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リターン15%?富裕層が酔いしれるウイスキー投資

ZUU online 7/6(水) 19:03配信

嗜好品投資の代表といえば、絵画やワイン、クラシックカーなどだが、そこに新たな投資対象として仲間入りしたものがある。それがウイスキーだ。ロンドンにウイスキー投資の市場が誕生し、富裕層を中心に投資家が増えている。 従来、スコッチウイスキー業界のみで取引されてきたウイスキー投資にはどのような魅力があるのだろうか。

■ウイスキー蒸留所には2兆円の価値の原酒が眠る?

2015年、ロンドンのシティに新たな誕生したのが、ウイスキーの原液の投資市場だ。ウイスキーの中でもスコッチは、少数のメーカーと業界関係者のみが取引する特殊な世界で、個人が気軽に参加できる市場がなかった。そこに風穴を開けたのがウイスキー・インベスト・ダイレクト社だ。

ウイスキーは仕込んでから販売するまで、最低でも3年、長ければ12年以上、平均で9年ほど熟成させる。現在、スコットランドの蒸留所で熟成中の原液だけでも、150億ポンド(約2兆円)の価値があるそうだ。将来、売上がある程度確実に見込める嗜好品であり、ファンドに組み込む商品としての適性も備えている。同社はそこに着目して市場を立ち上げた。

メーカーにとっては資金調達を多様化するメリットや、景気状況により左右される出荷調整を行えるメリットがある。投資家は権利だけを買うので、実際に所有するのはメーカーであり、蒸留所だ。購入後も原酒は、製造元で引き続き保管されるため、品質が保証される。熟成期間にかかるウイスキー原酒の保管料は、その製造元へ支払われ、製造元のファイナンスを助ける仕組みだ。

投資家にとっての魅力は、高利回りの金融商品というだけでない。今まで関係者以外には入手しづらかった、ウイスキー原液を手軽に入手できる。これにより、新たなブレンドウイスキーを生み出すことも可能になる。

スコッチウイスキーというと、一部の蒸留所によるシングルモルトが有名だが、モルトとグレーンを合わせたブレンデッド・ウイスキーが、市場の90%を占めている。ブレンドこそがウイスキーの鍵を握る。モルトは、80~90種類が市場で流通しており、メーカーは融通し合っていたようだが、今後は新しいブレンドの新興メーカーが登場してくるかもしれない。

個人投資家が市場に参入する場合、一口5000ポンド(約70万円)から投資ができる。これなら個人でも手が届く範囲だろう。

■現物売買の過去最高値は約6500万円の「マッカラン」

ウイスキー・インベスト・ダイレクト社には、過去40年間に取引されたウイスキーの価格は全て記録されている。2006年から2015年の間のシングルモルト・ウイスキーの製造直後の価格と、8年間熟成したウイスキーの価格の年率利回りを算出すると14.3%となる。ここから年間保管費用を差し引くと、この利回りは10.7%となる。インフレ調整をすると、実質利回りは8.4%だ。ウイスキーの最大の市場は米国、次いで欧州だが、アジアの富裕層や投資家の間でも投資対象として認知されるようになり、人気が高まっている。

ワールド・ウイスキー・インデックスという、ウイスキーのボトルを売り買いしているサイトもある。たとえば、筆者が見た時にはシングルモルトで有名なマッカランの1994年に出された25年物の記念ボトルが、2448ポンドで(約33万円)買い、4080ポンド(約55万円)で売りの気配がでていた。売り買いのスプレッドが大きいが、ウイスキー好きには興味深いサイトだ。同インデックスで一番高いウイスキーは、1970年に発売されたスプリングバンクの50年物で7万9000ポンド(約1000万円)の値が付いている。

ワールド・ウイスキー・インデックスも、2008年から2013年で15%程度上昇しているようだ。特に熟成期間の長い高級品ほど高利回りの傾向が強く、4~5割程度の上昇を示している。

世界的なオークションハウスであるサザビーズでは、2014年に香港で開催された際、「マッカラン」が約6500万円で落札された。シングルモルトとしては、史上最高値となっている。

ウイスキー投資の魅力は、自分の好きなウイスキーのオーナーになれることだけではない。利回りも高く、物価上昇時に価格が上がるのでインフレヘッジ効果、株などと異なる値動きをするので分散投資効果というメリットがある。自分の投資したシングルモルトの蒸留所を訪れることも可能だ。

■ウイスキー投資3つのリスク

ただあくまで紹介したのは過去の実績であって、デメリットもある。まだ流動性の問題が残ること、景気による価格変動が大きい可能性があること、英国中心の商品なので英ポンドの為替の影響を受けやすいことの3つが挙げられる。国民投票でEU離脱が決まると、ポンドは大きく売られ、ウイスキーの価値も円ベースでは値下がりした。

原液の市場が立ち上がり、ボトルの売り買いサイトがあっても、まだまだ流動性は低い。ただ、ウイスキーが好きで、目利きに自信があるのなら検討してみる価値もあるだろう。

過去に値上がりの実績があると言っても、富裕層の投資がメインだ。前述したリスクが存在することにも注意したい。特に主要市場である米国や欧州、また新興富裕層が多い中国の景気スローダウンの影響を大きく受ける可能性があるのだ。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

最終更新:7/6(水) 19:03

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北朝鮮からの脱出
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