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「新日鉄住金・住商の油井管長契」〈上―営業・販売編〉=多様なニーズに緻密対応

鉄鋼新聞 7/5(火) 6:00配信

 新日鉄住金と住友商事が昨年から今年にかけて、オイルメジャーのスタットオイル、シェル、BPとの油井管販売に関する長期販売契約を相次いで更新した。既存契約の継続・深化によって、当面予想される厳しい油井管マーケットを乗り切る方針だ。また、新日鉄住金発足後の長契更新では、油井管のスペックやサイズレンジでの統合シナジー効果が出しやすくなり、オイルメジャーにとってもさらにメリットが高まったものとみられる。「製・販・研・技」の四位一体で油井管長契の深化を図る戦略を検証する。(後藤 隆博)

 新日鉄住金は油井管販売事業で、スタットオイル、シェル、BP、エクソン・モービル、ペトロナス向けという五つのオイルメジャー向け長契を持つ。今回更新した各社とはそれぞれ30年以上にわたって油井管の販売を継続、信頼関係を築いてきた。新日鉄住金の油井管販売量に占める長契比率は5~6割程度で、一定販売数量確保の観点から、需要動向に左右されにくいメリットがある。
 原油価格の低迷から、石油・天然ガスなどのエネルギー開発需要は世界的に低迷。油井管最大需要地である米国の稼働リグカウント数は、現行統計開始以来最低水準の400基台前半まで落ち込み、原油価格は一時期1バレル30ドル台を割り込んだ(WTI先物取引)。リグカウント、原油価格とも足元はやや底を打った感があるが、油井管市場は当面厳しい状況が続くとの見方が大勢だ。
 こうしたマーケット環境下にもかかわらず油井管の需要家であるオイルメジャーが長契を更新したのは、新日鉄住金と住友商事が長年培ってきた単なるデリバリー能力だけではない、厳しい品質要求への対応や技術開発、付帯サービスの提供など総合的なソリューション提案が評価されていることが背景にある。
 新日鉄住金としては「カーボン鋼とハイアロイ(高合金)油井管両方の製造が可能な唯一の一貫サプライヤー」としての立場が強みになる。住友商事との協業によるトータル・ソリューション・サービスの供給体制は他社の追随を許さない。また、R&Dに関しては尼崎研究開発センター(兵庫県尼崎市)の機能もオイルメジャーにとっては大きな魅力になっている。
 今回長契を更新したオイルメジャーのうち、スタットオイルは北海開発向けなどでの耐サワー鋼やオフショアノウハウのニーズが高い。シェルは英BGグループを買収するなど、近年LNG開発にシフト。BPはアゼルバイジャンなどでの開発を活発化させている。それぞれ得意とする開発分野や地域が異なるため、多岐にわたるスペック・サービスニーズに対しても、住友商事とのコンビネーションによるグローバル+ローカライゼーション対応を徹底する。
 住友商事は現在、世界11カ国14拠点25プロジェクトでサプライ・チェーン・マネジメントを展開している。更新した長契に関しても、開発プロジェクトによって同社の在庫拠点等を利用したデリバリー、油井機器部品製造会社ハウコの機能活用なども検討していく。
 従来、旧住友金属工業が得意としてきた油井管長契ビジネスだが、新日鉄住金となってスペック面でも幅が広がった。和歌山製鉄所で製造する16インチ以下の継目無鋼管に加え、旧新日本製鉄の光鋼管部(現新日鉄住金大分製鉄所光地区)の16インチアップの電縫管を一社で一括供給できる体制が整い、オイルメジャーにとってはより使い勝手が良くなったと言える。
 需要地域によってはバローレックと共同出資するブラジルの鋼管製造会社バローレック・アンド・スミトモ・トゥーボス・ド・ブラジル(VSB)からも供給していく。同社は今年中をめどに、バローレックの現地完全子会社バローレック・トゥーボス・ド・ブラジル(VBR)と経営統合し、新会社「バローレック・ソルソン・チューブラレス・ド・ブラジル(VSB)」となる予定。すでにシェルやBP向けで供給実績がある。
 現状の原油価格推移などを考慮して、本格的な油井管需要の回復は2018年以降とみられている。新日鉄住金と住友商事は、長契をベースカーゴに比較的需要が堅調な中東などで競争力ある品種のニーズを捕捉。難局をしのいでいく。

最終更新:7/5(火) 6:00

鉄鋼新聞