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綾野剛、声優仕事は当分受けない「13年の役者キャリアで力不足を実感した」

オリコン 7月7日(木)8時40分配信

 全世界で1億1500万本以上の売上を誇るRPG『FINAL FANTASY』シリーズ。その最新作と同じ世界と時間軸で描かれた映画『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』は、世界最高水準のCG技術をフルに盛り込こみ、同シリーズのファンであり声優初挑戦の綾野剛と、国内外の作品で活躍中の忽那汐里を起用することで新たな『FINAL FANTASY』の世界観を作り上げた。そんな同作でメインキャラクターの声を務めるふたりに、声優業の難しさとゲームの映画化について思うことを聞いた。

【写真】綾野剛&忽那汐里、苦戦したアフレコ収録の様子

◆役者としてできることに必死に向き合って試みた(綾野剛)

――綾野さんは声優に初挑戦、忽那さんは劇場アニメの声優は2度目になりますが、声優業の難しさをどんなところに感じましたか?
【綾野剛】 13年近く役者をしていますが、僕のキャパでは足りないことを実感した現場でした。山寺宏一さんなど声優を本職とされている方々とは根本的にエンジンの質が違います。テクニカルな面も含めプロとしてのすごみを見せつけられました。できれば1ヶ月ぐらいは声優としての技術や声の出し方、表現の方法の違いを特訓したかったなと正直思いました。
【忽那汐里】 私は今までに何度か声優の経験がありますが、今回はちょっと勝手が違いました。綾野さんより先に声を入れたので、綾野さんが演じたニックスの声だけがまだ英語だったんです。ニックスの英語の台詞が理解できてしまうぶん最初は混乱してしまい、ニックスの声を消して声を入れたりしました。
【綾野剛】 忽那さんは英語が堪能なので余計に難しさがありますよね。
【忽那汐里】 思わず英語で台詞を言ってしまうことはありませんでしたが、文章の構成が日本語とは逆なので相手の台詞に食ってしまいそうになったりして。声を入れるまでに何度もルナフレーナの英語の台詞を聴いて練習していたので、英語のほうが私のなかで強くなってしまったのかもしれません。それでも失敗しながら学ぶことができましたし、声優さん方が作ってくださった今作の世界観を自分なりに理解していくことは新鮮でした。
【綾野剛】 世界観と言えば、声優に初めて挑む怖さや恐怖に立ち向かう感じがこの作品の世界観にピッタリだと感じました。恐怖に立ち向かって突き進むしかないという状況はニックスと似ていたので、そこは演じる上でとてもプラスになりました。

――おふたりはそれぞれどんなふうに演じていかれたのでしょうか?
【綾野剛】 今作に携わるにあたり、事前に声優さんが演じている映像をたくさん観たのですが、みなさん声だけで肉体的なことも全て表現されていました。僕が役者としてできることはなんだろうと必死で向き合って試みたのが、例えばニックスが首を掴まれているシーンでは、自分で自分の首を掴んで顔をうっ血させながら演じるという方法でした。でもそうすると台詞があまり明瞭ではなくなりますし、ニックスの表情と自分の表情が違いすぎてもよくない。それでも声だけで表現できてしまう声優さんとの差を少しでも埋められたらと、試行錯誤しながら全力で取り組んでいきました。
【忽那汐里】 綾野さんがおっしゃるように、どうしても声優さんとの差は出てしまいます。ただ、自分の体で表現していくのではなくルナフレーナの映像を観てお芝居することができたので、そこにとても助けられた気がします。役者としてルナフレーナの感情をどこまで出していくかというよりは、映像に合わせて演じることが役に近づける一番の方法なのではないかと。2日間で全てを録ったのですが、いろいろな挑戦をしては自分の限界を目の当たりにしたり、挫折を乗り越えたりしながら、とても勉強になった現場でした。
【綾野剛】 普段お芝居をするときはメイクや髪型を変えて衣装に着替え、美術セットやロケ現場に入ると必ずそこを見て廻っています。ところが今作ではその全てが映像のなかに詰まっていたので、映像に限りなく気持ちを近づけていって作品の世界に入り込んでいくようにしました。

◆ゲームを知らなかったからこそ気づいたこと(忽那汐里)

――声優を務めたことで改めて感じた『FINAL FANTASY』の魅力とは?
【綾野剛】 “光と闇”という部分を1987年の発売から一貫して表現し続けているところが『FINAL FANTASY』のすばらしさだと思います。今の時代、淘汰されていってしまうことも多いなかで、ブレずに新しいファンを取り込んでいくのは難しいこと。それでも諦めずに基本を貫く姿勢は新しい改革に繋がるのではないかと個人的には思っています。
【忽那汐里】 私はゲーム自体全く触れてこなかったのですが、だからこそ『FINAL FANTASY』のすばらしさに気づくことも多かったです。例えば、今作の声を入れる前にゲームのサンプル映像を見せていただいたのですが、まるで実写のような人間の動きや話し方で、背景なども非常にリアル。とても衝撃を受けました。私のようにゲームを知らなかった方も映画を観ていただければ、そのすごさに驚いていただけるのではないかと思います。
【綾野剛】 先日、忽那さんと一緒に『FINAL FANTASY XV』の映像を拝見したのですが、ゲームを知らないからこその忽那さんの反応がすごく豊かでした。今作に関わることで、ファンとして『FINAL FANTASY』に少しでも恩返しができたらと思っていたのですが、まさにこういうことだと実感できた瞬間でした。

――声優のお仕事は今後も続けていくのでしょうか?
【綾野剛】 (オファーがあっても)当分受けることはないです。僕は役者であって、声優ではありませんから。ただ、もし次に受けさせていただくとしたら、今回とは違った準備の仕方を試してみたいです。たまに芸人さんとお芝居をご一緒することがありますが、「役者さんは本当にすごい」とよく言われます。僕は芸人さんのお芝居こそ巧くてビックリすることのほうが多いのですが、芸人さん方からすると「役者の芝居の突き詰め方は根本的に違う」と感じるようです。その気持ちが、今回声優をやらせていただいたことで理解できました。もちろん引き受けたからには全力で向き合っていますが、経験値や根本的な突き詰め方が声優さんとは圧倒的に違うというか。なので、もし機会があれば今回以上の表現ができるようにがんばらせていただきたいという思いはあります。
【忽那汐里】 私は役者が声優をやる意味をきちんと把握してからじゃないと決断できないと思います。今回のように映像と作品世界に魅力を感じて、それを多くの方に伝えたいという思いがあれば受けますが、求められる役割が自分で務まるのかなど、自分が演じることの意味をしっかりと考えたいと思っています。

――ゲーム『FINAL FANTASY』が映画化されるメリットはどんなところに感じますか?
【綾野剛】 極端な言い方になるかもしれませんが、今作はゲームファンだけではなくいろいろな層の人たちに『FINAL FANTASY』というゲームを知ってもらうための最大のプロモーションだと思っています。昨今増え続けている小説や漫画などの人気原作の実写映画化作品との違いは、きちんとゲームのクオリティと世界観を引き継いで、ストーリーも連動させているところではないでしょうか。それがゲームファンにも受け入れられる理由であり、魅力になっていると思います。今作はある意味『FINAL FANTASY XV』のエピソード0とも言えます。ゲームのエピソードに関わってくる部分があり、またその先の未来にも通じているのですごく秀逸なリンクのさせ方をしていると思います。
【忽那汐里】 今作で描かれているのと同じ時間軸のなかでゲーム(XV)は進行しているので、キャラクターを含め両方の世界がリンクしている部分を発見するとおもしろいと思います。今作を観てゲームにも興味を持っていただける人が増えたら嬉しいです。
(文:奥村百恵)

最終更新:7月7日(木)8時40分

オリコン

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

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昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。