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高さ150メートルの巨大な洋上風力発電船、太平洋を福島沖へ曳航中

スマートジャパン 7月8日(金)11時25分配信

 2011年度に始まった「福島復興・浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業」は、3基の風力発電設備と1基の変電設備をすべて浮体式で建設する世界で初めてのプロジェクトである。最後の4基目になる発電能力5MW(メガワット)の開発が遅れていたが、ようやく福島沖の現場に設置できる段階を迎えた。

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 「ふくしま浜風」と名づけた5MWの洋上風力発電設備は兵庫県の淡路島沖で風車の搭載作業を6月いっぱいで完了。7月2日(土)の午前8時30分に福島沖に向けて曳航を開始した。風車の回転直径は126メートルもあり、最高到達点は水面から150メートルになる。風車の下は「アドバンストスパー」と呼ぶ六角形の浮体構造物が支えている。

 淡路島沖を出航した洋上風力発電設備は太平洋上を東へ、3~4ノット(時速5~7キロメートル程度)のゆっくりした速度で航行中だ。予定通り進むと8日(金)の早朝には茨城県の沖合を通過して、昼過ぎには福島県の小名浜沖、そして夜の10時30分に設置現場に到着する。

 すでに福島沖で運転中の3基のうち、最初の2基は東京湾で組み立てて福島沖まで曳航した。3基目の7MWは長崎県で浮体を製造して、小名浜港まで曳航してから風車を搭載する方法をとった。4基目の「ふくしま浜風」は風車を搭載した状態で最長の距離を現場まで曳航する。前方に3隻、後方に1隻の合計4隻で曳航しながら、周辺にも3隻の警戒船を配置する体制だ。

2016年内に試運転開始へ

 福島沖に展開する洋上風力発電設備は4基がそろって運転を開始すると、発電能力が14MWに達して浮体式では世界最大の規模になる。洋上風力発電の設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は標準で30%程度を想定できることから、年間の発電量は3680万kWh(キロワット時)に達する見込みだ。一般家庭の電力使用量(年間3600kWh)に換算すると1万世帯分を超える。

 これだけ大量の電力を20キロメートル離れた福島県の沿岸部まで送るために、4基のうち1基が変電設備として電力を集約する構成になっている。運転中の2基の発電設備と変電設備は海底ケーブルでつながり、さらに変電設備から福島県の陸上までのあいだも海底ケーブルで接続済みだ。

 「ふくしま浜風」も現場に到着した後に、設備の位置が移動しないように係留チェーンを海底まで下ろしてから、ケーブルの敷設工事に入る。予定どおりに準備が進めば、8月1日(月)に敷設工事を開始して、1カ月後の9月2日(金)に完了する予定だ。海底ケーブルで変電設備につながると、あとは調整作業を経て試運転を開始できる。

 7MWの「ふくしま新風」の場合には、ケーブルの敷設完了から試運転開始まで約3カ月かかった。5MWの「ふくしま浜風」も9月初めにケーブルを敷設できれば、12月中に試運転を開始できる見通しだ。年内には世界最大の浮体式による洋上風力発電所が福島沖で全面的に稼働する。

 この壮大なプロジェクトが目指すのは世界で最先端の洋上風力発電所を実現して、福島の復興に向けた新しいエネルギー産業を発展させることにある。海底に設備を固定しない浮体式の洋上風力発電では、波や風による揺れを抑えて安定稼働させることが最大の課題だ。そのために3基の発電設備を支える浮体部分の構造を変えて、発電量や安全性などを比較検証する。

 新たに加わる「ふくしま浜風」で採用したアドバンストスパー型は、六角形の構造物を2段に組み合わせて揺れを抑える。2段のうち下側の構造物のほうが大きくて、横幅は51メートルもある。この巨大な構造物が水面下33メートルまで沈んで風車を支える仕組みだ。

 すでに2013年11月から運転を続けている2MWの「ふくしま未来」では、当初2年間の実績で設備利用率は平均28.7%を記録した。洋上風力発電の標準値30%にはわずかに届いていないものの、ほぼ想定通りの発電量を上げている。7MWと5MWの2基のデータがそろえば、未来に向けて浮体式の洋上風力発電を広げる大きな一歩になる。

最終更新:7月8日(金)11時25分

スマートジャパン

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