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EU離脱、英国エネ産業に暗雲-ポンド安で資金調達コスト増大、原発新設にも逆風か

日刊工業新聞電子版 7月7日(木)13時50分配信

 欧州連合(EU)からの離脱が決まった英国のエネルギー産業の行方が、専門家らの間で注目されている。同国は今後のエネルギー政策として、原子力やガス火力などの比重を高める方針だが、EU離脱を受けた為替のポンド安などで資金調達コストが増え、電源などへの投資が抑えられるとの見方が強い。原子力政策を積極的に推進してきたキャメロン政権の退陣で、原発の新設計画にも逆風が吹く可能性がある。(宇田川智大)

 英国政府は地球温暖化防止の観点から、石炭火力発電所を原則として2025年までに全廃し、原子力やガス火力、再生可能エネルギーの比重を高める方針だ。だが14年時点で同国の発電量全体の3割に上る石炭火力の全廃は容易でない。原子力やガス火力などを加えた発電設備全体の4分の1が、老朽化のため20年までに運転を終える予定とも重なることから、深刻な供給力不足が懸念されている。

 EUからの離脱がこの状況に追い打ちをかける可能性がある。対ドルなどでの通貨ポンドの下落などで資金調達コストが膨らみ、電源開発投資の足かせになるとの見方が強まっている。日本エネルギー経済研究所首席研究員の小山堅氏は、EU離脱で欧州投資銀行などからの融資を受けにくくなる場合もあるとし大型プロジェクトで「資金調達面の難易度が上がる可能性がある」と指摘する。

 原発建設にも影響しそうだ。英国では仏電力大手EDFと中国企業の合弁事業など複数の建設計画が進むが、東京電力福島第一原発事故を受け安全対策費が膨らむ傾向にある。

 英国には原発への投資を回収しやすくするため、原発の電力を政府が35年間にわたって一定価格で買い取る制度がある。だが買い取りの費用は電気料金に上乗せされるため、資金調達コストや安全対策費の増大で投資額が上振れすれば、国民や産業界の負担が増えて世論の反発を生みかねない。英調査機関のフロスト&サリバンはEU離脱を機に「プロジェクトの実効性の再評価が行われる可能性がある」と見通す。

 また今後、地球温暖化対策に消極的な政権が誕生すれば、原子力政策の大幅な軌道変更もあり得る。英国での原発新設プロジェクトには、日立製作所や東芝も名乗りを上げており、政権の行方が注目されている。

最終更新:7月7日(木)13時50分

日刊工業新聞電子版

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