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参院選 候補者遠い離島、山間部 岡山選挙区、「過疎地の声届くのか」

山陽新聞デジタル 7月6日(水)10時40分配信

 10日の投票が近づく参院選岡山選挙区(改選数1)。新人3候補が舌戦を展開しているが、県内全域がエリアとあって公示後に瀬戸内海の離島や県北の山間部に足を運ぶ機会は限られる。少子高齢化や人口減少が深刻な地域からは「過疎地の声が国政に届くのか」「候補者の訴えをもっと聞きたい」といった声が上がっている。

 有人7島に約2千人が暮らす笠岡諸島(笠岡市)。選挙期間中、3候補者とも立ち寄る予定がない。

 このうち最も多い北木島は人口がピーク時の6分の1に減少し約900人。高齢化率は69%に達する。

 68歳になる川田守人さんは今も消防団員。6月22日の参院選公示後、島では豪雨による土砂崩れが発生、民家火災も起きた。「島の安全は自分たちで守る以外にないと分かっているが、候補者に現状を知ってほしい。でも誰も来てくれん」とため息をつく。

 笠岡諸島では住民が「NPO法人かさおか島づくり海社」を設立。買い物を代行して高齢者宅に届けたり、コミュニティーバスを走らせてお年寄りの足を確保したりと、島での生活維持に取り組む。それでも人口減少は止まらない。

 2年前、東京から移住した同NPOの吉川寿人さん(34)は「島が生き残っていけるかどうかの瀬戸際。だからこそ地方再生に対する候補者の情熱や戦略を聞きたい」と切実だ。

衰退に不安 

 山間部の有権者の思いも複雑だ。津山市街地から北へ二十数キロ、鳥取県境に沿う同市阿波地区の浮田万寿夫さん(87)は「選挙カーも走らず、選挙中とは思えないほど静か。取り残されたようだ」とこぼす。

 国が主導した平成の大合併で2005年2月に津山市へ編入された。しかし、合併後、人口は2割減少し約550人。小学校は2年前に閉校し、なくなった。

 旧村内に唯一あったガソリンスタンドも2年前に撤退。住民が引き継ぐ形で、日用品を扱う売店と合わせて運営している。

 解体中の校舎を見つめ、浮田さんは「小さな村が衰退していくのを放っておくのか、何か手を打つのか」と不安を募らせる。

強まる危機感 

 有識者でつくる「日本創成会議」が14年、出産期の女性の人口動態などを基に全国896市区町村を「消滅可能性都市」と指摘。岡山県内でも14市町村が含まれ、衝撃が走った。

 政府は「地方創生」を打ち出し、各自治体は国の財源を当て込んで移住促進や子育て支援策を競う。一方で、将来的に消滅の恐れがある県内の「小規模高齢化集落」(限界集落)は14年4月末現在、1422カ所で、前回調査の08年4月より38%も増加。地方の危機感は強まっている。

 各党の参院選の公約には過疎地を含めた地方向けの対策が並ぶ。岡山選挙区の候補者も街頭や個人演説会で耕作放棄地の増加や交通弱者など中山間地の課題を指摘する。しかし、現地の有権者にはなかなか届かず、ようやく訪れた選挙カーは急ぎ足で駆け抜ける。

 遠い政治。林業を核とした村づくりでIターン者が増えている岡山県西粟倉村の保育施設で働く江見彩樹さん(23)は思案を巡らせる。「全国から若い人が移住してくれる、この流れがずっと続いてほしい。候補者のうち誰が一番、村が存続できる政策を実行してくれるのでしょうか」

最終更新:7月6日(水)12時37分

山陽新聞デジタル