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関西エリア、医療・電池の次は“航空機” サプライチェーン構築へ近畿経産局がプラットフォーム発足

日刊工業新聞電子版 7月5日(火)18時20分配信

メーカー・サプライヤー、事業環境整備を討議

 関西を航空機産業の集積地に―。三菱重工業が神戸造船所(神戸市兵庫区)で国産小型ジェット旅客機「MRJ」の主翼部品の生産を決めるなど、関西でも航空機産業への期待が高まっている。そんな中、近畿経済産業局は関西にある各クラスターを連携し、航空機のサプライチェーンを目指す産官の組織「関西航空機産業プラットフォーム」を立ち上げた。新たな成長産業として立ち上がるのか、関西における航空機産業の拡大と活性化を目指す取り組みを追った。(編集委員・青木俊次、神戸支局長・広瀬友彦)

 関西航空機産業プラットフォームには、協力企業などサプライヤーが組織するクラスターと、航空機関連メーカーの両方が参加した。サプライヤー側では、神戸航空機クラスター研究会や次世代型航空機部品供給ネットワークなど六つの航空機関連地域クラスターと、参入を目指す企業が参加。一方、航空機関連メーカーでは川崎重工業と島津製作所、新明和工業、神戸製鋼所、住友精密工業、三菱重工の6社が参加した。新産業創造研究機構(NIRO)が事務局となり、大阪府や神戸市などの自治体、関西経済連合会、大阪商工会議所なども名を連ねている。

 6月21日には第1回運営会議を開催。近畿経済産業局の花内美佐子産業部長は「プラットフォームの発展に尽くしたい」と力を込め、参加企業も航空機産業の活性化に意欲をみせた。今後、運営会議で関西航空機産業の将来や事業の環境整備などを討議し、実務者会議で具体策を検討する。

 プラットフォームでは各航空機関連メーカーのニーズに精通したコーディネーターを各クラスターに配置。新規参入企業の発掘や中小企業を組織したサプライチェーンの構築などに取り組む。さらに加工技術の研究や高度人材の育成のほか、関西以外の地域との連携も進めていく計画だ。

■需要取り込み生産量大幅増
【メーカー、高度人材を育成】
 運営会議に参加した企業からは期待の声が挙がった。牧村実川崎重工顧問は「サプライチェーンが実現すれば、生産量の大幅増加という喫緊の課題に対応できる。高度技術人材の育成や複合材・新素材加工などで基盤固めをして航空機需要をうまく取り込めれば、関西が航空機産業拠点になれる」と話す。

【非破壊検査協力】
 運営会議では特殊工程の非破壊検査体制についても意見が交わされた。中小企業にとっては導入の負担が大きいが、住友精密の綾仁正人取締役航空宇宙戦略企画部長は「協力企業で非破壊検査ができれば工程を効率化できる」と指摘し、人材育成も課題に挙げる。先行投資型の航空機産業の特徴を踏まえ「投資した資産や負債のオフバランス化が必要」(綾仁部長)とも指摘する。

【サプライヤー、専門知識支援を】
 サプライヤー側からは、高橋和行次世代型航空機部品供給ネットワーク(OWO)会長が「航空機メーカーの現役生産者による工程管理など専門知識の支援を」と訴えた。一方で五十嵐健ジャパンエアロネットワーク最高執行責任者が「これまでサプライヤーは甘やかされてきた」と話すように、協力企業側の力不足を指摘する声も。

 ひょうご航空ビジネス・プロジェクト(神戸市中央区)を代表して出席したナサダ(兵庫県姫路市)の進藤茂實社長は「大手企業から、航空機産業参入における品質やコストでの厳しい話をいろいろ聞かせてもらった。1社での対応は難しい面があるが、我々の持つ企業ネットワークを活用し解決法を見つけたい」と話す。

 その一方で「(航空機関連企業が発注する)仕事の案件は明らかに増える」と再確認。同社は30年近く航空機部品を手がけてきたが、ビジネスチャンス拡大に期待を寄せる。

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最終更新:7月5日(火)18時20分

日刊工業新聞電子版