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大塚家具、赤字転落は「親子げんか」のツケか?

ZUU online 7月7日(木)6時10分配信

大塚家具 <8186> は2016年12月期の業績見通しを下方修正、15億円強の営業赤字が発生する形となった。今回はこの赤字転落の原因になった親族同士での経営権をめぐった争いの経緯と、それが業績に及ぼした影響を解説、分析する。

■経営混乱の理由は父と娘の「親子げんか」

根本的な原因をたどると、大塚家具に経営混乱を引き起こし赤字転落する原因となったのは、「父・大塚勝久氏と娘・大塚久美子氏の経営方針の対立」といえそうだ。

創業者であり問題勃発時(2015年2月末)に会長の座にあった勝久氏は「会員制を軸に経営を行い、商品を中心にした接客を行う」という方針であったのに対し、社長に就任していた久美子氏は「気軽に入りやすい店作り」を提案していた。

それ以外にも取締役候補の人選などにも相違があり、対立を大きくしていた。

問題が表面化しだした2015年2月26日、大塚家具の株価はストップ高を付ける運びとなった。これは久美子氏の会見に投資家が好感を持ったためであると分析されており、それが数字として現れた形となったが、その後も対立を深め、後の株主総会でもギスギスとした応酬が露見された一幕もあったため、総会に参加した株主からは「親族のために株をかったわけではない」と一喝される場面もあったと報じられた。

■混乱していた経営方針と経緯

大きく取り上げられだしたのは2015年度2月前後に「親子喧嘩」がメディアで取り上げられるようになりだした時期からだが、問題を掘り下げてみると意外と根深い。

大塚家具は創業時から創業者である勝久氏の方針「会員制の業務形態」にて売上を伸ばしていたが、2001年前後を境に売り上げが横ばいとなりだす。

その後、2009年に当時社長であった勝久氏が社長を退き会長に就任、そして長女の久美子氏が社長に就任し、経営方針の改善による利益の回復を行うためテコ入れを始める。

しかし、さまざまなテコ入れでも売上は改善せず、2014年の7月23日に行われた取締役会にて久美子氏の社長を解任、勝久氏が会長を兼任しつつ社長になる。このあたりから父と娘の関係に亀裂が入りだす。

その後勝久氏は混乱していた経営方針を刷新し、創業時の「会員制を柱にした経営方針」に戻すが、来客数は前年度比で約20%減、しかも4年ぶりの経営赤字に転落する(2014年12月期)。

そして2015年1月、久美子氏は会社側からの提案として、勝久氏の社長退任を含む新体制案を取締役会で決議。勝久氏は会長職に選任、久美子氏が社長に返り咲く運びとなる。

業績悪化を理由に勝久氏が会長職からも解任されることが決まり、2月17日には、大塚家具の株式を18%保有していたとされる勝久氏が株主提案を行なっていたことを同社が公表。「久美子氏の社長退任、勝久氏の会長就任」を求める運びとなった。これが大塚家具の業績悪化と経営混乱を引き起こすこととなった「親子騒動」の流れである。

■火種がくすぶり続ける「親子問題」と嫌気がさして来た株主

その後の経緯としては株主総会での議決のため、勝久氏と久美子氏の陣営にて「委任状争奪戦(プロキシーファイト)」を繰り広げ、醜聞を広く伝えることとなった。

また2016年4月、久美子氏を支持していた大塚家具の大株主「ききょう企画」の15億円相当社債償還を求めた裁判にて、勝久氏が勝訴した。ききょう企画が15億円返済を行うためには株式の一部を売却する必要があると見られたこともあって、支配権をめぐる争いは続くのではとの指摘もあった。しかし大塚家具が5月18日付けで発表した資料では、ききょう企画は所有する189万株のうち60万株を譲渡したものの、引き続き安定株主として株式を保有し続けると表明している。

とはいえ、ここに至る一連の流れをめぐっての「ブランドイメージの失墜」や「経営方針の混乱」により社内運営が混戦化し、それが今回の15億円の営業赤字見込みへとつながった形だ。

また投資家も親子喧嘩により低迷する業績と経営不安に嫌気がさしており、2015年次に1700円前後で推移していた株価は2016年6月17日現在1000円前後を推移、年初来安値を更新する形となっている。

またアナリストの分析も辛い。そもそもの内紛の発端は勝久氏の「会員制方針」が上手くいかず、それを改善するための社長交代であった。現在は会員制の方針は取り下げたものの、その効果は見られず、業績が改善する兆しはまだない。その上で内紛によるブランドイメージの失墜と経営外に使われるエネルギーおよびそれに伴う収益機会の損失。またニトリなど同業他社の躍進も見逃せない。


いずれにせよ、大塚家具が持ち直すのはまだ時間が掛かりそうだ。

本来は「子供の進学記念や結婚時には、生活の節目としてよい家具を」という方針からの会員制とそれに伴う接客であったはずなので、今一度原点に立ち返り、現在の方針を客観的に再確認してもらいたい。そうすれば「おわびセール」などという小手先の対応でお茶お濁すだけでなく根本から経営方針と行動を改善し、それが業績につながるのではないだろうか。

土居 亮規 バタフライファイナンシャルパートナーズ AFP

※お詫びと訂正
本記事中、新取締役体制の決定過程(株主提案ではなく取締役会決議)、営業赤字の数値などで誤りがありました。また裁判後の状況描写について一部文章を追加しております。これらをご報告するとともに、誤りの訂正につきまして関係各位にお詫び申し上げます。

最終更新:7月8日(金)12時51分

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