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日産主導で三菱自の系列サプライヤーの調達環境は変わるのか

ニュースイッチ 7月6日(水)7時29分配信

危機感を募らせるも、軽独自の低コスト部品の競争力は当面揺るがない

 「予定通りしっかり開発したい」。三菱自動車の益子修会長兼社長は1日、伊東香織倉敷市長から2018、19年にそれぞれ投入予定の次期軽自動車とスポーツ多目的車(SUV)を水島製作所(岡山県倉敷市)で生産する計画に変更がないかを問われこう答えた。

 これまで三菱自が開発や調達を主導してきたが、次期軽は日産自動車が担当する。水島製作所周辺の部品メーカーにとって日産主導による軽の調達は初めて。次期軽の調達は近く本格化する見通しで、「何としても受注しなければならない」(駆動系部品メーカー)と危機感を募らせる。

 危機感の背景には、燃費不正問題を受け三菱自が日産と基本合意した資本提携がある。両社は部品の共同開発や共同購買などでシナジーを引き出す方針を示す。水島周辺の複数の部品メーカーは「軽だけに留まっていた日産の影響が今後は登録車にも広がる」と覚悟する。

 「物流費や納入を考えると地元の部品メーカーが圧倒的に有利なはず。軽を長い間水島でつくり、部品メーカーにはノウハウが蓄積しているのであまり心配していない」。益子会長は日産との取引が多い部品メーカーとの競争激化を危惧する地元の部品各社に対し、これまでの実績に自信を持つよう鼓舞する。

<量産技術は高いが提案型は経験不足>

 今後の競争では軽量化など開発力が重要になる。ただ三菱自の開発機能は名古屋製作所(愛知県岡崎市)が中心で、水島製作所は組み立てを手がける。こうした背景もあり水島周辺の部品各社は「量産技術は高いが、提案型の開発はあまり経験がない」(行政関係者)という。

 また岡山県内の部品メーカー幹部は、日産の“調達文化”を経験しているかいないかの差は大きいとみる。例えば何か不具合が起きた場合、取引実績があれば日産の調達担当者と電話1本で対応を協議できるが、「こうした信頼関係は築けていない」(同部品幹部)。

 別の部品メーカー管理職は三菱自の1次下請け「ティア1」が日産の要求に応えることができなければ、日産は管理コストがかからない日産系の部品メーカーをティア1として起用する可能性があると指摘。その場合、三菱自のティア1は日産系の部品メーカーに部品を納めるティア2になると予想する。ティア2となれば利幅の縮小などが見込まれるため、そうならないために是が非でも次期軽を受注し「部品を安定供給して日産から信頼を得たい」(同管理職)と意気込む。

 次期軽の次は登録車へと調達の舞台は移る。水島周辺の部品メーカー管理職は次期軽を受注できれば日産への販路拡大も期待できるとし、「このピンチをチャンスに変えるしかない。三菱自関連の部品メーカーはみんなそう考えていると思う」と成長を追い求める。

《専門家の見方》
 水島工場稼働の再開を心から喜びたい。しかし、ここからは新生三菱の復活を試めす正念場を迎える。日産主導の会社再建の過程で、三菱自動車系列サプライヤーが担う役割は小さくないと認識している。部品調達共通化のリスクにさらされていくものの、軽独自の低コスト部品での同系列のサプライヤーの競争力は当面揺るがないだろう。しかし、この強みは永続的でない。長期的な競争力構築への取り組みを急がなければならない。
(ナカニシ自動車産業リサーチ代表・中西孝樹氏)

最終更新:7月6日(水)7時29分

ニュースイッチ

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