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「同一労働同一賃金」具体策見えず 非正規の賃金はフルタイムの6割

福井新聞ONLINE 7月6日(水)8時48分配信

 福井県内の労働者のうち、3割以上を占める非正規労働者。派遣社員や契約社員、パート・アルバイトなどを指し、多くが「いつ仕事を切られるか分からない」という不安を抱える上に、日本では賃金水準がフルタイム労働者の約6割という格差がある。仕事が同じなら賃金を正社員と同じにする「同一労働同一賃金」の実現を各政党が政策に掲げているものの、「スローガンばかりが先行している。具体策が見えない」と実現に首をかしげる声は多い。

 「生活はぎりぎり。遊びに行く金銭的な余裕はない」。派遣先の鉄工所で働く福井市の男性(45)は70代の両親と3人暮らし。ボーナスはなく、手取り月約20万円と両親のわずかな年金でやりくりしている。6年間いた以前の派遣先では、年々任される工程が増えていったが、時給はほとんど上げてもらえなかったという。「技術を習得した人や頑張っている人には見合った対価(給与)を出してほしい。給与アップが働きがいややる気につながる」と訴える。

 「非正規の雇用は景気などに左右され不安定で、将来に対する不安も募る」と話すのは、契約社員として製造業の会社に中途入社した越前市の20代男性。「景気が悪くなると最初に切られるのが契約社員。将来結婚とかを考えると、このままではいけない」と正社員を希望し、努力して2年半後に登用された。年収は契約社員時とほぼ変わっていないというが「安定を手に入れたのは大きい」。

 総務省統計局の2012年就業構造基本調査によると、県内の労働者のうち、非正規の割合は、全国で一番低い32・7%。ハローワーク福井の宮本晴夫雇用支援担当次長は「いったん離職すると希望する会社での正規での就職は厳しく、非正規にならざるを得ないのが現状」と話す。

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 非正規で働く人たちの待遇改善に向け各政党が掲げているのが「同一労働同一賃金」だ。労働政策研究・研修機構の国際比較によると、欧州では非正規労働者の賃金はフルタイムの約8割だが、日本では約6割という。

 政府が閣議決定した「1億総活躍プラン」にも「同一労働同一賃金の実現」が盛り込まれたが、県内の上場企業の担当者は「欧米と違い、日本は今なお終身雇用が前提となった給与体系がベースになっている企業が多い。同じ仕事をしているその期間だけを切り取って、正規と非正規の賃金を同じにするという考え方は非常に悩ましい」と話す。

 福井県立大経済学部の新宮晋准教授は「今はスローガンだけが一人歩きしている。厳格な均等待遇を求めるなら、年功序列が根付く日本の雇用慣行を根本から変えるぐらいの取り組みがないと、中途半端な処遇改善で終わる可能性が高い」と指摘する。

 「同一労働―」に対して現状では各政党ともに定義が明確ではなく、「議論はスタート地点に立ったばかり」(新宮准教授)。最終目標をどこに置き、どう実現させるのか道筋を示す必要がある。


◆非正規労働者の雇用に関する各政党の政策◆

【自民】
同一労働同一賃金の実現により、正規・非正規の格差を是正する。

【民進】
同一価値労働同一賃金の法律をつくり、合理的理由のない賃金・待遇の差別を禁止。

【公明】
同一労働同一賃金の実現、非正規労働者の待遇改善、正社員化促進。

【共産】
同一労働同一賃金、均等待遇を明記するなど、非正規への不当な差別・格差をなくす。

【おおさか維新】
年功序列型の職能給から、同一労働同一賃金を前提とする職務給へ転換。

【社民】
非正規・有期雇用から正社員への転換を促進。同一価値労働・同一賃金原則を導入し、均等待遇を徹底。

【生活】
安心して働ける世の中を目指し、非正規労働者の正規化を進める。

【こころ】
同一労働同一賃金の徹底や組合組織化等により非正規雇用労働者の待遇を大幅に改善。

【改革】
非正規と正規の賃金格差の是正(同一労働・同一賃金)に積極的に取り組む。

福井新聞社

最終更新:7月6日(水)8時48分

福井新聞ONLINE