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[インタビュー]韓国政府は「慰安婦」被害者を無視してまで合意するのですか

ハンギョレ新聞 7月6日(水)6時44分配信

韓国人より「慰安婦ハルモ二」を愛したマリオさん

 写真家のマリオさん(本名・矢嶋宰)は日本人であるにもかかわらず、韓国人よりも韓日政府による昨年の「12・28合意」に憤慨している。「あんな風にハルモ二(おばあさん)の意思を無視してもいいでしょうか?なぜ政府が被害者を差し置き勝手に合意するようなことができるのですか?」

 日本政府は仕方ないとしても、韓国政府の態度は理解できない。「加害者の日本政府の立場をそのまま受け入れました。日本政府はこれ以上の責任がないと確実に念を押したのです。ハルモ二たちが謝罪と賠償を要求すると、日本政府はこの合意を口実に自分にはそのような義務がないと主張できるようになりました」

 彼女は社会人になったばかりの頃、朝日新聞で3~4年間、写真記者として働いた後、フリーランスに転向した。大学生の時から関心を持っていた「日本軍慰安婦」問題をもっと深く掘り下げするために、2002年に韓国の京畿道広州(クァンジュ)にあるナヌムの家を訪ねた。2003年からはナヌムの家でハルモ二たちと共に暮らし始めた。本人もハルモ二たちとの共同生活を望んでいたが、「頻繁に訪ねてくる日本人訪問者のための通訳や案内を引き受けてもらいたい」とハルモ二たちに頼まれたからでもあった。2006年にナヌムの家を出た後は、日本には帰らずにドイツで活動している。

 「日本はこの問題を解決できません。政府だけでなく、市民社会も関心がありません。昔はその内容を知らなかったからという言い訳もできましたが、今は若者でさえ皆知っているのに、動こうとしません。彼らのほとんどは、政府が主張するように、自ら望んで慰安婦になった、1965年の日韓交渉の際、両国政府によって解決された問題だと簡単に信じてしまいます。その方が楽ですからね」

 7月3日、ベルリンのブランデンブルク門前のパリ広場を訪れて、(「蝶の夢」の)キャンペーンを目にした日本人女性観光客から聞いた話に、彼女のショックを受けた。「『韓国人があんなことをするから日韓関係が悪くなる、日本は十分謝罪したのではないか、なぜこんな行動に出るのかわからない』と、安倍首相の言葉をそのまま繰り返していました」

 とんでもないと思ったが、マリオは日本軍慰安婦の真実を世の中に知らせるのがどれだけ大切なのかを改めて痛感させられたという。「日本軍慰安婦問題は、韓国人だけの問題ではありません。女性の人権が踏みにじられたことに関する問題であり、帝国主義の歴史を清算する問題でもあります。2度と戦争と女性の人権に対する蹂躙が繰り返されないようにする、人類の歴史の発展の契機が内包された問題です」

 彼女は「蝶の夢」キャンペーンに胸を打たれた。キャンペーン方法も印象的だったが、「韓国の活動家たちのほとんどが韓国の被害者の話をするだけだったのに、今回のキャンペーンではアジアひいてはヨーロッパの被害者ハルモニたちについても一緒に話している」からだ。

 自ら進んで「蝶の夢」一行を率いて、ヒトラーが放火したものを社会混乱勢力の仕業だとねつ造し、社会主義者や共産主義、さらには同性愛者まで拘禁・拷問して殺害するために使われていた帝国議会の建物、学生と教授がナチスに抵抗していたフンボルト大学、ユダヤ人虐殺の記憶を刻んでいるホロコースト記念館、「戦争と国家暴力の犠牲になった人のため殿堂」、ケーテ・コルヴィッツの「ピエタ」像などに案内した。

 彼女はその間ずっと韓国語で説明していた。慶尚道と全羅道の方言が少しずつ混ざっている韓国語だった。「様々なところから来られた「ナヌムの家」のハルモ二たちに教わったから」そうなったそうだ。

ベルリン/クァク・ビョンチャン先任論説委員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:7月6日(水)6時44分

ハンギョレ新聞

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。