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三菱重工初のホールディング会社は成功するか。売上高1兆円に必要なこと

ニュースイッチ 7月5日(火)11時30分配信

「進むべき道がなかったら、自分で道を切り開こう」(前川社長)

 三菱重工フォークリフト&エンジン・ターボホールディングス(M―FET)が、2020年度の売上高1兆円(15年度は約7300億円)達成に向けて本格始動した。1日にディーゼル・ガスエンジンや自動車向けターボチャージャー(過給器)を扱う事業会社の営業を開始。傘下に置くフォークリフト、エンジン、ターボチャージャーの事業会社がそろった。目標到達には事業間の垣根を取り払い、早期のシナジー創出が不可欠となる。(長塚崇寛、六笠友和)

 エンジンとターボチャージャーの事業会社「三菱重工エンジン&ターボチャージャ(MHIET)」は、M―FETにぶら下がる形で設立。フォークリフトなど物流機器事業との連携を加速させ、20年度に売上高4500億円(同約3000億円)を目指す。

 開発体制からも組織横断で相乗効果を生み出そうとする意思が明らかだ。1日に仮想組織として「エンジン・ターボ開発センター」を新設。同センター内で、MHIETのエンジン・エナジー事業部、ターボ事業部がM―FET傘下のユニキャリアのエンジン会社、三菱重工本体の総合研究所と一体で開発する体制を整えた。全体で300人規模の陣容に拡充した。

 一方、MHIET自前の開発体制も強化する。ターボチャージャー技術の最先端市場の欧州でターボ開発のテコ入れに動く。オランダの現地子会社を相模原に次ぐ、ターボ開発の第2の拠点に位置付ける。開発体制の拡充成果として、2―3年先にガソリン車向けを、4―6年先にハイブリッド車、プラグインハイブリッド車向けの新型ターボを投入する。

 オランダではまずは17年に約10億円を投じ、稼働評価や性能試験などをする実験ブースを現在比2倍の10ベンチに増やす。欧州自動車メーカーのエンジン開発に初期から入り込み、拡販につなげる狙いだ。エンジン事業でもノルウェーに舶用ガスエンジンのエンジニアリングセンターを設ける。

 エンジン事業では高効率エンジン開発とともに、機器の単体売りから周辺機器を組み合わせたソリューション提供に軸足を置く。発電システムの基本計画の設定や設備導入提案から、システムの遠隔監視・制御などO&M(運用・保守)まで事業領域を拡大する。

 顧客の電力購入価格が高騰した際に遠隔で自家発電設備を制御し、購入電力を抑える遠隔制御サービスへの参入も視野に入れる。花沢芳之MHIET社長は4日の会見で「IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)技術などの技術革新に迅速に対応していく」と強調した。

<解説>
 エンジンとターボチャージャーの事業会社「三菱重工エンジン&ターボチャージャ(MHIET)」が発足した1日、MFETの将来を担う中堅社員約20人は、静岡県伊豆市にある三菱重工業の研修所に集結。M-FETグループの最大課題である事業間連携を円滑に進めるため、10年後のあるべき姿やシナジー創出に向けた討論を行った。

 「進むべき道がなかったら、自分で道を切り開こう。それにはグループのコミュニケーションを活発化させないと」-。M-FETの前川篤社長は討論の最中、参加メンバーにこう語りかけた。数百に上る製品を持つ三菱重工グループ。事業部同士の横のつながりが希薄になってしまうのは否めない。

 三菱重工として初の持ち株会社となったM-FETには、三菱重工の全体戦略を担保しつつ、柔軟な自立経営が求められる。この〃権利〃を最大限に生かし、製品の単品販売からシステム提供にかじを切る。

最終更新:7月5日(火)11時30分

ニュースイッチ