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大手は撤退、中小は進出 英国のEU離脱はチャンス?

ZUU online 7月7日(木)11時10分配信

英国撤退を検討中の大手企業とは対照的に、スタートアップを含む中小企業が英国進出のチャンスに燃えているようだ。

国民投票以前から英国進出を検討していたスタートアップの9割が、英国を「EUという後ろ盾を失った後でも、十分に魅力に溢れた金融大国」と見なしていることが、英プロフェッショナル・サービス会社、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の調査から明らかになっている。

これらの新事業が設立されれば、2億ポンド(約260億7416万円)の資本金が英国に流れこんで来ることになる。

■激震中の英国はいまだ魅力的な金融セクター

現在英国での事業設立を進めている企業は約20社。国内を始め、欧米、アジアなどを拠点とする銀行やFinTech企業まで、実に豊富な顔揃えだ。

具体的にはデジタルバンク、FinTech関連サービス、商業銀行、過去数年間で大手が撤退したすき間市場を狙う投資会社などが、英国での事業許可を申請中。

PwCのファイナンシャル・サービス・パートナー、ステファン・モールス氏は、企業規模やジャンルを問わず様々な形態の企業が列をなしていることから、「将来的に広範囲にわたる可能性を創出する」と期待している。

これらの企業にとってBrexitで激震する英国金融市場が、ポジティブな規制環境とテクノロジー発展の可能性、そして世界有数の金融セクターとしての揺るぎない位置づけを確立した、国際金融の中心都市であるという事実は変わらない。

モールス氏の同僚であるアンドリュー・カイル氏も、事業準備を進めている企業とのパイプラインが今もなお強力であること、これらの企業をバックアップする投資家の関心も薄れていないことを確信している。

■最大の打撃を最大の成功に転換

しかし現実的にはBrexitによる打撃を回避できる企業は皆無だといわれており、特に小規模な事業が最大のリスクを背負うという見込みが強い。

米ロイター通信によると、国民投票以降、大手融資企業の株価が平均21%の落ちこみで食い止められているのに対し、米シャロ―ブロック・バンクやワン・セービングス・バンクといった新参銀行の株価は平均37%下落している。

長年にわたり大手銀行が支配してきた英金融市場の扉が、新参企業に解き放たれたのはつい最近のこと。2008年の経済危機から回復する手段として、英政府が方向転換を図り、中小金融セクターの参入が緩和された。

この新たな動きによって、バークレイズ、ロイズ、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドといった英大手銀行や、ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェース、モルガン・スタンレーなどの米投資会社、Aviva、仏AXAを含む保険会社と同じ土俵で競うチャンスが、中小金融企業にも与えられた。

8年が経過した今、英国で事業展開している中小企業の数は、大手をはるかに上回っている。つまり英国は大手にとってはもちろん、中小企業にとっても非常に魅力的な金融セクターなのだ。

JPモルガンなどの英国撤退の可能性が報じられているが、すでに英国での地位を確立している中小企業に加え、新たな企業が流入してくることで、雇用口を増やすと同時に、産業を発展させていくのは十分に可能だろう。

中小企業にとってはとてつもないチャレンジを思いがけない成功に転換できる、絶好のチャンスでもある。

次なる金融危機が危ぶまれる中、いまだ多数のスタートアップを惹きつけてやまない英国が、新たな金融市場の幕を開けようとしているという発想は、あまりにも楽観的だろうか。(ZUU online 編集部)

最終更新:7月7日(木)11時10分

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