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ごみ発電と太陽光発電を地産地消、首都圏の2都市が電力小売に

スマートジャパン 7月7日(木)9時25分配信

 成田市と香取市は小売電気事業者の洸陽電機と共同で、地域電力会社の「成田香取エネルギー」を7月5日に設立した。出資比率は成田市と香取市が40%ずつ、洸陽電機が20%で、本社は香取市内に置く。2つの市が共同で電力小売に乗り出すのは全国で初めてのケースになる。

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 新会社の電力事業は再生可能エネルギーの地産地消を推進することが最大の目的だ。成田市が運営する清掃工場のごみ発電による電力と、香取市が5カ所に展開する太陽光発電の電力を調達して両市の公共施設に供給する。ごみ発電と太陽光発電で供給力が足りない分は、洸陽電機が別の太陽光発電所や卸電力市場から調達するスキームである。

 10月から公共施設に電力の供給を開始する予定で、年間の販売量は1726万kWh(キロワット時)を見込んでいる。一般家庭の電力使用量(年間3600kWh)に換算すると4800世帯分に相当する。成田香取エネルギーに参画した洸陽電機は4月から家庭向けの小売事業を全国で開始している。その業務ノウハウを生かして新会社の電力需給管理を実施していく。

 成田市と香取市は電力の小売を通じて財政面のメリットも引き出す方針だ。両市が運営する発電設備の電力を従来よりも高い単価で新会社が買い取る。その一方で公共施設に販売する電力の単価は電力会社よりも低く抑える。こうして売電収入を増やすと同時に電気料金を削減する。合わせて地域内の経済が循環して活性化にも役立つ。

官民連携でエネルギーの地産地消が全国に拡大

 成田香取エネルギーが利用する電源の1つは「成田富里いずみ清掃工場」のごみ発電設備である。成田市が隣接する富里市と共同で2012年に運営を開始した。生ごみなどを溶かしてから焼却する新しい方式を取り入れ、処理に伴って発生する排ガスで発電する。発電能力は3MW(メガワット)で、清掃工場の内部で1日平均2.4MW分を消費した残りの電力を売電する計画だ。

 もう1つの電源は香取市が市有地を活用して建設した5カ所の太陽光発電所である。その中で最大の「与田浦太陽光発電所」は発電能力が1.75MWのメガソーラーだ。5カ所を合わせた年間の想定発電量は500万kWhで、売電収入は約9000万円を見込める。今後は成田香取エネルギーが高く買い取ることによって香取市の売電収入が増える。

 成田市と香取市は千葉県の北部に位置している。成田市は人口13万人の中都市で、香取市は人口8万人弱の小都市に分類される。東京都心から50キロメートルほど離れているため人口密度は低く、太陽光発電をはじめ再生可能エネルギーを拡大できる余地は大きい。地域電力会社の設立を機に発電所の建設プロジェクトが広がっていく可能性もある。

 全国の自治体が再生可能エネルギーの取り組みを進める中で、民間企業と連携する動きが増えてきた。成田市と香取市が提携した洸陽電機は兵庫県の神戸市に本社を置くエネルギー分野の専門会社で、全国各地に再生可能エネルギーの発電設備を展開中だ。

 長崎県の小浜温泉では地元の温泉事業者が中心になって建設した「小浜温泉バイナリー発電所」の運営を請け負っている。発電設備を買い取って安定稼働できるように改修したうえで2015年9月から売電を開始した。

 岩手県の八幡平市では農業用水路を利用して「松川小水力発電所」を2016年4月に稼働させた。農業用水路を管理する地元の土地改良区と八幡平市を加えた3者が連携して取り組んだプロジェクトで、洸陽電機が発電設備の建設と運営を担当している。

最終更新:7月7日(木)9時25分

スマートジャパン