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コンビニが次に狙う“お宝”は何か 利用者の「不安解消」がカギ

ITmedia ビジネスオンライン 7月6日(水)8時18分配信

 共働き世帯が増えてきている。これを受け、どうやら家事代行サービスも勢いを増しているようだ。専門の会社もある中、最近はコンビニも家事代行を意識しているように思う。

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 今回は、家事代行サービスの現状と、コンビニの販売戦略について考察したい。

●家事代行サービスの利用状況

 上のグラフは、独立行政法人 労働政策研究・研修機構発表の「専業主婦世帯数と共働き世帯数の推移」だ。ご覧の通り、実に1000万世帯が共働きという結果が出ている。

 夫婦2人、もしくは家族で家事を分担する場合、夫が協力的なら妻の負担は軽くなるが、筆者のように家事ができない(やらない)夫だと、妻が家事全般をやらなくてはならない。子どもが小さいうちは、子育ても含めて家事に時間を割くことになり負担は大きくなる。

 家事代行には、掃除、洗濯、炊事、ペットの散歩、子どものお迎えなどさまざまあるが、これらのサービスを利用するのは主に共働きの世帯だ。経済産業省がまとめた資料によると、家事代行サービスの認知度は高くなっているものの利用者数はいまだ低いのが現状のようだ。

 家事代行サービスを利用しない主な理由としては、「所得に対して価格が高い」「他人に家の中に入られることに抵抗がある」「他人に家事などを任せることに抵抗がある」など、特にセキュリティ面において心配する人が多いようだ。

●衣・食・住の「食」に目を付けたコンビニ各社

 掃除や洗濯などは休みの日にまとめてやればいい(世帯構成にもよる)が、食事は朝・昼・晩の1日3回。毎回食事を作るのは時間も手間もかかるので、外食や中食(※)の需要が高まるのは想像に難くない。コンビニ各社はここに目を付けたようだ。

※中食(なかしょく/ちゅうしょく)=家庭外で調理されたものを買って持ち帰る、あるいは配達してもらうなどして、家庭内で食べる食事の形態。

 これまでコンビニは、中食の分野は独身世帯に訴求して売り上げを確保してきた。もちろん、今後も独身世帯はコアとなるターゲットだが、これからは共働き世帯へもアピールしてくるだろう。

 大手3社のファストフーズと総菜の商品ラインアップを見ると、どれも家庭での調理の手間を省く内容で、中食の利用を促しているのが分かる。

セブン-イレブン

 「セブンプレミアム」推しの印象が強いセブンだが、力を入れているのは通常の総菜である。個人的な感想ではあるが、総菜の内容はもとより、販売スペースにも他社との差別化を図っているように思う。

ファミリーマート 

 おかずという分野では少し後れをとっている感は否めないが、「ファミチキ」という圧倒的な認知度をステップに、ファストフーズ部分での商品展開が期待できる。また、「ゴーヤの春雨炒め」など、総菜も変わり種にチャレンジしているのが、ファミリーマートの特徴だ。

ローソン

 ズバリ、ローソンの戦略は「ファストフーズのおかず化」だ。コロッケやから揚げなどのファストフーズをおかず化することのメリットは大きい。オーダー制とまではいかないまでも、店内調理によって「揚げたて、作りたて」を提供できる強みがある。弁当の横に並んでいる作ってから何時間も経った総菜よりはるかに良い。

 また、このファストフーズは、作りたて弁当の販売にも寄与する。ポプラとの完全合併を目の前に、「ファストフーズ+白飯」は、ローソンの今後の弁当戦略に与える影響は大きい。

 以下の動画はローソンのCMだ。ファストフーズと総菜のCMだが、双方とも家事を軽減できることをアピールしている。

●コンビニが家事代行業者のライバルに!?

 このように、「おやつ」のカテゴリーに位置していたファストフーズが、数年前から「おかず」を意識した商品開発となっている。弁当の横に並んでいる総菜も、今に始まった商品ではない。

 ここ1年ほどのコンビニ各社動きを見ていると、総菜もファストフーズも家事軽減をキーワードとして双方をアピールしている印象だ。それは、認知がされつつも思いのほか浸透が進まない「家事代行サービス」の食の市場を確保したいというコンビニ業界の意思表示なのかもしれない。

 過去の記事「やっぱりコンビニのデリバリーは難しい、これだけの理由」で、商品の購入・配達と御用聞きシステムの“穴”について書いた。いまも課題は残るが、コンビニの便利さは世間に認知されているので、新規産業の家事代行サービスに抱くような不安感はない。コンビニと家事代行サービスが結び付けば、配達や御用聞きなどの需要が増し、サービスが拡大する可能性がある。家事代行サービスの利用が一般的になれば、市場の拡大とともに課題は減っていくだろうと筆者は見ている。

 そうなると、地元密着型の先行者であるコンビニが有利に働く可能性は十分にある。家事代行サービス業にとってのライバルは、同業他社ではなく、コンビニなのかもしれない。

(川乃もりや)

最終更新:7月6日(水)8時18分

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