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水車が奏でる田園のハーモニー 倉敷の用水路に手作りの15基

山陽新聞デジタル 7月6日(水)8時10分配信

 ギィ、バッシャ…。岡山県倉敷市郊外の祐安地区に郷愁を誘う“田園のハーモニー”が響く。水車が用水路の水をくみ上げ、田んぼに送っている。

 同地区には昔ながらの水車が今も15基ある。木材や樹脂パイプなどを組み合わせた各農家の手製。田が用水路よりも1メートルほど高く、大正時代から手作り水車が使われてきたという。

 「うちのは水に強いヒノキ製。20代半ばから、先代や周囲の水車を参考に見よう見まねで作るようになった」と言う柴田哲司さん(81)は2基所有。約10年で取り換えており、これまでに5、6基手掛けた。軸の部分は電動かんなで丸太を正八角形にするなど入念に調整。直径約1・8メートルの1基を仕上げるのに1週間がかりという。

 動力ポンプの普及などにより各地で姿を消していった水車。農研機構西日本農業研究センターの廣瀬裕一主任研究員(37)=農業土木=は「観光目的でなく、かんがい用では祐安地区が全国最多。環境に優しく、地域資源の観点からも貴重」とみる。

 水車は5月上旬から用水路に設けられ、9月下旬まで活躍する。「作るのに手間がかかり、ごみが詰まらんよう毎日見にいかにゃあならん。でも勝手に回ってくれるし、金もかからん」と柴田さん。「田んぼも農家も減ってきたけど、この風景が好きなんじゃ。死ぬるまで守りたい」と思っている。

最終更新:7月6日(水)8時10分

山陽新聞デジタル