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望海風斗、類稀な歌声とセクシーさ披露

Lmaga.jp 7月5日(火)17時3分配信

フラメンコの力強いステップと主演の男役スター・望海風斗(のぞみふうと)の魂のこもった歌声が、渦となって客席に押し寄せてくる。そんなエネルギッシュなミュージカル『ドン・ジュアン』が、「梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ」(大阪市北区)で上演中だ。『るろうに剣心』などヒット作を連発する宝塚歌劇団・雪組の勢いが、ここでも止まらない。

愛を知り、やさしい表情になったドン・ジュアンを演じる望海風斗

モリエールの戯曲やモーツァルト作のオペラ『ドン・ジョヴァンニ』で知られる物語をミュージカル化した本作(2004年にカナダで初演、パリや韓国で上演された人気作の日本初演となる)。あまたの女性をはべらせ快楽を求め続ける色男、ドン・ジュアンを演じる望海風斗は、目線や手の動きひとつまでセクシー。強靭な喉をフルに活かした歌声で、ロックやポップスなど多彩な味わいのフランス産ナンバーを豊かに表現し、観客をノックアウトする。まさに陶酔の上をゆくクオリティだ。

自信に満ちたドン・ジュアンが、騎士団長を決闘で殺したことでストーリーが大きく展開。「お前はいずれ愛によって死ぬ。愛が呪いとなる」という騎士団長の亡霊の予言通り、後半は真実の愛を知ることで運命が狂っていく。婚約者がいながらも彼と愛を深める複雑なヒロイン・マリア(彩みちる)と出会うことで、ドン・ジュアンが変化していく様は見物だ。また、「神様に背き娼婦になった」と歌う元修道女のエルヴィラ(有沙瞳)など、作品の根底にキリスト教的な観念が息づき、それが本作をよりピュアで崇高なものにしていた。

周囲を固める面々も秀逸。ドン・ジュアンの妻、エルヴィラ役の有沙瞳の艶やかで印象的な歌声、ドン・ジュアンを常に思いやる友人、ドン・カルロを演じた彩風咲奈の温かく落ち着いた佇まい、マリアの婚約者・ラファエルを表情豊かに演じた永久輝せあの屈折感も、作品の大きなピースに。また亡霊役・香綾しずるの徹底した役作りも敢闘賞もの。

雪組生たちがフラメンコの細やかなステップでも心情を表し、コーラスで盛り上げる熱を帯びた構図は、ラストまで一切崩れず緊迫感に満ちている。ドン・ジュアンの歌の中にもある「Changer」、人は愛によって変われるのかという命題。そのひとつの答えがドン・ジュアンの生き様を通して最後に投げかけられる。ドラマティックなナンバーに浄化されながらも、大きな重しが胸にズシリと残る力作だ。

取材・文/小野寺亜紀

 

最終更新:7月5日(火)17時3分

Lmaga.jp