ここから本文です

だから「巨人」のニュースが、めっきり減ってしまった

ITmedia ビジネスオンライン 7月7日(木)8時15分配信

 プロ野球の「伝統の一戦」が7月5日から7日まで東京ドームにおいて行われている。言わずと知れた「巨人VS. 阪神戦」だ。しかし、いまひとつ盛り上がりにかけているのも残念ながら事実。ここまで2チームともに首位を独走する広島から大きく引き離されて借金生活にあえぎ、パッとしない戦いが続いているからだ。要するに“弱いチーム”同士の戦いだからである。

【巨人はどうなる?】

 ただしその両軍を比較してみると、同じ苦戦続きのチームでも今季からタクトを振るい始めた新指揮官2人の“明暗”の違いが浮き彫りになっている。その点は非常に気にかかるところだ。阪神の金本知憲監督が「明」ならば、巨人の高橋由伸監督は「暗」。メディアに対する取材対応で金本監督が時折リップサービスも交えながら饒舌(じょうぜつ)にコメントするのに対し、高橋監督はボソボソとやや早口で答えるから何を言っているのか分からないこともある。いや、あえてもっと厳しい言い方をすれば、高橋監督は余りにも言葉が通り一遍等過ぎてつまらないのだ。

 試合後、活躍した選手のプレーに関する批評を求められても「まあまあです」「あれぐらいやれて当然だと思います」などと基本的に手放しで賞賛するようなことはせず気の利いた発言はほとんど口にしない。それが“由伸イズム”なのかもしれないが、これではメディア側もネタとして取り上げることはどうしても厳しくなってしまう。ここ最近、ネット上のニューストピックスでも高橋監督がらみの話題が極端に少ないのは、そのためであることぐらい勘のするどい人ならば容易に想像がつくはずだ。

 しかも高橋監督は厄介なことに時折、メディアからの質問にキレ気味になるケースがある。「いちいち言わなきゃいけない?」「そう思ったならば、そうなんじゃないですか」――。これらは今季、囲んでいたメディアを凍りつかせた高橋監督の答えだ。

 「そういう感じだから試合後の囲みの会見でも、担当記者は恐る恐る質問をしなければいけなくなる。前提としてキレさせたら、その場で質問が打ち切られてしまう可能性が高いので、負け試合の後でも基本的には前向きなことしか聞けない雰囲気になっている。これは、遠まわしに言論統制を強いられているようなものだ」(担当記者)

●監督がやらなければいけないこと

 高橋監督が現役時代から、ぶっきらぼうな性格の持ち主であることは理解している。とはいえ、これを野放しにしてしまっているのはよくない。現役では許されても、監督という責任あるポジションになれば新たにやらなければいけないことが当然増える。

 そのGの指揮官は確かに、まだ就任1年目。そういう事情を考えれば、球団側が「プロのチームを預かるトップの監督と言う立場である以上、メディアの向こう側にファンがいることを肝に銘じるべきだ」と伝えてしっかりと教育していかなければいけない。

 昨季まで通算12シーズンに渡ってチームの指揮を執ってきた前任の原辰徳前監督は、それがキチンとできていた。自分の発言がメディアにどのように扱われるかを常に考え、それをチームにとってプラスに働かせるよう逆利用することに非常に長けていた。だから一語一句がとても面白く、ウィットに富んでいたのである。昨年まで巨人発のニュースで当時の原監督がらみのネタが非常に多く出ていたのは、プロ野球にさほど興味がない人でも記憶に新しいところだろう。

 しかしながら悲しいかな、球団側は高橋監督に対して「注文を付けたくても何も言うことができない」(球団関係者)。それはなぜなのか。昨年10月の原前監督の退任に伴って当時まだ現役だった高橋監督を後任候補としてあてがい、引退したくない本人の意向を無視して半ば強引に新指揮官就任を了承させていた背景があるからである。

 かつては「球界の盟主」と言われた巨人が現在、深刻な人気低迷にあえいでいることは誰の目にも明らかだ。昨年10月に発覚した野球賭博問題や今年2月に覚せい剤取締法違反で逮捕されたチームOB・清原和博氏(有罪確定)にまつわる騒動などたびかさなるスキャンダルによって、それまでの厳格なチームイメージも完全に潰えてしまった。そういう危機的な状況を払拭する意味でもバトンを引き継いだ高橋監督は本来ならば、イメージ回復に努めなければならない重責を担っているはずなのだ。

 これで文句なしにチームが強ければ、メディアに露出することなく非協力的であっても構わないのかもしれない。しかし、現状で首位から遠く引き離され、借金生活にあえぐ成績を見ても明らかなように今の巨人はすこぶる弱い。弱ければ、メディアの扱いも必然的に小さくなり、ひいては熱烈なG党以外からの注目度も薄れることから人気が下がって経営側としては大きな痛手をこうむる。となれば、高橋監督は自ら積極的にメディアを通じて発言し“由伸カラー”を世に浸透させ、巨人人気を再び上向きにさせなければいけないはずなのだ。

●注文を付けたくても何も言うことができない

 古参の球団関係者も渋い表情を浮かべながら「由伸(高橋監督)が、そういう役割を果たさなければいけないのは重々承知しているが……」と前置きし、こう続けた。

 「理想を言うと本当は由伸ではなく(同じチームOBの)松井(秀喜氏)に監督をやってもらいたかった。これは球団、そして親会社である読売新聞グループ本社の総意だ。だが松井は現在、現役時代に在籍していたニューヨーク・ヤンキースのGM特別アドバイザーの役職に就いていて当面は日本球界復帰を考えていない。それでも原が辞め、後任を決めなければならないとなると消去法で由伸しかいなかった。

 江川(卓氏=チームOB、現・野球評論家)や川相昌弘(現・三軍監督、昨季までヘッドコーチ)の名前もメディアでは上がっていたが、実際のところ江川は最初から候補になっておらず川相と由伸だけだった。江川はチームを離れ、余りにも年月が経ち過ぎていたからね。では川相か由伸のどちらかとなった時にネームバリューを考えれば、それは当然ながら由伸になる。しかも川相は後任選定の時点で親しい人間に『自分が監督候補になっている』とペラペラしゃべりすぎたこともマイナスになった。

 まあ、巨人は経営を考える上で人気商売だからスター選手の由伸を監督にするしか道がなかったということ。こちらから無理を承知の上で、監督就任をお願いしたから彼には強くモノを言うことができない」

 つまり球団側が高橋監督に「注文を付けたくても何も言うことができない」のは、そういう背景が理由なのだという。

●“つまらない監督”のままではいけない

 高橋監督を選んだことが「選定ミス」とまでは言わない。前出のような背景がある以上、仮に今季が成績不振のまま終わったとしても向こう2シーズンは最低でも由伸体制を継続させることになるだろう。ただ本当に球団側や読売グループ本社が「人気商売」であることを念頭に置いているならば、今の高橋監督を“放置”しておくのはよくない。首根っこをつかまえてでも、監督発の有益なコメントを口にさせるべきだ。

 このままでは万が一にも今季、かつての「メークドラマ」や「メークレジェンド」のように首位と大きく引き離されたゲーム差を引っくり返し、奇跡の逆転Vを成し得たとしても現場のトップが“つまらない監督”だと巨人フィーバーが再燃することはまずありえまい。

 本人の周りの外堀を埋めてまで誕生させた高橋監督に対し、チームを強くさせる手腕を見に付けさせることは言うに及ばず「対メディア=ファンサービス」の面でも球団及び読売グループ本社は教育を施さなければならない。日々取材を重ねている上で周囲からの声を耳にし、切にそう思う。

(臼北信行)

最終更新:7月7日(木)8時15分

ITmedia ビジネスオンライン

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

暗闇で光るサメと驚くほど美しい海洋生物たち
波のほんの数メートル下で、海洋生物学者であり、ナショナルジオグラフィックのエクスプローラーかつ写真家のデビッド・グルーバーは、素晴らしいものを発見しました。海の薄暗い青い光の中で様々な色の蛍光を発する驚くべき新しい海洋生物たちです。彼と一緒に生体蛍光のサメ、タツノオトシゴ、ウミガメ、その他の海洋生物を探し求める旅に出て、この光る生物たちがどのように私たちの脳への新たな理解を明らかにしたのかを探りましょう。[new]