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廃線トンネル、発酵食の拠点 三セク「柳田食産」能登線の600メートル活用

北國新聞社 7月6日(水)3時0分配信

 能登町などが出資する第三セクターの食品加工会社「柳田食産」は、廃線となったのと鉄道能登線のトンネルを購入し、こんかいわしやなれずしなど地域に根ざした発酵食づくりの拠点とする。温度や湿度の変化が少ない環境を生かし、通常よりも長期熟成したこんかいわしなどの開発を進める。石川が誇る伝統的な発酵食を増産し、若者や首都圏に向けて売り込む。

 能登町鵜川―穴水町竹太間の全長約600メートルのトンネルを発酵食品作りの拠点とする。塩漬けのイワシを米ぬかと麹(こうじ)で作った床(とこ)で発酵させるこんかいわしや、塩漬けのアジなどをご飯などで漬け込むなれずしなどを能登町上町の柳田食産で仕込んで、トンネル内に運び込んで発酵させる。

 こんかいわしは、通常、常温で1年間ほど漬け込んで仕上げる。同社は、いためた米ぬかを使って2~3年かけて発酵させ、香ばしさと濃厚な味わいを引き出す商品を生産しており、一定の温度でゆっくり発酵させる場所を探していた。今年は約1・5トンを仕込んだ。

 出来上がったこんかいわしは、オリーブオイルなどと合わせた「金香(こんか)いわしのオイルソース」や、火であぶってからほぐして食べやすくした瓶詰め食品に加工する。

 同社総括本部長の宮前博人さん(46)によると、調理せずにすぐ食べられ、こんかいわし特有のにおいが部屋に充満しない瓶詰めは、都市部や若者に好評で、トンネルを活用して増産を目指すという。首都圏の小売店などとの商談も進んでおり、宮前さんは「トンネルで作った石川の発酵食を県外にも売り込み、食文化の発信と継承に取り組みたい」と意欲を示した。

 廃線後も取り壊されていないのと鉄道のトンネルは、能登線に49カ所、輪島線に6カ所ある。これまでに、珠洲市の宗玄酒造が2013年に旧宗玄トンネルを酒を寝かせる貯蔵庫「隧道蔵(ずいどうぐら)」として整備した。

北國新聞社

最終更新:7月6日(水)3時0分

北國新聞社