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【BBT流・リーダー養成塾】急成長企業に共通する「あの経営戦略」

qBiz 西日本新聞経済電子版 7月7日(木)11時6分配信

 西日本新聞経済電子版「qBiz」読者にお届けする、ビジネス・ブレークスルー(BBT)大学の講義。3回目のテーマは、急成長を遂げる企業に共通する「あの経営戦略」です。(編集チーム)

⇒「答えのない時代」を生きる 大前研一学長のメッセージ

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 グーグル、アマゾン、フェイスブック、Uber、AirBnBなどの企業に共通する経営戦略。それは、「プラットフォーム戦略」である。

 米国の時価総額上位30社のうち、14社がこのプラットフォーム戦略で急成長を遂げた。もはやデジタル化時代に、あらゆる経営者が学ぶべき世界最先端の経営戦略論といえる。

 Instagramという画像共有サイト運営会社は設立からわずか2年、社員10余名ほどで時価総額が1000億円を超える企業に急成長し、フェイスブックに買収されたのは記憶に新しい。

 米国では、こうしたIT企業だけでなく、米国最大の小売業ウォルマートや、世界最大のコングロマリット企業のGE、世界的スポーツブランドのナイキなども、急速にプラットフォーム戦略に基づく経営にシフトしている。

 国家や地域、さらには、個人も応用する事例が増えてきている。

 日本では、2000年に大前研一氏が著書「新・資本論」で「21世紀の富はプラットフォームから生まれる」とその重要性を提唱したが、残念ながら多くの日本企業は気が付いていない。相変わらず「モノづくり」に固執しているのが現状で、世界との差は開くばかりだ。

  ◇  ◇

 では、プラットフォーム戦略とはどんな経営戦略なのだろうか。

 簡単に言えば、「1人で1億円を稼ぐのではなく、10人で100億円を稼ぐビジネスをつくる」という思考に基づく経営戦略だ。

 定義はこうだ。

 「複数の関係するグループを、場(プラットフォーム)に載せることで、外部のネットワーク効果を生み出し、1企業の枠を超えた新しい事業のエコシステム(生態系)を作り出す」

 つまり、サービスの提供者とユーザーを仲介する「場」すなわちプラットフォームを構築することで、多くの企業や人を集める経済圏を作るという戦略だ。

 この「場」の主催者のことを、プラットフォーマーと呼ぶ。

 日本における代表例は、インターネット・ショッピングモールの「楽天市場」だ。

 楽天自体はモノを売っているわけではなく、「楽天市場」という「場」に、モノを売りたい小売店をたくさん集めている。

 魅力のある商品で顧客を集め、楽天の会員を増やす。会員が増えることで、さらに出店する小売店が増えるという好循環を生んだ。

 楽天は、会員が商品を購入する際、楽天カードを使ってもらうなど、自社ビジネスに結びつけることで急成長した。

 身近な例をみてみよう。それは、「合コン」である。

 魅力的なメンバーを集めて出会いの場を提供し、参加者に付加価値を与えるという合コンの機能は、まさにプラットフォームといえる。

 そして合コンでいちばん得をするのは幹事、すなわちプラットフォーマーだ。

 時間や場所、誰を誘うかも自由に決められるし、参加者全員の連絡先といった情報も入手できる。

 重要なことは、情報も人も金も、プラットフォーマーに集まるということだ。

  ◇  ◇

 プラットフォーム戦略に基づくビジネスには、大きく四つのパターンがある。

 (1)組み込み型

 複数の製品・サービスにソフトウェア、部品等を組み込むことによって形成する場

 事例/マイクロソフトOS、インテルCPU、USB、プレイステーション

 (2)マーケットプレイス型

 売買・貸借取引を行うために不特定多数の販売者・提供者が不特定多数のサービスの購買者・受け手と取引する場

 事例/楽天、Yahoo!オークション、アマゾン中古、Uber、AirBnBなどシェア型のビジネス

 (3)ソーシャルネットワーク型

 個人・企業間で情報の交流を行う場

 事例/フェイスブック、LINE、Linkedin

 (4)マーケットネットワーク型

 長期のプロジェクトごとに複数のプロフェッショナルがサービスを提供する場

 事例/イベント企画や住宅の改装

 注目されるのは、マーケットプレイス型。特にUber、AirBnBなど、個人が「サービス提供者」として登場しているプラットフォームが急成長しているのが特徴だ。

 この背景には、スマートフォンやソーシャルメディアの普及がある。

 外出先でもサービスの利用が可能になったことや、個人間の取引に信頼度が増していること、新しい出会いや体験の要素といった中身の魅力が高まっていること、などがあるだろう。

 大前研一氏はこれを「アイドルエコノミー」と命名している。

  ◇  ◇

 プラットフォームビジネスの特徴として、「コア製品」(それ自身が進化するシステムの核)と、「補完的製品」(コア製品の魅力を高める商品やサービス)から構成されることが挙げられる。

 具体例はプレイステーションなどのゲーム機器が分かりやすい。

 プレイステーションは、ゲーム機が「コア製品」だが、ゲームソフト会社が優良なソフトという「補完的製品」を数多く制作することで、はじめて価値が高まる。ソフトがないゲーム機には、ほとんど価値がないからだ。

 補完財を提供するアライアンス先の企業や個人によって、プラットフォーマーが予想もしなかった新しい商品・サービスの提供がなされ、プラットフォーマーが自ら宣伝などをしなくても、第三者によって拡大していく。こんな自動増殖機能が働いた場合、一気にプラットフォームが拡大する。これは、他のビジネスモデルにはない特徴である。

 そうした補完財を、いかに品質保持しながら増やせるかが重要だ。

  ◇  ◇

 成功しているプラットフォームには、

 (1)存在価値が明確(そのプラットフォームを使う価値があるのか?)
 (2)交流が活発かどうか(ネットワーク効果)
 (3)クオリティーコントロール(質の管理)

 という三つの特徴がある。拡大する一方で、常に質の管理が求められる。

 日本のように、人口減少に直面している成熟した国では、高度経済成長は期待できない。

 縮小しつつある市場でシェアを取り、顧客1人当たりの売り上げをアップしようとすれば、楽天のように顧客を会員化して、LTV(ライフタイムバリュー)を重視した戦略が、ますます重要になる。

 LTVとは、「顧客生涯価値」といい、1人の顧客が一生のうちにどれだけ企業の価値(利益)に貢献するか、という指標である。

 プラットフォーマーには情報も金も集まる。

 ただ、圧倒的な「勝ち組」となったプラットフォーマーは、ともすれば自己の利益や縄張りを拡大しようとする。こうした傾向を「プラットフォームの横暴」と呼ぶ。

 たとえば、音楽配信システムというプラットフォームを握ったことで、アップルが音楽産業を牛耳るようになったのは、その一例だ。

 また、書籍販売ではアマゾンが巨大化しつつある。

 スマートフォーンのOS(基本ソフト)では、グーグルのアンドロイドと、アップルのiOSが市場を支配している。

 それらにいかに対応していくべきなのかを検討するためにも、あらゆる企業はプラットフォーム戦略を学ぶ必要に迫られている。

 BBT大学では「プラットフォーム戦略論」という講座を設けている。

 いかにプラットフォームを構築するかにとどまらず、プラットフォーマーの横暴への対抗策、個人への適用など幅広く学べるようにプログラムしている。

 日本の経営者には、一日も早くプラットフォーム戦略の重要性に気付いてほしいと願う。


 ※プラットフォーム戦略は(株)ネットストラテジー、アイドルエコノミーは(株)ビジネス・ブレークスルーのそれぞれ登録商標。

西日本新聞社

最終更新:7月7日(木)11時6分

qBiz 西日本新聞経済電子版

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