を原作にしているうえに、アニメや舞台も大成功している。“3番手”として、責任は大きい。いいドラマを作っていくためにも、3次元にコンバートするためにも、2.5次元のキャストの力をお借りしたい」(長内敦プロデューサー)

 主人公の小野田坂道を演じるのは、舞台版2公演で同役を務めた小越勇輝。小越は2.5次元舞台ブームのはしりとなったミュージカル「テニスの王子様」(通称「テニミュ」)セカンドシーズンでも主人公の越前リョーマを演じ、通算500回にわたって出演して「プリンス・オブ・テニミュ」と称された。

 他にも、今泉俊輔役の木村達成は「テニミュ」セカンドシーズンや舞台「ハイキュー!!」に、鳴子章吉役の深澤大河は舞台「ダイヤのA」に出演――と、根強い人気と実力をもつ“2.5次元俳優”がそろっている。さらに舞台版でおなじみのキャストが出演となれば、ファンの期待は高まる。

 舞台版では、ロードバイクの“ハンドルだけ”を用いてロードレースシーンを演出していた。……と聞くと、「オモシロ要素の強い舞台なのか?」と思うかもしれないが、だんだん本当に自転車で走っているように見えてくるのが舞台の面白いところだ。

「いろんな思いがある実写ドラマ化」

 とはいえ、ドラマと舞台では必然的に演出が変わってくる。ドラマ版では、キャストが実際にロードバイクで駆け抜ける。プロの指導のもと、太ももがパンパンになるまで練習しているのだという。ドラマ版から初参加のキャストは、特に筋トレに精を出しているのだとか。

 自転車も、スポーツサイクル専門店「Y'sRoad」(ワイズロード)の協力を受け、原作を忠実に再現したモデルを用意。登場人物の1人、今泉が乗る自転車ブランド「スコット」には青のモデルはないが、原作に合わせて特注した。物語の序盤で坂道が乗っているママチャリも、今回のための特別製だ。

 会見では、キャスト陣の意気込みが口々に語られた。

 「舞台版の初期段階から参加している僕たちにとっては、いろんな思いがある実写ドラマ化。でも自分たちにとっては、夢があるとてもありがたい話。キャストに現場で会って、垣根を超えてドラマ化されたと実感した。舞台ではオーバーに演技をしていたがドラマは繊細。表情や筋肉の動きなど、繊細に作り上げられているドラマを楽しんでほしい」(郷本直也/金城真護役)

 「舞台の初演の話を受けて初めて原作を読んだときの『ロードレースって楽しいんだな』という新しい思いを、ドラマ版でも抱いていきたい。舞台では演じるうちにキャラクターを理解して演じぬいた。もう一度キャラクターと走れる時間を大切にしたい」(鈴木拡樹/荒北靖友役)

 「『弱虫ペダル』という作品の魅力に引き付けられ続けている。この作品に出合えたことは自分の人生にとってすごく大きいし、この出会いを大事にしたい」(植田圭輔/真波山岳役)

 プロデューサーやキャスト陣のこだわりが詰まったドラマ「弱虫ペダル」。監督を務めるのは「半沢直樹」「下町ロケット」の演出を担当した棚澤孝義さんも「友情を丁寧に描いた」と語る。

 BSスカパー!を運営するスカパーJSATの16年3月期は、加入者数が3期ぶりに純増し、過去最高益となっている。ドラマ「弱虫ペダル」は、好調のスピードをさらに上げられるのか――。同社は、第1話を無料放送するほか、7月に事前特番を放送するなど、既存契約者や新規契約を検討する視聴者に対してアピールする。

最終更新:7月5日(火)20時2分

ITmedia ビジネスオンライン