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北朝鮮の最高人民会議 韓国に対話攻勢か

ニュースソクラ 7月5日(火)16時0分配信

注目は「祖国統一委員会」の格上げ

 平壌で6月末に開かれた北朝鮮の最高人民会議(国会に相当)は、これまで国家の最高指導機関とされていた国防委員会を「国務委員会」に改称し、メンバーを入れ換える決定がなされた。

 韓国の専門家は、「国務委員会」よりも、これまで朝鮮労働党の外郭機関だった南北交流、対南工作機関「祖国平和統一委員会」が、国家機関に格上げされたことに注目している。北朝鮮が、韓国に対して「対話攻勢」をかける下準備との見方だ。

 今回の決定に伴い、憲法の一部が改正された。改正内容を伝える30日付の労働新聞の記事によると、国防委員会が「国務委員会」に名前を変え、「国家主権の最高政策的指導機関」と規定された。「委員長、副委員長、委員らで構成される」とも決められた。

 金正恩氏がトップの国務委員長に就任し、副委員長には黄炳瑞・軍総政治局長。崔龍海・党副委員長、朴奉珠首相が選ばれた。

 国防委員会の名前を単に変えただけではない。これまで軍人中心だった構成メンバーを入れ換え、外交、国防、行政、治安機関の代表が選ばれている。軍事色が薄められているのだ。
 
 また、8人の委員の中には外交担当の李洙ヨン党中央委員会政治局員と、李容浩外相という外交のトップが入っているのが目を引く。外交や経済を中心とした、文字通り国務の全般を取り仕切る組織となる模様だ。

 また、最高人民会議で演説した朴奉珠首相は、北朝鮮が5月の党大会で明らかにした国家経済発展5カ年戦略(2016~2020年)について触れた。

 電力生産量の拡大、鉄道貨物輸送量向上、農業、畜産、水産を軸とした食料問題の解決などを約束したが、具体的な目標には言及せず、経済難克服に向けた見通しが立ってないことをにじませた。

 一連の人事と同時に、憲法改正によって「祖国平和統一委員会」が格上げされ、国家機関となった。この委員会は、これまでは朝鮮労働党統一戦線部傘下にあり、党の外郭機関の1つという位置付けだった。

 韓国政府の省庁の1つで、統一問題を手がける「統一省」とはランクが合わないため、協議の障害になっていた。今後、「祖国平和統一委員会」が、南北対話の北朝鮮側の正式窓口となると見られる。

 韓国の専門家は、「北朝鮮は統一問題を前面に打ち出して、韓国側を積極的に揺さぶる狙いがある」と分析している。

 朴槿恵政権は、対話と協力を柱とした「朝鮮半島信頼プロセス」を発表し、北朝鮮と積極的に対話していたが、今年2月の第4次核実験後に方針を転換。北朝鮮の核放棄がない限り、対話には応じないとしている。

■五味洋治 ジャーナリスト
1958年7月26日生まれ。長野県茅野市出身。実家は、標高700メートルの場所にある。現在は埼玉県さいたま市在住。早大卒業後、新聞社から韓国と中国に派遣され、万年情報不足の北朝鮮情勢の取材にのめりこんだ。2012年には、北朝鮮の故金正日総書記の長男正男氏とのインタビューやメールをまとめて本にしたが、現在は連絡が途絶えている。最近は、中国、台湾、香港と関心を広げ、現地にたびたび足を運んでいる。

最終更新:7月5日(火)16時0分

ニュースソクラ