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JPモルガン再警告 英1万6000人を海外に異動?

ZUU online 7月8日(金)9時10分配信

米JPモルガン・チェースは6月下旬、英国1万6000人の雇用者を海外に移動させる可能性を再警告した。「ロンドンは今後も金融ハブとして機能しつづける」との見解を示す反面、「しかし欧州を動かすほどの力は損なわれる」と確信している。UBSも同様の軌道修正を検討中であることを、明らかにしている。

Brexit後もロンドンへの残留を表明した米モルガン・スタンリーや、英離脱を新開地と受けとめているバークレイズ、HSBCなどとは別の方向性に進む意向だ。

■英国を称賛するかたわら、撤退に傾くダイモンCEO

JPモルガンの拠点移動に関しては、国民投票以前からジェームズ・ダイモンCEOが繰り返し警告していた。

6月3日に英南部ボーンマス市で開催されたイベントでも、英離脱を強く反対していたジョージ・オズボーンと肩を並べ、「Brexitは英国に悲惨な結果をもたらす」と強調。英国を拠点とする多くの企業同様、EU加盟国内で自由に取引可能な「パスポート」失効への懸念を示した。

Brexitに向けて、「パスポート」の維持、あるいは代用となる何らかの優遇処置を、英政府がEUから勝ち取れるかどうか、これらの企業は息をひそめて見守っている。

ロンドンにおける金融機関の雇用口は3万5000件。JPモルガンはそのうち約半分に相当する1万6000人を、英国の6都市(ロンドン、ボーンマス、ベイジングストーク、スウィンドン 、エディンバラ、グラスゴー)で雇用する巨大金融機関だ。ボーンマスだけでも、技術者1300人を含む4000人を雇用している。

「才能、言語、文化、歴史、求めているすべての物が手に入る英国で、事業を展開するのは魅力的だ」と英国を絶賛するダイモンCEOの決断は、英国だけではなく、世界経済に大きな影響をおよぼすだろう。

ダイモンCEOが「ほかに選択肢がない」と判断した場合、1万6000件の雇用口はパリやフランクフルトに流出すると予想されている。

■単一市場へのアクセスを確保できてもリスクは残る

JPモルガンとUBSの見解は、「ロンドンは金融都市としての王座を維持しつづける」というバークレイズやHSBCの姿勢と比較すると、英経済の未来に消極的だ。

JPモルガンのマルコム・バール氏は6月29日に発行された顧客宛てのメモの中で、Brexitによって多くの企業が海外に流出することが予想されるという前提で、「最大のダメージをこうむるセクターは金融機関である」と述べている。

例え英国が単一市場へのアクセス権を維持できたとしても、EU非加盟国としてのリスクは消えるわけではなく、不安定性との絶え間なき戦いが予測できる。

仮に残留派が勝利をおさめていれば、英経済は今後も成長を続けていたという見方が強い一方で、Brexit後にどのような未来が待ち受けているのかは、まだ誰にも分からない。現時点で確実にわかっているのは、交渉に最低でも2年を要することから、先行きが不透明な期間が数年間は継続するということだけだ。

しかしダイモンCEO自身も認めているように、Brexitがすでに引き起こしている不安定さは英国内だけではなく、欧州を含む世界各国に広がる問題である。

例え本拠地をフランスやドイツに移したとしても、英EU離脱後のEUが、今とはガラリと様変わりしている可能性もあるのではないだろうか。

そうだとすれば、過去何世紀にもわたって築き上げられたロンドンの金融機関を他都市に移動させるのも、リスクをともなうという点では何ら変わりのないように思える。

「パスポート」という利点は重要だが、結局はゼロから始めるということになりかねない。

いずれにせよ離脱発表後の英政府の時間稼ぎが、何の収益ももたらさないのは明らかだ。9月までに予定されている新首相就任決定後、英国が今後進むべき道筋をどれほどスピーディーに、かつ明確に打ち出せるかに、ロンドンの金融都市としての王冠がかかっているのかも知れない。(ZUU online 編集部)

最終更新:7月8日(金)9時10分

ZUU online

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