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崖っぷちのジャパンディスプレイ

ニュースソクラ 7月5日(火)13時0分配信

2期連続最終赤字 脱却できない「スマホ依存」

 ジャパンディスプレイ(JDI)の株主総会が6下旬に開かれ、今年3月決算で2期連続の最終赤字になったことが大きな話題となった。主力のスマートフォン向け液晶パネル事業が、海外メーカーとの価格競争で売り上げが悪化したことが原因と見られる。同社の株主からは「海外メーカーに勝てるのか」といった厳しい質問も相次いだ。

 ジャパンディスプレイは今年3月、台湾メーカー鴻海(ホンハイ)とシャープとの事業統合を巡って争った。政府の産業革新機構が公的資金を投資しようとして競ったが、結果的に鴻海に金銭面で太刀打ちできず敗れ去った。今後はいかに単独で競争力をつけていくかが課題となってくる。
 
 2012年4月に日立製作所、東芝、ソニーの3社の液晶事業を統合し誕生したジャパンディスプレイ。同社の売り上げの9割近くを支えるのが、スマートフォン向け液晶パネル事業だ。「スマホ依存からの脱却」2015年6月に退任した初代社長の大塚周一前社長、現会長の本間満最高経営責任者(CEO)は、スマホ一本やりになっている同社の経営を改革するために何度もこの言葉を口にしてきた。しかし、その依存度は高まる一方だ。

 20.9%(2013年)、31.0%(2014年)、53.7%(2015年)。この数字はジャパンディスプレイの売上高を占める米アップル社の数字だ。この数字を見るとスマホ依存、アップル依存は年々顕著になっているのが分かる。だがアップルの業績はだんだんと悪化している。アップル社の今年1月~3月期の総売上は、506億ドル(約5.6兆円)と前年比13%の減となった。iPhoneの出荷台数を見てみると、今年1月から3月の出荷台数は5120万台で前年同期の6120万台から大きく落ち込んでしまった。

 この状況にジャパンディスプレイも手をこまねいているわけではない。今年3月から大規模な構造改革に踏み切った。45歳以上の一定条件を満たす正社員に早期退職を促すほか、全国7箇所ある工場のうち、東浦工場(愛知県)と茂原工場(千葉県)の旧式ラインを順次停止していくことは決めた。またスマホ依存を脱却するため、2019年3月までの3年間で、これまでの低音ポリシリコン(LTPS)を進化させた高精細液晶や有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)に1000億円以上の研究開発費を投入することを決定した。

 人事面でも新しい人物を迎え入れる。シャープの元専務の方志教和氏が役員として就任する。方志氏は、シャープの亀山工場の立ち上げに大きく関わり、アップルやフォードなど海外メーカーとのパイプを持つ人物。事業統合こそ実らなかったものの、方志氏というシャープの重鎮を招き入れることによって、事業の安定化を図るという。 

「スマホの世界で液晶が有機ELに置き換わることはない」現会長の本間氏は断言する。有賀社長も「有機ELもやるけど液晶で勝負していきたい」と語る。トップの言葉通り今後もあくまで力を入れるのは液晶だ。今後開発される家電や車に多くのディスプレーが搭載されることが予想され、需要は高まっていくとみられる。しかし、現在9割近いスマホ依存を2020年までに50%までにすることが求められる。今後は新規事業を分散させ、競争力を高めることが鍵となってくるだろう。

ニュースソクラ編集部

最終更新:7月5日(火)13時0分

ニュースソクラ