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原発銀座で聞こえぬ原発政策論戦 参院選各陣営「優先順位低い」

福井新聞ONLINE 7月5日(火)8時23分配信

 福井県内原発の稼働ゼロが続く中、参院選の福井選挙区で原子力政策の論戦は低調だ。自民党現職の山崎正昭候補(74)は「安全が確保された原発は再稼働する」との政府方針を訴えているが、踏み込んだ発言はない。野党統一候補で新人の横山龍寛候補(51)は、野党間の原発に対するスタンスの違いを背景に一切演説で取り上げていない。双方の陣営からは「争点となる原発の新たな話題がなく、優先順位が低い」といった声も漏れる。

 ■弁士は新増設議論示唆

 「高浜はエネルギー政策に貢献してきた地域。ハイレベルの安全規制がしっかりと守られ、それに合致するものは再稼働する。それが地域振興につながる方向性だ」

 2日夜、高浜町文化会館で開いた個人演説会で、山崎候補は、原子力政策に一定程度の時間を割いた。関西電力高浜3、4号機の運転差し止めを命じた大津地裁の仮処分決定で揺れる地域だけに、支持者も熱心に耳を傾けた。

 その約30分後、同じ立地地域のおおい町の演説会では一切触れずじまい。同町の無職男性(76)は「国の原子力政策を不安に感じる。(山崎候補には)やはり訴えてほしかった」と残念がった。

 選対本部長の仲倉典克県会議長は「安全が確認された原発は動かす政府方針は何ら変わっておらず、目の前にある争点にはなりえていない。この選挙はアベノミクスを前に進めるかどうかの選択」と強調した。

 ただ、高浜町の演説会で応援弁士に立った本県の国会議員からは、政府が2030年の電源構成で示した原発比率20~22%の実現に向けた取り組みを示唆する発言が相次いだ。

 高木毅復興相は「再稼働が進み時期がくれば、リプレース(置き換え)や新増設も必要になってくると思う」。滝波宏文参院議員も「エネルギー基本計画が来年見直しになり、新増設やリプレースなどの問題を含めて骨太な政策を前に進める」と語った。

 ■「共闘相手への配慮」

 野党統一候補の横山候補は6月30日、敦賀市一円をくまなく回った。北陸新幹線の延伸に伴うまちづくりの必要性に多くの時間を割いたが、原発に関する訴えは全くなし。7月4日に小浜市で開いた決起集会でも言及しなかった。

 横山候補は、立候補表明時に「50年近く(原発とともに)まちづくりされてきた。いきなり変えられない」と主張。原発を短期的には活用し、中長期的には依存しない社会を目指す考えだ。

 しかし選挙戦で踏み込まない背景には「共闘相手への配慮」(陣営担当)がある。横山候補を支援する団体「ピースふくい」に参加する共産、社民両党と政治団体「緑の党」が明確に再稼働反対を示す一方、民進党は「2030年代に原発ゼロ」という微妙な表現。安全保障関連法反対の一点共闘のため、原発を訴えから外している格好だ。緑の党の笠原一浩弁護士は「参院選までは涙をのんで応援する」と、脱原発の主張を“封印”する考えだ。

 さらに横山候補が事務局長を務める連合福井内部にも「脱原発」「原発の稼働率向上」双方の主張があり、組織内の対立を先鋭化させないという思惑もある。

 電力会社の労働組合が加盟する県電力総連の幹部は「考え方に多少違う部分があるとしても、現実論で横山候補を推薦している」と語る。その上で「訴える優先順位が低いだけで、聞かれればきちんと答えている」と話した。

 一方、幸福実現党の新人、白川康之候補(59)は原発推進の立場だ。「日本はエネルギー自給率が6%しかなく、安全が確認された原発は再稼働すべきだ」と訴えている。

福井新聞社

最終更新:7月5日(火)8時23分

福井新聞ONLINE