ここから本文です

女子高生AIりんなに見るお喋りボットの将来性

ZUU online 7月7日(木)19時10分配信

ビッグデータやAI、ロボットに次いで、その将来性を期待されている技術に「チャットボット」がある。今年に入って、大手ソーシャルメディア企業が採用を発表するなど、各方面から大きな関心を集めている。

その一つが、女子高生AI「りんな」だ。LINEを使ったチャットに女子高生のようにリプライをしてくれるAIだとされており、いわゆる「チャットボット」だ。コミュニケ―ションプラットフォームを運営するLINEと、マイクロソフトが共同で運用しており、「女子高生らしい軽いノリ」や「Appleを評価する発言を上手く避ける」といった、オモシロさからも人気上昇中だ。

■「チャットボット」とはそもそも何か?

「チャットボット」とは、人と人間の言語でコミュニケーションを行い情報をやり取りするもので、会話の目標を持たない「非タスク志向型対話システム」を指している。

より分かり易く言えば、日本語や英語を使って、例えば天気予報について尋ねると、パソコンやスマートフォンが内容を理解して、あたかも人と会話をしているかのように、答えてくれるものだ。

少しだけ、チャットボットの歴史を振り返ってみよう。同技術の発端はそもそも、1960年代に登場した、自然言語を用いたデータベース検索だと言われている。その後、音声による対話的な操作ができるようになり、カーナビゲーションシステムなどの上で1990年代に実用化された。

また1990年代後半以降には、インターネットの普及に伴い、聴覚、視覚など、複数のコミュニケーションの方法を利用して、システムと双方向の遣り取りを実現する「マルチモーダル・インターフェイス」の開発が進み、電子掲示板やオンラインチャットルームに「チャットボット」機能が搭載されるようになった。

さらに2000年代後半以降、スマートフォンの普及とともに、インターネット上でキャラクターとテキストでの対話ができる仕組みから、より人間的なシステムへと進化している。それが現状だと言えそうだ。

■FacebookやMicrosoftも取り組む「チャットボット」開発

チャットボットへアツい視線を注ぐのは、しかし、ベンチャーやスタートアップといったリスクを取って、新しい取り組みを進める会社だけではない。今やITの巨人達と言ってもいい、FacebookやMicrosoftなども開発を推進しているのだ。

例えば、Facebookは2016年4月の開発者向けカンファレンスで、メッセージングアプリにチャットボット機能「Bots for Messenger」を付加できる新たな「フェイスブック・メッセンジャー・プラットフォーム」を発表。日本やアジアで人気を拡大しているLINEも同月に、LINE上で動作するチャットボット専用のAPIである「LINE BOT API」を公開しており、チャットボットとも親和性の高いメッセージツールでの導入が進んでいる様子だ。

さらに、マイクロソフトは、2016年3月の開発者向けカンファレンスで、同社のパーソナルアシスタント「Cortana」の機能をチャットボットに搭載できる「Cortana Intelligence Suite」や、開発プラットフォームの「Microsoft Bot Framework」を発表した。

また5月には、Googleが、同社の開発者向けカンファレンス「Google I/O」で、人工知能(AI)ベースのアシスタントボットを搭載したチャットアプリケーションである「Allo」を発表しており、今年の夏頃にはサービスを開始する予定だ。

ワンストップでチャットボットを利用した独自サービスを開発するのではなく、APIや開発基盤をサードパーティのスタートアップ企業に提供しながら、エコシステム全体としての技術適用、事業化を推進するモデルを採用している点が特徴だといえるだろう。

■サービス開発の鍵を握るのは「チャットボット」ベンチャー

そこで注目されるのが、AIに代表されるチャットボットのコア技術や、特定の業種・業界や領域での新規ビジネス開発に強みを持つベンチャー企業である。

FinTech(金融×IT)の分野では、英国のオンライン投資会社であるA.J Bellsが、Facebookのメッセンジャーアプリ上で、チャットボット機能を活用しながら株の売買ができるプラットフォーム「Youinvest」の開始計画を発表している。計画では、ユーザーが「Youinvest」専用口座を開設し、Facebook上でログインした後は、相談から購入まですべてのプロセスをチャットボット上で実行する仕組みを開発中する見通しで、チャットボットを活用した投資プラットフォームとしても注目だと言える。

電子商取引(Eコマース、EC)の分野では、米国サンフランシスコのスタートアップ企業であるOperatorが、2015年4月より、チャットボットのみをユーザーインタフェイス(UI)に採用したECサービスの提供を行っている。「買い物コンシェルジュ」とメッセンジャーで相談しながら買い物ができるショッピングモール型ECが同社の強みだ。

日本国内でも、美容サービスの分野で、ネイリストやネイルサロンの検索エンジン「リンクビューティー」を運営するInSyncが、今年5月に、LINE上のメッセージのやりとりでサービスを検索できる「LINE bot(チャットボット)」のβ版をリリースした。

■オンラインメディアで注目されるチャットボット

またオンラインメディアの分野では、チャットボット向けのコミュニケーションエンジン「AI TREE」の研究開発を行っているZEALSが、今年6月、メディア運営企業向けボット開発運用ツール「BOT TREE for MEDIA」をリリースした。

LINEで記事を配信したいメディアは、前述の「LINE BOT API」を実装した上で、「BOT TREE for MEDIA」にアカウントを作成し、API経由で連携させれば、「BOT TREE for MEDIA」のダッシュボードからチャットボットのデータを管理できる仕組みになっている。

AIを駆使したチャットボットは将来的に、モノのインターネット(IoT)でつながる企業内・企業間におけるコラボレーションや情報共有への活用も可能だ。マルチモーダル・インターフェイスに対応可能なチャットボットは、IoT化、ロボット化が見込まれる企業の工場や作業現場でも、強みを発揮すると見られ、B2CとB2Bの双方でどのように展開できるかにより、その潜在力も決まりそうだ。(ZUU online 編集部)

最終更新:7月7日(木)19時10分

ZUU online