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塩田跡地にメガソーラーに。「景観か安全か」で瀬戸内市が出した答え

ニュースイッチ 7月6日(水)15時10分配信

町おこしの資金に。具体策これから

 岡山県瀬戸内市の錦海塩田跡地で国内最大級の太陽光発電施設「瀬戸内Kirei太陽光発電所」の建設が進む。錦海塩田は1970年代にその役目を終えたが、老朽化した堤防や排水施設が放置され、周辺被害が懸念されていた。その“負の遺産”をメガソーラーを核とし、市民の誇りに転換する瀬戸内市などの取り組み「太陽のまちプロジェクト」を追った。

 錦海塩田跡地では現在、太陽光パネル89万枚の敷設を前に架台の建設が続く。懸案だった湾の排水ポンプは改修され、非常用発電設備も完成した。設置場所は海抜ゼロメートル地帯で、面積は東京ディズニーランド10個分(500ヘクタール)の広さの中の265ヘクタールとなる。

 前所有者の倒産により引き取った経緯から「当初は海に戻すことも検討していた」と、瀬戸内市の武久顕也市長は本音を明かす。太陽光発電所の設置プランそのものは早くから存在したものの、“日本のエーゲ海”とも呼ばれる景勝地であることから建物をなくす選択肢もあった。だが、敷地の5分の1程度を産業廃棄物処分場跡が占めており、東日本大震災以来、堤防の補強を望む声も高まった。


 そこで安全と環境保全を両立しつつ工事費用を調達する手段に、固定価格買取制度(FIT)を利用したメガソーラー発電所の事業化プランを公募した。最終的に、くにうみアセットマネジメント、東洋エンジニアリング、GEエナジー・フィナンシャルサービス、中電工が設立した特別目的会社に事業は委ねられ、19年の商業運転開始を目標に工事は着々と進んでいる。

 出力23万キロワット、7万世帯に電気の供給が可能な施設の総事業費は1100億円。瀬戸内市は堤防や排水ポンプなどの寄付を受けるほか、25年間の土地貸付料として約100億円を得て、その約6割を塩田跡地の維持管理に、残りを街づくりやインフラ整備にあてる予定だ。

 むろん計画には賛意もあるが、昨今は太陽光発電への逆風も起こっている。武久市長も「景観が変わることには両者で考えがある」と認めつつ「軟弱地盤で処分場跡まである中で、これしかなかった」と明言し、環境調査や観測を継続する。

 今後の町おこし案が気になるが、20年に及ぶ長期プロジェクトだけに具体策はこれからだ。「100億円を上手に活用して何倍もの効果につなげたい」としており、人口3万8000人の市が挑む環境と経済の両立への挑戦はこれからが本番を迎える。

最終更新:7月6日(水)15時10分

ニュースイッチ

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