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靴の整頓ができないとサッカーもうまくならない!?

ベネッセ 教育情報サイト 7月7日(木)17時1分配信

【質問】
息子はサッカーのスポーツ少年団に入っているのですが、そこの監督が、「靴の整頓ができないような子は、サッカーもうまくならない」「宿題をやらなかったり忘れ物をしたりする子は、サッカーも見込みがない」と言いました。ちょっと違うような気がするのですが、親野先生はどう思いますか?

相談者・理不尽 さん(小学2年生 男子)

【親野先生のアドバイス】
理不尽さん、拝読しました。
こういう言い方をする人はいますね。
私はあまり賛成できませんが。

言いたいことはこういうことだと思います。
「脱いだ靴を整頓するくらいの自己管理力がないようでは、何をやっても自己管理ができないのだから、何をやってもうまくならない」。
もちろん一面的には当たっている部分もあるかもしれません。
また、プロの選手などが自覚してこういう両面で一流を目指すのは、すばらしいことだと思います。

でも、成長過程の子どもを指導する時は、あまりこういうことにこだわらないほうがいいと思います。
なぜなら、勉強ができなくて宿題もさぼりがちだけれど、野球だけは好きでがんばっているという子もいるからです。だらしがなくて整理整頓ができないけれど、サッカーだけは好きで得意だという子もいます。

日頃は先生や親にほめられることが少なく、叱られてばかりという子はたくさんいます。そういう子が何か一つ好きで得意なものがある場合、ぜひそれを最大限に伸ばしてあげてほしいと思います。
そういう子に対して、足りないところの改善を求めていたら、いつまでも伸ばすことはできません。
苦手なことや足りないところは目をつむって、とりあえず好きなことや得意なことで活躍させて、大いに自信をつけさせてあげることを優先してほしいと思います。
一つのことで自分に自信がつくと、気持ちに張りが出て、ほかの面でもがんばれそうな気がしてきます。それで、苦手なこともできるようになることもあります。

さらに言えば、子どもだけでなく大人でも、たとえば部下の指導でも同じことがいえます。
大人でもいますよね、営業は得意だけれど事務処理は苦手という人。そういう人は、営業でがんばってもらって自信をつけさせてあげればいいわけです。
上司が、「事務ができなければ営業の腕も上がらない」とか「一流の営業マンは事務処理も隙がない」などと言っていたら、いつまでも伸ばすことはできません。

話を少し広げて考えてみると、この監督のような言い方は私たちの周りの至るところで見受けられます。
つまり、無関係なことを関係づけて教訓的な内容を語るという言い方です。ほとんどの場合、そこに説得力のある説明はなく、ただそうあってほしいという願望を表しているだけです。

たとえば次のようなものです。

1.
頭がいい人は机の中もきれい
論理的な思考ができる人は頭の中も整理されていて、机の中も整理整頓されている
机の上が散らかっている人は論理的思考ができない

2.
仕事ができる人は服装も一流
仕事ができる人は持ち物にもこだわる

3.
文字は人なり。文字がきれいな人は、人間的にも立派だ

4.
食べ物の好き嫌いがあると人間関係でも好き嫌いをするようになる
食べ物の好き嫌いがあると仕事でも好き嫌いをするようになり、困難から逃れる人になる

5.
健全な精神は健全な肉体に宿る

こういうことはよく耳にします。一面的には当たっている部分もあるかもしれません。でも、全面的に正しいわけではありません。

たとえば、1.についてはアインシュタインの机の上は大いに乱雑だったそうです。
アインシュタインといえば、論理的思考を究めて相対性理論に至った人です。
ネットのニュースに写真つきで出ていたので見た人もいると思いますが、アインシュタインのほかにもマーク・ザッカーバーグ(「Facebook」の創設者)やスティーブ・ジョブズ(アップル社の共同創設者)も机の上はひどい状態とのことです。

これらの論理的かつ創造的な人たちは、2.についても興味深い真理を明らかにしてくれています。
つまり、アインシュタインも、ザッカーバーグも、ジョブズも、年がら年中同じ服装で持ち物にもこだわりがありません。「今日は何を着ようかな」などと毎日考えていちいち決断するのは、時間とエネルギーのムダづかいだというのが理由です。

3.については、私など字が下手なので断固否定します。文字はきれいでも人間的にハテナの人は山ほどいます。

4.もこじつけですね。野球のイチロー選手は子どものころから食べ物の好き嫌いが多く、特に野菜は苦手だったそうです。でも、困難に立ち向かって偉大な業績を上げています。

5.もこじつけですね。体が不自由だったり病気がちだったりしても、精神的には健全で立派という人は山ほどいます。体は健康そのものでも、精神的にはハテナの人も山ほどいます。

ということで、まとめます。
こういう言い方はすべて一面的なものであり、全面的に正しいわけではありません。
自分がその両面でがんばるというのはとてもいいことなのですが、他人に求めているとその人を伸ばすことはできません。苦手なことには目をつむって、先に伸ばせるところをどんどん伸ばしてあげたほうがいい循環が始まる、ということを声を大にして言いたいです。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
皆さんに幸多かれとお祈り申し上げます。

ベネッセ 教育情報サイト

最終更新:7月8日(金)17時44分

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