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安倍さん、改憲より前に靖国問題の解決を

ニュースソクラ 7/6(水) 12:10配信

新聞社の参院選情勢、改憲派が3分の2うかがう勢い

 新聞各社は6日の朝刊で7月10日投開票の参院選の終盤情勢をほぼ一斉に記事にしている。多くの新聞が「改憲4党で3分の2の勢い(あるいは可能性)」と改憲発議に必要な議席数を確保する可能性が高まっていることを伝えた。否応なく、参院選の最大の争点は改憲になったことが明らかになった。

 これは6月14日付けのニュースソクラの記事「参院選、改憲派3分の2確保の勢い」と書いたとおりで、私にとって違和感はない。

 ほぼ全社が足並みをそろえた報道で、改憲に慎重な有権者に投票を促す、いわゆる「ゆれ戻し」効果が多少は出るだろう。ゆれ戻しは、自民の大勝が予想され、最後の1週間で予想比10議席程度は自民候補の当選が減った2014年末の衆院選でも起こった現象だ。

 改憲に賛成なのは自民党とおおさか維新の会、それに日本のこころを大切にする党。これに改憲を安倍政権がめざせば、結局は付き合わざる得ない公明党がいわゆる改憲4党だ。予想通りゆれ戻しが起これば、これらの改憲4党での3分の2確保はできないかもしれない。しかし、非改選の無所属議員のなかに5名程度の改憲賛成派がおり、それをあわせれば発議の可能性はかなり高い。

 そのうえ、民進党のなかにも改憲に賛成の議員は少なくなく、安倍自民党は改憲のための国会内論議を呼びかけることになるだろう。国会で改憲案を話し合うための場が設けられ、野党も巻き込んだ論議が始まる可能性は高い。

 改憲レールは引かれつつあると見るべきだ。何をどこまで変えるのか、変えないのかの議論をきちんと整理する必要があるだろう。

 なぜ、アベノミクスの行方に不透明感が強まる中で安倍政権への支持が高まっているのか。やはり外交で得点を重ねているという印象が強いからだろう。

 G7サミット後のオバマ大統領の広島訪問は、安倍政権の得点になった。昨年末の韓国との慰安婦問題での合意も、中身が実現していないという点は気になるが、大きな外交成果であることは間違いない。特に後者は、保守色の強い安倍首相だから国内反対派を抑えられた面があり、安倍首相の大きな実績である。

 外交失点もある。たとえば、オーストラリアへの日本製潜水艦の売り込みに失敗したことだ。「事実上の同盟関係」にあるかのような言動が、中国との関係を悪化させたくないオーストラリアを慎重にさせた。安倍政権のとる「中国包囲網」戦略の副作用がはっきりと出た事例だ。長い目で見て、中国包囲網の一辺倒でいいのかどうか、議論が求められる。

 参院選情勢から確実なことは、どんなにゆり戻しがあったところで安倍政権が勝敗ラインとした自公で改選議席の過半数が達成が確実なことだ。つまり安定した安倍政権は続く。

 だとしたら、安倍政権ならではの政策を実行してもらいたいと思う。安倍首相が自分でなければできないと思っていることはきっと改憲なのだろうが、その前にぜひ実現してほしいことがある。A級戦犯が合祀されていることにより、つねに首相の参拝問題が中国、韓国との関係悪化の原因となってきた靖国神社の問題の解決に道筋をつけることだ。

 これは慰安婦問題以上に、保守色の強い首相でなければ解決しずらい問題である。改憲前に実現できれば、近隣国の改憲への警戒心もかなり和らげることができる。ぜひ、順番を間違えないでほしい。与野党国会議員はそのための環境づくりに汗をかいてほしい。

■土屋直也(つちや・なおや) ニュースソクラ編集長
日本経済新聞社でロンドンとニューヨークの特派員を経験。NY時代には2001年9月11日の同時多発テロに遭遇。日本では主にバブル後の金融システム問題を日銀クラブキャップとして担当。バブル崩壊の起点となった1991年の損失補てん問題で「損失補てん先リスト」をスクープし、新聞協会賞を受賞。2014年、日本経済新聞社を退職、ニュースソクラを創設

最終更新:7/6(水) 12:10

ニュースソクラ

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。